日本公認会計士協会 委託研究「日本の監査実務の質を確保・向上させる新たな方法の探求の研究に関する共同研究」(2025.08.08)
こんにちは、丸山満彦です。
日本公認会計士協会は、2024年度より青山学院大学矢澤教授を中心とした研究チーム、監査実務の質の確保・向上に資する研究を委託していたようで、最初の報告書として、「日本の監査実務の質を確保・向上させる新たな方法の探求の研究に関する共同研究」成果報告書を受領し、公表していますね...
この報告書は、端的にいうと、
目的:日本における監査実務の現状を定量的に把握し、監査品質の確保・向上に向けた実証的知見を提供する
手法:日本公認会計士協会から提供された監査概要書データ(2017年から2022年)を用いて、監査報酬、監査時間、監査品質の関係を実証的に分析。
というもので、非常に興味深い内容となっています。
実証分析の結果からわかったこととしては、
(1)監査時間が長いほど、異常会計発生高が小さくなる傾向が確認された。
これは、監査努力が経営者の利益調整を抑止し、監査品質の向上に寄与していることを示唆している。
(2)期待される水準に比べて異常に低い監査報酬が設定された場合、監査品質の低下と有意な関連が認められた一方で、異常に高い報酬との関連は確認されなかった。
これにより、報酬水準の多寡そのものよりも、監査努力との整合性が品質の維持において重要であることが示唆された。
また、データの分析から、
Big4等の大手監査法人を中心に、監査補助者の投入が拡大している点が明らかになっています。
単なる私の印象論ですが、ITにかかる内部統制の評価等について公認会計士ではない監査補助者の活用が監査品質にも重要であることからそうなっていて、Big4は特にグローバルの大手企業の監査の割合が高いためよりその傾向が高くなっているのではないかと思っています。が、実際のところどうなのかはより詳細な実証データの分析が必要だと思います。監査時間についても監査計画、内部統制の評価、実証検証、開示項目の確認等の業務毎の分析があればより深い検討ができるかもしれません。
ただ、監査概要書のデータからだけでは分析できないですかね...
監査報酬が業種が規模でみて相対的に低い場合は、監査品質が低い可能性が高いと推定されるわけですから、公的機関によるチェックの場合にはより慎重にみることが重要だろうと思います。
また、監査の失敗が発見された場合にも、監査報酬の分析をし、監査の品質担保が十分であったのかを検討することも重要かもしれません。
いずれに興味深い報告書なので、目を通しておくのは良いかと思います。
付け足しですが...これからAIの利用がより進んでいくので、その変化の前に現状の分析をしておくのは重要かもしれないと思いました...
● 日本公認会計士協会
・2025.08.08 委託研究「日本の監査実務の質を確保・向上させる新たな方法の探求の研究に関する共同研究」の 成果物の受領について

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