経済産業省 産業データの越境データ管理等に関するマニュアル (2025.01.27)
こんにちは、丸山満彦です。
経済産業省が、「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」を公表していますね...
本マニュアルは、企業が国際的なデータ共有・利活用を行う上で直面する主要なリスクを把握し、適切な打ち手を検討するための指針となります。
とのことです...
前提として、次のようなことがあるのでしょうかね...
・データが国際的に自由に流通し、政府によるガバメントアクセスがなければ、産業は発展し、人類は幸福になれる...
ただし、人権の問題に関係する可能性があるので、
・個人データの国際的な移転には一定の制約があっても仕方がない...
というかんじでしょうかね...
それに加えて近年では、安全保障上の観点から、
・安全保障に関わるデータの移転には一定の制約があっても仕方がない...
ということもあるのでしょうかね...
そういうふうに考えると、
・社会として、経済成長、人権、安全保障のバランスをどのようにとるのか?ということによって、どのような制度が適切かというのが変わってくるのでしょうね...
日本はどのような社会を目指すのか?その価値観をどのように世界に広げていくのか?
そういう問題のような気もしますね...
報告書の「背景と目的」には次のように記載されています...
⚫ IoT や DX の普及、サプライチェーン透明化の要請等を背景に、企業における国際的なデータ共有・利活用の動きが拡大している。また、EU の GAIA-X 等をはじめ、産業横断でのデータプラットフォーム・基盤構築の動きも加速しており、我が国でも企業や業界、国境を越えたデータ連携を実現する取組である 「ウラノス・エコシステム」が推進されている。
⚫ 国際的なデータ共有・利活用の拡大と同時に、各国・地域においてデータに関する法制の整備も進められている。それらの中には、個人情報を含むか否かを問わず、企業が保有する産業データ全般を対象として、データの越境移転の制限(データローカライゼーション)や、政府による広範なアクセス(ガバメントアクセス)を可能とする規則も存在し、こうした動きが加速していく可能性がある。
⚫ こうした規制は、国際的な企業活動における制約要因になることに加えて、中長期的に我が国の産業全体での競争力の強化及び企業横断でのデジタル基盤の確立・普及に影響を及ぼすことも懸念される。
⚫ こうした背景から、各国・地域における産業データのルール形成の動きを踏まえ、これまで議論が積み重ねられてきた個人情報保護法制以外のデータ関連法に焦点を当て、現状の把握と対応の在り方を議論する必要性が高まっている。
⚫ これを受け、企業における安全・安心な形でのデータ共有・利活用を実現し、付加価値の創出を促進することを目指し、企業における産業データの越境・国際流通に係るデータ管理(以下「越境データ管理」という。)の指針となるマニュアル(以下「本マニュアル」という。)を作成する。
⚫ 本マニュアルを通じ、企業が国際的なデータ共有・利活用に取り組む際の主要なリスクを把握するだけでなく、データ共有・利活用を通じた事業価値の創造や競争力強化に向けた適切な国際データガバナンスの考え方・プロセスの理解を深めることを目指す。加えて、個別企業におけるデータ共有・利活用の促進を通じて、中長期的な産業競争力の強化や、企業横断的なデジタル基盤の確立にも寄与することを狙う。
ということを考えると、それぞれの国においてデータ流通がどの程度自由に行われるような環境(法制度を含む)になっているのか?というのは、その国がどのような社会を目指そうとしているのか(経済成長、人権の尊重、安全保障のどれに重きを置こうとしているのか?)と程度問題なのだろうと思います。
● 経済産業省
・2025.01.27 企業の国際的なデータ共有・利活用を推進するための「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」を策定しました
・[PDF] 産業データの越境データ管理等に関するマニュアル
・[PDF] 参考資料A 打ち手のリスト
・[PDF] 参考資料B 産業データサブワーキンググループ提出資料集(企業事例と関連テーマの動向)
目次...
1 はじめに
1.1 背景と目的
1.2 想定読者と留意点
2 検討の範囲と位置付け
2.1 検討の範囲
2.1.1 検討の前提
2.1.2 検討の対象(プロセス、データ、リスク)
2.2 検討の位置付けと関連ガイドライン
3 越境データ管理の 3 つのステップ
3.1 全体像と検討のフレームワーク
3.2 第 1 のステップ(リスクの可視化)
3.2.1 トランザクションの整理
3.2.2 リスクシナリオの整理
3.3 第 2 のステップ(リスクの評価)
3.4 第 3 のステップ(打ち手の実施)
3.5 リスクと打ち手の整理
4 主要な関連法規制(EU・中国・米国)
5 想定リスクと打ち手
5.1 データ移転・事業活動の制限(データローカライゼーション)
5.2 データの強制的なアクセス(ガバメントアクセス)
5.3 データの共有・開示の義務化
6 終わりに
産業データサブワーキンググループ 委員等名簿
参考資料
参考資料 A 打ち手のリスト
参考資料 B 産業データサブワーキンググループ提出資料集(企業事例と関連テーマの動向)
関連リンク...
● 経済産業省
● デジタル庁
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