経済産業省 経済安全保障経営ガイドライン(第1版)(2026.01.23)
こんにちは、丸山満彦です。
経済産業省が、「経済安全保障経営ガイドライン(第1版)」を取りまとめていますよね...
国際情勢の変化に伴う経済安全保障リスクに対し、企業経営が中長期的視点で自社価値を守り高めるための実務的指針ということのようです...
核となる考えは「自律性」と「不可欠性」の強化。
以前から言われているとおり、特定国・地域・企業への過度な依存を避けつつ(サプライチェーン強靭化)、自社の技術・製品・サービスを国際社会にとって不可欠な存在に育てる(イノベーション投資と流出防止)ことを目指すという考え方ですね。。。
そして、経営者自らがリスクマネジメントと意思決定を主導し、サプライチェーン強靭化、技術流出防止、情報収集・分析、ステークホルダーとの対話、組織的ガバナンス整備を推進することを求めています。
具体的施策としては、取引・調達の可視化と代替策の準備、研究開発と流出対策の両立、社内横断の司令塔機能設置、モニタリングと検証、外部機関や政府との連携が挙げられる。付録のチェックリストにより実務の自己点検が可能であり、法令遵守に加え企業独自の創意工夫で対応を進めることが期待されていますね...
● 経済産業省
・2026.01.23「経済安全保障経営ガイドライン(第1版)」を取りまとめました
・[PDF] 経済安全保障経営ガイドライン(第1版)
・[XLSX] 経済安全保障経営ガイドラインチェックリストの抜粋
・[PDF] 経済安全保障経営ガイドライン(第1版)(案)に対する意見公募の結果について
目次...
1. はじめに
2. 基本方針
(1) 本ガイドラインの位置付け
(2) 本ガイドラインで想定する企業
(3) 本ガイドラインの対象者
(4) 本ガイドラインで定める内容と範囲
3. 経営者等が認識すべき原則
(1) 自社ビジネスを正確に把握し、リスクシナリオを策定する
(2)経済安全保障への対応を単なるコストではなく、投資と捉える
4. 個別領域における取組の方向性
(1) 自律性確保の取組
① 自律性確保の重要性の高まり
② 経営者等が認識すべき推奨事項
(経営者等に期待される経営意識)
(自律性確保に向けた全体最適なサプライチェーン戦略の立案)
(自律性確保における組織体制の構築)
(ステークホルダーとの対話)
(2) 不可欠性確保の取組
① 不可欠性確保の重要性の高まり
② 経営者等が認識すべき推奨事項
(経営者等に期待される経営意識)
(不可欠性確保に向けた中長期的な経営戦略の立案)
(不可欠性確保における組織体制・風土の構築)
(ステークホルダーとの対話)
(技術等が流出した場合の対応)
(3) 経済安全保障対応におけるガバナンス強化
① 経済安全保障対応におけるガバナンスの定義
② ガバナンス強化の重要性の高まり
③ 経営者等が認識すべき推奨事項
(経済安全保障に関する情報収集)
(経済安全保障リスクおよび機会の特定・分析・評価)
(経済安全保障リスクへの対応策の検討・実行・モニタリング)
(経済安全保障対応における組織体制の構築)
付録:チェックリスト
| A. 経営者等が念頭に置く原則 | |
| (1)自社ビジネスを正確に把握し、リスクシナリオを策定する | |
| ア | 自社ビジネスのグローバル・バリューチェーンの全体像の把握に向けた調査を実施している |
| イ | 自社のコアとなる技術等の把握に向けた検討を進めている |
| ウ | ア及びイで把握した事実に基づき、リスクシナリオ及び対応策の検討を進めている |
| (2)経済安全保障への対応を投資と捉える | |
| ア | 自社の経営戦略等の策定に際し、経済安全保障対応に係る検討を行っている |
| (3)マルチステークホルダーとの対話 | |
| ア | 自社の経済安全保障対応に関係する社内外のステークホルダーとの対話を行っている |
| B.個別領域における取組の方向性 | |
| (1)自律性確保の取組 | |
| (経営者等に期待される経営意識) | |
| ア | 経営戦略等の策定に際し、自社の製品・サービスの供給安定性や信頼性等の価格だけでない要素に係る検討を行っている |
| イ | 自社サプライチェーンの特定の国・地域又は企業への過度な依存が孕むリスクについて検討している |
| ウ | 社内において、製品の供給安定性等の価格だけでない要素の重要性を認識させるための取組や研修を行っている |
| (自律性確保に向けた全体最適なサプライチェーン戦略の立案) | |
| エ | 平素から、自社にとって重要な原料・製品・サービス等に係るリスクシナリオや対応策(必要に応じて個社を超える取組を含む。)を検討している |
| オ | サプライチェーン強靱化のための施策を進める際にも自社のコアとなる技術等に係る流出対策を行っている |
| ※1 | 途絶リスクが高い原料等について、使用の合理化、リサイクル・代替技術開発等の中長期的な対応を検討することも有用 |
| (自律性確保における組織体制の構築) | |
| カ | 社内横断的な体制の構築に留まらず、リスク発現時に経営者等が関連部門・機能に直接指示することを可能とする体制を構築している |
| キ | サプライチェーン途絶に係る対応策の検討に際しては、途絶の原因となる事案が継続・悪化する可能性も考慮している |
| ※2 | 経済安全保障を管轄する専門部門・機能等を設置し、一定の経営判断の際の決裁ラインに当該専門部門・機能等を含めることも有用 |
| (ステークホルダーとの対話) | |
| ク | 平素より株主、金融機関、顧客企業等のステークホルダーと自社のサプライチェーンに係るリスク・対応策に係る意思疎通を行っている |
| ケ | サプライヤーとの間で、経営者等から現場までの各階層で、平素から重要な材料・製品等について密に情報共有できる体制を構築している |
| コ | 他国の国境措置等によってサプライチェーンの混乱等が発生した場合、必要に応じて経済産業省等へ速やかに相談を行うことができるよう、平素から連絡先等の確認や連携を図っている |
| ※3 | 重要な材料・製品等のサプライヤーと供給途絶リスクシナリオを共有し、平素から代替供給確保のための計画を策定することも有用 |
| (2)不可欠性確保の取組 | |
| (経営者等に期待される経営意識) | |
| ア | 自社において技術等の流出防止対策を実施するのみならず、自社の技術等に触れる取引先等においても実施されていることを確認している |
| イ | 取引先等の選定の際に、当該取引先等の技術等の管理体制を考慮している |
| ウ | 自社のコアとなる技術等を特定し、同技術等の管理、流出リスクに係る評価及び流出対策を実施している |
| (不可欠性確保に向けた中長期的な経営戦略の立案) | |
| エ | 中長期的な経営戦略等の策定に際して、既存のコアとなる技術等がコモディティ化した後も継続的なイノベーションによって新たな不可欠性を創出する方策を検討している |
| オ | 自社の経営戦略等の策定に際して、自社のコアとなる技術等の喪失・流出リスク及び同リスクへの対応を検討している |
| カ | 資本政策の検討に際して、買収や資本提携等を通じたノウハウや技術流出リスク等も考慮している |
| ※1 | 技術等の協調領域を見極めた上で、業界全体や政府による育成プロジェクト等に参画することも有用 |
| (不可欠性確保における組織体制・風土の構築) | |
| キ | 技術等の流出対策に経営者等を含めて全社的に取り組んでいる |
| ク | 技術等の流出リスク低減の観点から、必要に応じて従業員の待遇の向上や退職者との良好な関係構築に繋がる施策を実施している |
| (ステークホルダーとの対話) | |
| ケ | 平素から、社内外の主要なステークホルダーに対し、自社における技術等の流出対策や管理体制について説明を行っている |
| コ | 技術等の流出対策の検討等に際して懸念が生じた場合には経済産業省に相談を行うとともに、相談結果を踏まえ、同分野の技術等を持つ他企業との対話を行っている |
| (技術等が流出した場合の対応) | |
| サ | 技術等が流出した場合に、迅速に原因分析や再発防止策を行うべく、経営者等自らが指示を行うことのできる体制を整備している |
| シ | 技術等が流出した場合、技術等の重要度、影響等を考慮して対応するとともに、ステークホルダーとの対話を行うこととしている |
| (3)経済安全保障対応におけるガバナンス強化 | |
| (経済安全保障に関する情報収集) | |
| ア | 社内外のリソースを活用して経済安全保障に係る情報を収集する体制を整備している |
| イ | 経営者等が、現場レベルで得られた経済安全保障に係る情報を自ら把握するようにしている |
| (経済安全保障上のリスクおよび機会の特定・分析・評価) | |
| ウ | 外部情報と自社保有情報の両方を考慮した上で、経済安全保障のリスク・機会を特定、評価している |
| エ | 定量化等の手法も用いて可能な限り客観的な形でリスク・機会に係る評価等を行っている |
| オ | リスク・機会の評価に際しては、サプライチェーンや業界全体への影響をも考慮している |
| (経済安全保障リスクへの対応策の検討・実行・モニタリング) | |
| カ | 短期的な利潤最大化にとらわれず、中長期的かつ全体最適の観点から、経営判断を行っている |
| キ | 対応策の効果検証に加え、経済安全保障対応に係る組織・運用の体制の適切性についてモニタリングを行っている |
| (経済安全保障対応における組織体制の構築) | |
| ク | 経済安全保障対応について、社内横断的な体制を整えるとともに、必要に応じて経営者等が関連部門に直接指示し、迅速に対応を実施できる体制を整備している |
| ケ | 経済安全保障について、リスクのみならず機会の側面も含めて対応策を検討できる体制を構築している |
| ※1 | 役員間の連携を促進すること及び必要に応じて経営者等が自ら対応策実行の必要性や目指すべき姿等を示すことも有用 |
| ※2 | 経済安全保障を統括する司令塔部門・機能を定めるとともに、同部門・機能やリスク対応策の検討・実行を担当する組織に十分かつ適切な権限を与えることも有用 |
| ※3 | 部門長等を経済安全保障対応に係る責任者として定めるほか、経済安全保障を担当する執行役員相当以上の職責の者を定めることも有用 |
| ※4 | 経済安全保障に知見・経験を有する人材の育成も有用 |
« 英国 ソフトウェアセキュリティ大使制度 (2026.01.15) でソフトウェアセキュリティ実践規範の推進 | Main | 米国 司法省 元グーグル技術者、経済スパイ活動及び人工知能技術の機密窃盗で有罪判決 (2026.01.30) »

Comments