日本銀行 デジタル社会におけるアイデンティティ証明を支える Verifiable Credentialsの概要と規格開発の動向 と金融庁 金融機関による本人確認におけるVerifiable Credentials(VC)の利用可能性を検証 (2026.03.13)
こんにちは、丸山満彦です。
日本銀行と金融庁がVerifiable Credentials: VC(検証可能な属性情報)についての発表をしていますね...
まずは、日本銀行....
日本銀行は、「デジタル社会におけるアイデンティティ証明を支えるVerifiable Credentialsの概要と規格開発の動向」という報告書を公表していますね...
(Verifiable Credentials(VC)は「検証可能な属性情報」ということですが、日本における概念の共通認識が十分ではない?ので、日本語にしにくい言葉ですよね...)
デジタル社会では、個人・法人の属性情報を安全・柔軟に証明する仕組みが必要ですよね...紙の証明書はデジタル社会では不便だし、場合によっては不要な情報も晒すことになりますよね。。。そして、PKIのようにすべてを中央集権的に管理するわけにもいかないし...
情報の保有者は、情報の検証者(属性を確認したい人)が検証したい情報だけを、情報の発行者に依頼し、情報の検証者に渡すことができると、プライバシーの保護等も含めて望ましいよね...
で、この「VC(検証可能な属性情報)」は、暗号技術を使って必要な情報だけを提示できる新しい証明モデルという感じ???
この辺りは、国際的な標準化の動きが急速に進んでいますね...
インターネットを前提とすると、IETFのSD-JWDがあるし、スマホ端末で見せるというのであれば、mdoc(モバイル運転免許書(ISO 18013-5)など...)が便利だし、法人識別子LEIを拡張したvLEIのISO化(ISO 17442-3:2024)もされています...
標準化が加速しているのは、W3C VC Data Modelの影響が大きいかもですね...色々な方式が比較して議論できるようになりますからね...
そして、KERI(Key Event Receipt Infrastructure)で鍵の履歴管理ができることで、PKIやブロックチェーンに依存しなくてよい自己完結的な信頼チェーンが構築でき、ACDC(Authentic Chained Data Container)で証明データを構造化してつなぐことができるようになり、VCのの普及を技術面でも支えそうですね...vLEIで採用されていますが...
今後の普及上の課題は、相互運用性、発行者の信頼性、ライフサイクル管理、プライバシー保護などが考えられそうですね...
● 日本銀行
・2026.03.13 デジタル社会におけるアイデンティティ証明を支える Verifiable Credentialsの概要と規格開発の動向
デジタル化の進展に伴い、自分のアイデンティティをデジタル技術を用いて安全かつ確実に証明する重要性が高まっている。こうした背景のもと、Verifiable Credentials(VC、検証可能な属性証明)が注目を集めている。VCは、デジタル署名による真正性の確保や改ざん防止機能を備えた汎用的かつ機械可読なデジタル証明書であり、新型コロナワクチンの接種証明書で使用されたほか、金融実務への応用も含めた幅広い領域での活用が検討されている。この間、各種団体でVCに関する規格開発が進められており、例えば国際標準化機構(ISO)ではVCの一形態である検証可能な取引主体識別子(vLEI)の国際規格を2024年10月に発行した。本稿では、VCの概要や活用事例、規格開発の動向を概説する。
・[PDF]
● 金融庁
・2026.03.13 「FinTech実証実験ハブ」支援決定案件の実験結果について
今回の発表の件は、「金融機関による本人確認におけるVerifiable Credentials(VC)の利用可能性を検証」の件です...
多くの金融機関が参加したわけですが、以下のことが確認された...
- 本実証実験を通じて、以下のことが確認された。
- 技術的相互運用性に関して、複数の発行者及び/又は複数の検証者が関与する場合(22通りの組み合わせをテスト)においても、標準規格に準拠することで、技術的相互運用性を確保できること。
- 本人確認・セキュリティに関して、I2が公的個人認証の署名用電子証明書を利用して本人確認を実施する場合、当該本人確認の時点において、Hの最新の基本4情報を確認し、当該確認された基本4情報をVC化することができること。また、Hの署名鍵とPIN又は生体認証を組み合わせることで、Hが意図しないなりすましによる提示のリスクを低減できること。
- ユーザー体験に関して、VCの発行から提示までのフローに問題がないこと。
- 本実証実験を通じて、VCのユースケースの創出のほか、当該ユースケースにおけるガバナンスに関して、以下の課題が認識された。
- 発行者、DIW、検証者に関するルール整備。
- Trusted Listの運営に関するルール整備。
- 検証者のなりすましにより、保有者が意図しない者にVCを提示してしまうリスクの分担・低減のあり方。
- 保有者(=対象者)が協力して行われるなりすましのリスクの分担・低減のあり方。
ということで、技術的には実現可能性が高い。ただし、ルールの整備を議論しないと運用が混乱しそう...という話ですかね...
● デジタル庁 - 属性証明の課題整理に関する有識者会議 技術ワーキンググループ
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