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2024.09.03

公認会計士協会 公認会計士の一体的な資質・能力開発について(中間報告) (2024.08.30)

こんにちは、丸山満彦です。

日本公認会計士協会が、「公認会計士の一体的な資質・能力開発について(中間報告)」を公表し、意見を募集しているようですね...

● 公認会計士協会

・2024.08.30 「公認会計士の一体的な資質・能力開発について(中間報告)」の公表と意見募集について

・・[PDF] 本文

20240903-85520

検討結果の要旨は次のとおりとなっているようですね。

(1) 能力開発制度の横断的な整理(P11~P12)

(2) 公認会計士試験の試験科目の見直し(P12~P14)

(3) 公認会計士試験受験時及び公認会計士登録時の教育水準(P14~P15、P24)

(4) 実務経験の時期と質的・量的基準(P16~P18)

(5) 実務補習と修了考査(P18~P23)

(6) 公認会計士登録後の専門性の表示(P25)

(7) 資格取得後の能力開発(CPD)(P25~P29)

この報告書を読んでいると、会計士業界という閉じた社会を中心に生活している人もいるのかしら...少し昭和的な雰囲気もあって、味わい深いです...

 

ーーーーー

ビジネス環境の変化が早い中で、一定の実務能力を持っていることを保証する資格制度における、必要な実務能力をどのように定義するのか?その実務能力を持っていることをどのように保証するのか?そのためにはどのような維持制度が必要なのか?といったことが問題視され、こういう委員会が開催されることになるのだろうと思います。

私が公認会計士二次試験合格時の1992年当時は、やっと新人にノートPCが配布された頃で、まだまだ紙の監査調書が多く、会社側の会計や販売システムを司っているコンピュータもIBM互換機、AS/400が多かった時代でした。

米国では、監査基準 (SAS) でリスクアプローチ(確かSAS No.47:1983)がとられ、トレッドウェイ委員会の影響で内部統制の定義が変わり、監査意見形成について理論的に整理された頃でした。で、米国の影響をうけるBIg4の監査マニュアルがグローバルに統一されていく過程の最中でした。

また、継続企業(ゴーイングコンサーン)の開示についての議論が行われていた頃で、監査報告書で「会社が倒産するかもしれないという意見を監査人がいうのか?」みたいな議論もあったころでした。個人的には、会計公準としての継続企業の原則が成り立たなく可能性があるので、財務諸表に有用性が限定的かもしれないですよ。という注意喚起であると思っていました。その話を、先輩会計士と一緒にいった監査研究学会の大会で当時神戸大学の助教授だった内藤先生に話をした気がします...

それから、エンロン事件、SOX、JSOX、国際会計士連盟による世界的な標準化、等の時代になり、監査もより精緻に、、厳密に行われるようになってきています。

企業側も、企業活動の多くはコンピュータ処理によって支援を受ける形になっており、記録のみならず、予測もコンピュータを利用するようになってきています(当時から、需要予測に基づく自動発注システムはありましたが...)。AIの本格的な活用もこれからどんどん進みでいくことだろうと思います。

一方、公認会計士の業務領域の拡大も試みられ、非財務情報の保証といったことも行われるようになってきています。1992年当時であっても、Statement on Standards for Attestation Engagements No.2 (SSAE No.2)というものがあり、財務諸表監査以外の証明業務の基準はあったように思います。

また、当時は、1997年の京都議定書の発行にむけて環境問題に対する社会的な意識は高まっていたし、環境監査といった概念も登場したころでした。

今回の会計士協会の報告書は、資質・能力開発についての報告書なので、会計士はどうあるべきか?ということから問い直すというよりも、「国際教育基準(IES)及び「公認会計士に求められる資質・能力に関する報告書」を主たる立脚点」としているということになっています。

なので、ほぼ現在所与の会計士像を踏まえた議論になっているように思います。

 

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