株式会社が社会的責任を果たすということはどういうことか
こんにちは、丸山満彦です。1年前と比較すると、企業の社会的責任の話がちょっと下火になったような気がします。それでも、日経ビジネスに社会的責任の特集が組まれていますし、今後、社会的責任が経営にとっての重要な課題となることは間違いがないような気がします。
以前、このブログで
・会社は誰のものか
という話を書いたことがあります。株式会社は、営利社団法人といわれます。簡単に言うと、利殖の目的で人が集まった組織体で、法律により人格を与えられたものと言えるでしょう。株式会社の社会的責任といえば次の2つの責任は明確ですね。
優先順位1=人としての責任
・法律を遵守する
優先順位2=営利社団としての責任
・株主に利益を分配する
私はこれこそが、株式会社が果たすべき社会的責任だと思っています。
利益を分配するというのは、何も短期的に配当という形で利益を分配するだけでなく、会社の拡大のために、一時的に利益を留保し、物理的・人的資源に投資をし、将来の利益を拡大し、それを株主に分配するということも含みます。
今、社会で言われている企業(正確にいうと株式会社)の社会的責任は、この長期的な利潤の最大化を目指していると考えることができるように思います。
環境問題に取り組むことにより、企業のブランドイメージが向上し、企業競争力が高まり(少し高い製品でも、その会社の製品を買うというような話)、企業の利益が増加する、というシナリオを考えているように思うのです。
もし、経営者がこのような視点から考えているとすると、それはまさに企業の利潤を(長期的に)最大化するという話であり、短期的な視野でみて環境問題に取り組むコストを一時的に払っても(一時的に株主の利益を犠牲にしても)、長期的には利潤が増加するので、株主の利益に反しない、ということになり、今までの枠組み(株式会社は営利社団法人である)と少しも変わっていないということになりますね。(もちろん、私は長期的利潤の最大化を目的として、企業が積極的に環境問題や人権問題に取り組むことには大賛成です。)
私は企業の社会的責任を考える場合、所詮株式会社は営利社団法人であり、その法人の利潤を最大化することこそ株式会社の社会的使命であり、その手段として、いわゆる社会的責任を利用するというスタンスを維持したほうがよいと思っています。
もし、本当に営利抜きの社会的責任を果たしたいのであれば、株式会社の配当から得た資金をもとに個人が社会的責任を果たすための行動を行えばよいし(日本人はあまり寄付行為をしませんね・・・)、個人の力だけでは不足するというのであれば、そのような意思を持った人が集まってNPOを設立し、活動すればよいのだと思います。
もし、企業が長期的な利潤を抜きに社会的な責任を果たそうと思っているのであれば、その行為は株主の利益に反する行為ですから、全て(あるいは大多数)の株主の合意を得てから行うべきなのだろうと思います。
将来、ソフトウェア会社を設立したいという韓国の青年と話をした時、彼が非常にユニークな考えを教えてくれました。
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将来つくる会社では、得た利益の30%の配当に、30%の従業員に、30%を将来の留保に、そして10%を社会的な貢献に使いたい。社会的貢献のために10%利用することについては、定款に明記し、それで株主を募りたい。それを明確にするために将来は別法人をつくり、その資金で社会的貢献をしたい。
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私は、この考え方に賛成です。
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
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Comments
水商売ウォッチングという一部では有名なサイトがあります。
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html
掲示板に分かりやすいトンデモ商法の例が出ていました。
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/bbs01/showthread.php?mid=17242&form=tree
小学校の理科実験クラスの話ですが、この手の話は「遠赤外線」「セラミック」といったキーワードでゾロゾロというか途切れ事無く続いています。
上記の「重曹水を電気分解して」では、苛性ソーダが出来てしまうから安全とは言えない、という話の枕に「重曹は無害なので」というのが問題となりますが、これは科学・工学の世界では珍しいことではありません。
つまり「普通の使い方では」という前提を外してしまうと、何でもアリでそれがトンデモ商法だったりコンプライアンスとして問題ではないか?となるのだろう、と考えています。
「普通の使い方」を定義が必須である社会を想定すると、ありとあらゆる契約書が百科事典のようになりかねないわけで、ある意味では「会社は誰のモノか?」といった話題で激論を交わすような社会はそれ自体が問題でしょうね。
もっとも「常識だろ」で説明しないで放置すると「知らなかった」にもなってしまうわけで、なかなか難しいですが、なんか適当な落とし所を探して説明することが必要なのでしょう。
Posted by: 酔うぞ | 2005.08.22 10:27
丸山先生
森です。個人情報保護士のエントリ笑いました。
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私は企業の社会的責任を考える場合、所詮株式会社は営利社団法人であり、その法人の利潤を最大化することこそ株式会社の社会的使命であり、その手段として、いわゆる社会的責任を利用するというスタンスを維持したほうがよいと思っています。
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まったく賛成です。
この種の話になると、すぐきれいごとばかりになって議論があいまいになるのは不思議ですね。
株主価値=企業利益を最大化するという最上位の目的と無関係に法令順守やCSRを説いても、企業経営者に響くものはないし、ない方がむしろ健全です。
もし、経営者が利益の最大化とは離れた目的(社会貢献)のために企業のリソースを使うのなら、予め株主に対して
「うちの会社は普通の株式会社とは違います」
ということを説明して納得してもらわないといけません。
聡明な韓国のお知り合いのように。
仮にそうしない、つまり利益の最大化に関係なく社会貢献を目指すのであれば、その会社には内部統制ができていないということになります。
Posted by: 森 | 2005.08.23 10:16
酔うぞさん、コメントありがとうございます。URL先、楽しく読ませて頂きました。
私も理科系科目を習っていたので、私は科学的な根拠が自分の能力では理解できないような製品、商品、サービスは購入しないことにしています。
このあたりは難しいですよね。詐欺か詐欺でないのか・・・
でも、消費者相手ではなく、企業同士であればもっとあるような気がしますね。
例えば、コンサルティングなんて成果がよく見えないことがあるので、詐欺との線引きが非常に難しいのかも・・・
このような問題と企業の社会的責任についてはもう少し詰めて考えます。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.08.23 14:21
森先生、コメントありがとうございます。そういえば内部統制の目的に
・業務の有効性・効率性
という項目がありましたね。。。
利益が極大となるような行為が必要ということですよね・・・
なるほどです。
Posted by: 丸山満彦 | 2005.08.23 14:23