経営者の徳はチェックリストではわからない
こんにちは、丸山満彦です。東海道新幹線の車内販売でWedgeという雑誌が売られているのですが、これがなかなか面白い話題が多いです。2005年4月号もいくつか面白い点話があります。今月号では、企業の社会的責任とは何かについて考えさせられる記事がいくつかありました。
「形式重視のSRIファンド、押し付けられる株主偏重 会社が骨抜きにされる!? これが企業統治ビジネスの本質だ」
日本でSRIファンドを作ろうしたところ、キヤノンやトヨタが選定からもれた。その原因がチェックリストにあったガバナンス体制であった話など興味深い。社外取締役の割合が少ない両社が選定基準からもれたのである。企業の社会的責任は、経営者の徳だと思います。それを徳の少ない人が作ったチェックリストで図ろうとしてもそもそも無理ですよね。
他にも次のような記事があります。
「社員・顧客置き去りで巨大M&A企業の瓦解が始まった 時価総額追い求め、荒廃した人心と企業文化」
「リストラ企業よ 三菱を見習え(佐々木征夫)」
「誇りを持って精一杯働け 君たちは私が守る(三菱重工業会長・三菱自動車工業会長 西岡喬)」
特に西岡さんの記事は心を打つものがあります。最近、松下幸之助さんの本も読んだのですが、このような経営者の生き方を考えるとファッションビジネスのようにCSRを唱える人達との人格の差を感じさてくれますね。
この点は、私も反省・・・
このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。
Comments
「徳」ですか。
トヨタの奥田会長は社長時代に「徳のある会社を目指す」と常々発言し、「harmonious growth」を経営方針としてましたが、そうゆうのは客観的に評価しづらいんでしょうね。
社徳を客観的に評価できればよいのでしょうけど。
Posted by: はまちゃん | 2005.03.22 15:31
WEDGE4月号では、ブログの危険性に関する記事を興味深く読みました。
ブログの可能性と危険性については、企業の認識はまだまだ不十分だと思います。
WEDGE、さほどメジャーではありませんが、いつも、なかなか鋭い記事を書きますよね。
Posted by: 山口俊一 | 2005.03.23 00:09
丸山 様
おはようございます。
この手の「評価」を見るといつも思うことですが,評価基準の健全性って何によって担保されているんでしょうか?
仮に評価基準それ自体には何も問題ないと仮定しても,評価に際しての要素の数値化の作業が正確になされているかどうかはどのようにして保障されるのでしょうか?
仮に数値化の過程が健全であったとしても,数値に基づく判断があくまでも定量的な要素に基づくものに過ぎない以上,定性的な要素を含む判断を下してはならないという鉄則を守って判定を下しているかどうか,あるいは,判定内容を表現しているかどうか,あるいは,そのような能力を持った人間が判定しているかどうかという点はどのようにして確保されているのでしょうか?
これらの観点から考えてみると,いわゆる「第三者評価」なるものは,その大半がインチキである可能性があると断言して良いと思っています。
とりわけ,評価対象となる者の能力よりも大幅に劣った能力しか有しない者が判定者の場合には,ほぼ完全に間違った結論しか出せません。
会計監査のように,ある確立された手法が存在し,評価を受ける側でもその手法に適合した証跡を提供するように訓練されている場合には,その評価基準における公平性も確保されているし一定程度の合理性も維持可能だと思います。
しかし,企業の「社会的責任」の実質的内容の大半がコンプライアンスすなわち法令上の義務の遵守に過ぎない以上,仮に社会的責任をつくしている度合いを測定しようとすれば,当該企業の財務諸表から始まってほぼすべてのドキュメントを精査し,法律や会計等の専門家や専門組織に十分に検討してもらった上でないと判定結果が出ません。当該企業の同意なく,第三者がそれを行うことは不可能です。
つまり,一般にSRIファンドなどの行っている判定は,基本的に虚偽であるか詐欺であるかのいずれかであるし,事案によっては(特に判定基準の健全性,評価過程の正確性,判定結果及びその表現の限定性が証明されない場合),企業経営に対する違法な侮辱行為または業務妨害行為として処罰されるべきものだろうと思います(故意ではなく過失による場合でも,不法行為による損害賠責任を負うべきでしょう。)。
というようなことを言うと,たいていの評価会社の担当者は,「この評価基準は米国の***に準拠するもので・・・」などと口走ります。
しかし,非常に多くの場合,それは嘘です。仮に嘘でなくても内容をぜんぜん理解していないです。そもそもそのような判定基準それ自体の健全性が保障されていないどころか大半の企業や学者などから疑いの目で見られているという現実を知らないで(または隠蔽して)平気でいることが多いですね。
いずれにしても,詐欺的であり違法行為くさいです。
評価会社の従業員としては,評価会社が用いるツールそれ自体の健全性を疑ってしまったのでは退職するしかないわけだから,奴隷のように盲従するしか選択肢がないのでしょうけれど,そこらへんが公認会計士や弁護士などとの根本的な相違点かもしれませんね。公認会計士や弁護士などは,それぞれ独立性を有しており自己の責任で適法かつ公正に行動すべきことが法によって義務付けられています。
Posted by: 夏井高人 | 2005.03.24 07:14
丸山 様
夏井です。
ちょっと余談です。
先日某省で開催されたTFの会議に出席し,その席上で,情報セキュリティに関して世界的に承認されている基本理論それ自体に重大な欠陥が存在していること,そして,本来はどのような理論が構築されるべきであったのかを示唆しました。
欠陥のある理論やモデルに盲従する情報セキュリティ政策は,もうやめにしましょう。無能さをさらけ出すようなものです。
自分の目で事実をしっかりと見極め,自分の頭でよく考え,他人からの批判にも謙虚に耳を傾けながら公平に判断し,対象の特性に即した正しい理論とモデルを構築し,それに基づく合理的な実装と運用を検討し,そして,勇気をもって決断し行動しないと駄目ですね。
Posted by: 夏井高人 | 2005.03.24 07:27