個人情報保護委員会 いわゆる3年ごと見直しに係る検討関係(第314回委員会)
こんにちは、丸山満彦です。
第314回個人情報保護委員会が開催され、個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)についてが議論されたようですね...
第312回に示された「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の検討の進め方について(案)」の「3 制度的な論点の再整理について 」で示された、次の3つの論点のうちの(1)に関わるものですね...
(1)個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方
(2)個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスクに適切に対応した規律の在り方
(3)個人情報取扱事業者等による規律遵守の実効性を確保するための規律の在り方
・2025.02.05 第314回個人情報保護委員会
・[PDF]「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の検討の進め方について(案)
1 個人の権利利益への影響という観点も考慮した同意規制の在り方
(1) 統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱いを実施する場合の本人の同意の在り方【規律の考え方】
- 統計情報等の作成のために複数の事業者が持つデータを共有し横断的に解析するニーズが高まっていること、特定の個人との対応関係が排斥された統計情報等の作成や利用はこれによって個人の権利利益を侵害するおそれが少ないものであることから、このような統計情報等の作成にのみ利用されることが担保されていること等を条件に、本人同意なき個人データ等の第三者提供及び公開されている要配慮個人情報の取得を可能としてはどうか。
- 行政機関等の取り扱う保有個人情報についても同様に、利用目的以外の目的のための提供に係る「統計の作成」の例外規定の対象を、統計情報等の作成に拡大してはどうか。
(2) 取得の状況からみて本人の意思に反しない取扱いを実施する場合の本人の同意の在り方【規律の考え方】
- 個人データの第三者提供等が契約の履行のために必要不可欠な場合を始め、目的外利用、要配慮個人情報取得又は第三者提供が本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかである場合について、本人の同意を不要としてはどうか。
(3) 生命等の保護又は公衆衛生の向上等のために個人情報を取り扱う場合における同意取得困難性要件の在り方【規律の考え方】
- 人の生命、身体又は財産の保護のための例外規定及び公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のための例外規定について、現行制度においては「本人の同意を得ることが困難であるとき」という要件が付されているが、事業者・本人の同意取得手続に係る負担を軽減し、個人情報のより適正かつ効果的な活用及びより実効的な個人の権利利益の侵害の防止につなげる観点から、「 本人の同意を得ることが困難であるとき」のみならず、「 その他の本人の同意を得ないことについて相当の理由があるとき」についても、上記例外規定に依拠できることとしてはどうか。
(4) 病院等による学術研究目的での個人情報の取扱いに関する規律の在り方【規律の考え方】
- 医学・生命科学の研究においては、研究対象となる診断・ 治療の方法に関する臨床症例の分析が必要不可欠であり、病院等の医療の提供を目的とする機関又は団体による研究活動が広く行われている実態があることから、目的外利用規制、要配慮個人情報取得規制、第三者提供規制に係るいわゆる学術研究例外に依拠することができる主体である「学術研究機関等」に、医療の提供を目的とする機関又は団体が含まれることを明示することとしてはどうか。
2 本人への通知が行われなくても本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合における漏えい等発生時の対応の在り方
【規律の考え方】
- 現行法上、個人情報取扱事業者は、漏えい等報告の義務を負うときは、本人への通知が困難な場合を除き、一律に本人への通知義務を負うこととなるが、本人への通知が行われなくても本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合について、本人への通知義務を緩和し、代替措置による対応を認めることとしてはどうか。注7:例えば、サービス利用者の社内識別子(ID)等、漏えいした情報の取得者において、それ単体ではおよそ意味を持たない情報のみが漏えいした場合などが想定される。具体的な対象範囲はステークホルダーの意見をよく聞きながら委員会規則等で定めることを想定している。
- 行政機関等についても同様の改正を行うこととしてはどうか。
3 心身の発達過程にあり、本人による関与等の規律が必ずしも期待できない子供の個人情報等の取扱い
【規律の考え方】
- 子供は、心身が発達段階にあるためその判断能力が不十分であり、個人情報の不適切な取扱いに伴う悪影響を受けやすいこと等から、子供の発達や権利利益を適切に守る観点から、一定の規律を設ける必要があるのではないか。その場合、対象とする子供の年齢については、現在の運用の基礎となっている Q&A の記載や、GDPRの規定などを踏まえ、16 歳未満としてはどうか。
- 16 歳未満の者が本人である場合における、本人からの同意取得や本人への通知等に係る規定について、原則として、当該本人の法定代理人からの同意取得や当該法定代理人への通知等を義務付けることとしてはどうか。その上で、一定の場合については、例外的に、本人からの同意取得や本人への通知等を認める必要があるのではないか。
- 16 歳未満の者を本人とする保有個人データについて、違法行為の有無等を問うことなく利用停止等請求を行うことを可能としてはどうか。その場合において、一定の例外事由を設ける必要があるのではないか。
- 未成年者の個人情報等を取り扱う事業者は、当該未成年者の年齢及び発達の程度に応じて、その最善の利益を優先して考慮した上で、未成年者の発達又は権利利益を害することのないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の責務規定、及び、個人情報の取扱いに係る同意等をするに当たって、法定代理人は、本人の最善の利益を優先して考慮しなければならない旨の責務規定を設けてはどうか。
- 法定代理人の関与及び責務規定については、行政機関等についても同様の改正を行うこととしてはどうか。
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