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2026.02.12

金融庁 意見募集 暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)

こんにちは、丸山満彦です。

金融庁から、暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)が公表され、意見募集されていますね...

この取組方針(案)では暗号資産交換業等のサイバーセキュリティは「自助・共助・公助を組み合わせた官民一体の戦略課題として、質・量ともに一段引き上げなければならない」という感じにまとめられていますかね...

この取組方針(案)が興味深いのは、サイバーセキュリティへの取り組みについて事業者(自助)のみならず、業界(共助)、政府(公助)も含めた全体で取り組むことを前提にしていることですかね...

自助という点では、暗号資産交換業等に、金融庁がこれまで他の金融業態向けに実施しているサイバーセキュリティセルフアセスメント(CSSA)を暗号資産交換業者全社に実施することを求め、必要な対話を行っていくこととする。これにより、各事業者のサイバーセキュリティ管理態勢の状況を継続的に把握するとともに、高度化する脅威に対応するための必要な改善を促していくと記載していますね。。。 2025 年度実施のブロックチェーン「国際共同研究」等の結果を踏まえて、事務ガイドラインで暗号資産交換業者に求めてい
るサイバーセキュリティの水準の引上げを検討する、としていますね...

共助という点では、自主規制機関と情報共有機関の2つについて言及していますね...自主規制機関は、高度化する脅威に的確に対応して自主規制のアップデートを継続的に行うとともに、各事業者における遵守状況のモニタリングを実効的に行うことが求められるとし、金融庁が自主規制機関の体制整備について継続的にフォローアップを実施するとともに、必要に応じて改善を促していくとしていますね。情報共有機関については、企業のセキュリティ実務担当者同士が信頼関係を構築し、実効的な情報共有を行う文化を醸成することが極めて重要であるとし、JPCrypto-ISACなど情報共有機関への積極的な参加を促すとともに、代表的な暗号資産交換業界における情報共有機関である JPCrypto-ISAC との間で実効的な情報共有機関の在り方について意見交換を重ね、業界全体のサイバーセキュリティ強化に向けて取り組んでいくとしていますね...

公助という点では、ブロックチェーン「国際共同研究」プロジェクトによる代表的な攻撃事例の手法、リスク、対応策の分析、3年以内にに前事業者がDelta Wall に参加するようにする、脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT)実証事業が記載されていますね...

ちなみに、私もJPCrypto-ISACの設立時から関わっていますので、応援してくださいませ...



金融庁

・2026.02.10 「暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)」の公表について

・・(別紙2)暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)(概要)

20260211-214600

 

・・(別紙1)暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)

20260211-214717

 

 


 

金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ 報告では、暗号資産が国内外で明確に「投資対象」として定着した現状を踏まえ、利用者保護と市場の健全性を確保するため、資金決済法中心の規制から、金商法を中心とした包括的な規制体系へ移行すべきであるというような報告書となっていましたよね...

暗号資産は匿名性・国境を越えた移転・高ボラティリティといった特性を持ち、詐欺的勧誘や無登録業者の横行、ハッキングによる流出など、既存の資金決済法だけでは十分に対応できない課題が顕在化してきているとして、「暗号資産の特性に応じた金融商品」としての規制を整備することにより、利用者保護の充実を図る」と述べ、情報提供規制の強化、業規制の金商法への統合、不公正取引規制(特にインサイダー取引規制)の導入、サイバーセキュリティの高度化など、従来の金融商品と同等の枠組みを適用する必要性を示していますね...

また、規制強化がイノベーションを阻害しないよう柔軟性を確保しつつ、国際的な規制動向との整合性を重視することも当然意識していますね..

で、具体的な規制として、

・情報提供規制:中央集権型暗号資産の発行者に開示義務を課し、交換業者にも審査・情報提供義務を課す。リスク・商品性のサマリー提供、適時開示、定期開示(年1回)も求められる。

・業規制:第一種金商業に準じた体制整備、利用者適合性確認、セキュリティ強化、責任準備金の積立て、委託先規制などを導入する。・不公正取引規制:インサイダー取引規制の導入、課徴金制度、証券監視委の調査権限付与を提案。

・その他:市場開設規制、DEXや海外無登録業者への対応、金融リテラシー向上策、業界共助(JPCrypto-ISAC)の強化など。

で、サイバーセキュリティに関する取組みについて次のように記載があります...


6.サイバーセキュリティに関する取組み

(1)サイバーセキュリティに関する取組みの基本的な方向性

暗号資産に係るサイバーセキュリティ対策は、攻撃者が常に高度化することに加えて、技術革新により自身のシステム構成も動的に変化するため、法令では必要な体制の確保に係る義務を規定し、技術や運用の要件等については柔軟に環境変化に対応できるようにガイドライン等で定めることが適当である。暗号資産に係る利用者財産の保護は、特に、サイバーセキュリティの高度化を通じて得られるとの考えに立って、適切なセキュリティ投資の下で各社のリスクマネジメントの PDCA が実効的に行われることが重要である。交換業者におけるこうした投資を行うインセンティブ付けとフィージビリティに留意して法令・ガイドラインの規定は検討されるべきである。

(2)業界の共助や金融庁における取組み

金融庁では、これまで、交換業者を含めた金融業界全般に対して、「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」等のガイダンスの提供、モニタリングの実施や演習(Delta Wall)等、公助の取組みを進めており、こうした取組みについて今後も着実に実施していくことが重要である。

また、全世界で暗号資産の流出に繋がるサイバー事案が数多く発生しており、直近の事案では手口がより巧妙化しているため、交換業者等におけるサイバーセキュリティ体制の継続的な強化に向けた官民の対応が不可避となっている。個社が国家レベルの攻撃に日々さらされる中で、サイバーセキュリティ対応は、自助・共助・公助の組み合わせで対処すべき課題であり、特に業界共助の取組みの発展が不可欠であることから、JPCrypto-ISAC をはじめとする情報共有機関が適切に機能することが期待される。当局としてもそうした取組みを後押ししていくべきである。


 

 

目次...

Ⅰ はじめに
1.暗号資産に係るこれまでの法制度の整備について
2.暗号資産の投資対象化の進展を踏まえた今般の見直しについて

Ⅱ 暗号資産の取引の現状と課題
1.暗号資産の取引の現状
2.喫緊の課題

Ⅲ 求められる対応
1.規制見直しに当たっての考え方
(1)規制見直しの趣旨
(2)規制見直しに当たっての留意点
2.根拠法令の見直し
(1)金商法の規制枠組みの活用
(2)暗号資産の金商法における位置付け
(3)金商法で規制対象とする暗号資産の範囲
(4)資金決済法における暗号資産の規制
3.情報提供規制
(1)新規販売時の情報提供
(2)継続情報提供
(3)情報提供の内容の正確性・客観性の確保と『募集・売出し』時の利用者保護
4.業規制
(1)基本的な方向性
(2)個別論点
(3)銀行・保険会社やそのグループにおける取扱い
(4)無登録業者への対応等
(5)海外の無登録業者・DEX 等への対応
5.暗号資産取引に係るリテラシーの向上等
(1)利用者の慎重な取引を促す方策
(2)DEX や海外無登録業者での取引に係るリスク周知
(3)暗号資産取引に係る金融リテラシーの向上に向けた方策
6.サイバーセキュリティに関する取組み
(1)サイバーセキュリティに関する取組みの基本的な方向性
(2)業界の共助や金融庁における取組み
7.市場開設規制
8.不公正取引規制
(1)インサイダー取引規制
(2)その他の不公正取引規制
(3)課徴金制度・その他のエンフォースメント

Ⅳ おわりに

Ⅴ 参考資料

 

 

 

 

金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」

暗号資産制度に関するワーキング・グループ
2025.12.10 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告の公表について
  (別紙) 金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ 報告
  (参考) 金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ 報告 概要
    (参考資料)
2025.11.26 第6回   
資料 資料1 ヒアリング資料①
  資料2 ヒアリング資料②
  資料3 金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(案)
2025.11.07 第5回  
資料 資料1 事務局説明資料①
  資料2 事務局説明資料②
2025.10.22 第4回  
資料 資料1 「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」メンバー名簿
  資料2 事務局説明資料①
  資料3 ヒアリング資料
  資料4 事務局説明資料②
2025.09.29 第3回  
資料 資料1 ヒアリング資料①
  資料2 松尾真一郎委員説明資料
  資料3 ヒアリング資料②
  資料4 事務局説明資料
議事録    
2025.09.02 第2回  
資料 資料1 ヒアリング資料①ー1
  資料2 ヒアリング資料①ー2
  資料3 事務局説明資料①
  資料4 ヒアリング資料②
  資料5 事務局説明資料②
議事録    
2025.07.31 第1回  
資料 資料1 諮問文
議事録 資料2 「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」メンバー名簿
  資料3 ヒアリング資料①
  資料4 事務局説明資料①
  資料5 ヒアリング資料②
  資料6 事務局説明資料②
  参考資料1 「暗号資産に関連する制度のあり方等の検証」(ディスカッション・ペーパー)
  参考資料2 御意見の概要

 

 

 

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