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2025.03.24

金融庁 「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)(2025.03.21)

こんにちは、丸山満彦です。

金融庁が、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)を公表し、意見募集をしていますね...

改訂案のポイントは次の3つですかね...

  • 協働エンゲージメント
  • 実質株主の透明性向上
  • コードのスリム化/プリンシプル化

形式より実質の重視...

 

金融庁

・2025.03.21 「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)の公表について

 

 

・[PDF] (別紙1)「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)

20250324-84155

 

 ・[PDF] (別紙2)スチュワードシップ・コードの改訂案について


スチュワードシップ・コードの改訂案について

    2025321日金融庁

一 経緯

  1. スチュワードシップ・コードが 2014 2 月に策定されて以来、2017 5月、20203月の2度の改訂を経て、約10年が経過した。コーポレートガバナンス・コードと合わせて、両コードの下で、コーポレートガバナンス改革には一定の進捗が見られる。他方、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、形式的な対応にとどまることなく、企業と投資家の双方における自律的な意識改革に基づくコーポレートガバナンス改革の実質化が重要である、との指摘がなされている。

  2. こうした中、202467日、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」により、「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」(以下、「アクション・プログラム2024」という。)が公表された。同文書において、スチュワードシップ活動の実質化の観点から、建設的な目的を持った対話に資する協働エンゲージメントの促進や、実質株主の透明性向上に向け、スチュワードシップ・コードの更なる見直しが提言された。

  3. これを受け、202410月から計3回にわたり、「スチュワードシップ・コードに関する有識者会議」を開催し、コード改訂に向けた議論を重ねてきた。こうした議論を踏まえ、今般、スチュワードシップ・コード改訂案(以下、「改訂案」という。)を取りまとめたので、これを公表し、下記「三 意見公募項目」に沿って広く意見を求めることとした。

今後、寄せられた意見を検討し、改訂コードの最終版を公表する。 

二 改訂案の考え方

  1. 企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を促進する観点からは、コーポレートガバナンス改革の趣旨に沿った実質的な対応をより一層進展させることが重要であり、形式的な体制を整備することのみによってその十分な成果を期待することはできない。また、コードの改訂については、形式的な体制整備に資する一方、同時に細則化により、コンプライ・オア・エクスプレインの本来の趣旨を損ない、コーポレートガバナンス改革の形骸化を招くおそれも指摘されている。「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(2023426日公表)においては、企業と投資家の自律的な意識改革を促進するための施策や企業と投資家との建設的な対話の実効性を向上させるための施策を基本とし、必要に応じ、その他の施策によりこれを補完していくことが適切との方向性の下、「各コードの改訂時期については、必ずしも従前の見直しサイクルにとらわれることなく、コーポレートガバナンス改革の実質化という観点から、その進捗状況を踏まえて適時に検討することが適切である。」とされた。これに基づき、2023年、2024年にはスチュワードシップ・コードの改訂が見送られた。

  2. 今般の改訂では、大量保有報告制度における「共同保有者」の範囲の明確化を含む金融商品取引法等の改正も踏まえつつ、アクション・プログラム2024 において改訂の必要性があるとの指摘があった、協働エンゲージメントの促進及び実質株主の透明性向上に向けた見直しを行った1。他方で、次に記すように、初の試みとして、本コードのスリム化/プリンシプル化のための見直しも行っている。このような、スチュワードシップ活動の実質化の観点からの見直しにより、署名機関の自律的な意識改革が促進され、企業と投資家との建設的な対話が更に深度ある実効的なものとなっていくことが期待される。今後も、企業と投資家の対話を取り巻く環境の変化やコーポレートガバナンス改革の進捗状況に応じて、改訂の要否を適時に検討していく。検討の際には、実務への浸透・定着の状況も踏まえて、必要に応じスリム化/プリンシプル化も図っていく。

  3. 本コードは、機関投資家が取るべき行動について詳細に規定する「ルールベース・アプローチ」(細則主義)ではなく、機関投資家が各々の置かれた状況に応じて、自らのスチュワードシップ責任をその実質において適切に果たすことができるよう、いわゆる「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)を採用している。三度目の改訂となる今般の改訂案では、本コード本来の姿であるこの「プリンシプルベース・アプローチ」の原点に立ち返り、その趣旨を徹底する観点から、例えば、策定・改訂時から一定期間が経過し実務への浸透が進んだ箇所等を削除・統合・簡略化するなど、スリム化/プリンシプル化を図った。もっとも、削除・統合・簡略化された箇所についてその趣旨の重要性が否定されるものではないことに留意が必要である。

  4. 本コードは法令とは異なり、法的拘束力を有する規範ではない。その上で、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用している。すなわち、本コードの原則の中に、自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明することにより、一部の原則を実施しないことも想定している。今後、改訂コードの受入れ・実施に当たっては、この「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法の趣旨が、コードの署名機関である機関投資家等のみならず、顧客・受益者にあらためて再認識されることが重要である。また、コードの署名機関と投資先企業が継続的に対話を行うことで、この「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法の趣旨が、投資先企業を含めた幅広い関係者に浸透し、また全うされることにもつながると考えられる。

  5. アクション・プログラム2024においても、本コードの見直しにあたり、議決権行使と対話は点と線の関係にあり、議決権行使(点)に至るまでの対話の過程(線)で、どのような対話をすることが重要かという意識をもつことや、エンゲージメントの成果を意識し検証することが重要であるとの指摘がなされた。企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた、投資家と企業の「緊張感のある信頼関係」に基づいた対話が行われることが重要である。インベストメント・チェーンを構成する各主体に対して様々な取組が求められる中2、スチュワードシップ活動の実質化を後押しする本コードは、コーポレートガバナンス改革において引き続き重要な役割を担っている。改訂コードの活用により、対話がより一層実効的なものとなっていくことが期待される。

三 意見公募項目

(実質株主の透明性向上)【原則4】

問1-1. 現行コードの注15に「機関投資家が投資先企業との間で対話を行うに当たっては、自らがどの程度投資先企業の株式を保有しているかについて企業に対して説明することが望ましい場合もある」とある部分を、指針に格上げし、「機関投資家は、投資先企業との間で建設的に対話を行うために、投資先企業からの求めに応じて、自らがどの程度投資先企業の株式を保有しているかについて企業に対して説明すべき」(改訂案指針4-2)と記載することについてどう考えるか、及びその理由。

問1-2. 上記に加え、投資先企業から求めがあった場合の対応方針についてあらかじめ公表しておくべき旨を記載することについてどう考えるか、及びその理由。

2 なお、アセットオーナーについては、本コードとは別に、アセットオーナーが受益者等の最善の利益を勘案して、その資産を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)を果たしていく上で有用と考えられる共通の原則を定めた「アセットオーナー・プリンシプル」が策定されている(2024年8月28日公表)。

(協働エンゲージメントの促進)【原則4】

問2-1. 現行コード指針4-5における、「機関投資家が投資先企業との間で対話を行うに当たっては、単独でこうした対話を行うほか、必要に応じ、他の機関投資家と協働して対話を行うこと(協働エンゲージメント)が有益な場合もあり得る」との記載を、「機関投資家が投資先企業との間で対話を行うに当たっては、単独でこうした対話を行うほか、他の機関投資家と協働して対話を行うこと(協働エンゲージメント)も重要な選択肢である。対話のあり方を検討する際には、投資先企業の持続的成長に資する建設的な対話となるかを念頭に置くべきである」と改訂することについてどう考えるか、及びその理由。

問2-2. 機関投資家が協働エンゲージメントを行うに当たって留意すべき点はあるか、ある場合にはその理由。

(コードのスリム化/プリンシプル化)【全体】

問3. コード策定・改訂時から一定期間が経過し実務への浸透が進んだ箇所等を、改訂案の通り、削除・統合・簡略化することについてどのように考えるか、及びその理由。

(その他)【全体】

問4. 上記のほか、改訂案の改訂項目に対する意見及びその理由。

以 上


 

・[PDF] (参考1)「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)(実質株主の透明性向上・協働エンゲージメント等に関する改訂案のみ抜粋)

・[PDF] (参考2)「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)(スリム化/プリンシプル化の観点からの改訂案のみ抜粋)

 


 

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