自由民主党 AI の安全性確保と活用促進に関する緊急提言 (2023.12.14)
こんにちは、丸山満彦です。
自由民主党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」(座長 平将明衆議院議員)が「AI の安全性確保と活用促進に関する緊急提言」を公表していますね。。。
自由民主党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」は2023年1月に発足し、座長が「平将明 衆議院議員」で、事務局長は2023.11移行は「尾崎正直 衆議院議員」それまでは「塩崎彰久 衆議院議員」となっていますね。。。
そういえば、政府の動きが遅いから、自民党から議員立法でAIに関する法律を国会に提出するといっていたような、いなかったような。。。
● 自由民主党「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」 (2023.11 以前)( 2023.11 以前)
で、緊急提言を2023.12.14に公表しています。。。
その概要ですが...
1. 国内ガイドラインの活用促進(国内の AI 関連事業者向けのガイドラインの策定=>法制化)
2. AI 安全研究所の創設(安全保障、サイバーセキュリティ、AI 技術など幅広い専門家が参画する府省横断的+米英との連携)
3. 必要な予算の確保と AI の安全性に関する技術開発(AI の安全性に関する技術開発を強化)
4. AI 戦略推進体制の拡充 (「AI戦略チーム」、「AI国際戦略推進チーム」の体制強化)
といったところですかね。。。
● 自由民主党デジタル社会推進本部
・2023.12.14 [PDF] AI の安全性確保と活用促進に関する緊急提言
・[PDF] AIの安全性確保と活用促進に関する緊急提言(日本語)(英語)
AI の安全性確保と活用促進に関する緊急提言 | Urgent Proposal for Ensuring the Safety and Promoting the Use of AI |
自由民主党デジタル社会推進本部 | Liberal Democratic Party of Japan Headquarters for the Promotion of Digital Society |
デジタル社会推進本部において、AI の進化と実装に関するプロジェクトチームが本年 4 月に策定した「AI ホワイトペーパー~AI 新時代における日本の国家戦略~」等をきっかけに、政府における AI 政策の検討は加速し、岸田文雄首相による「G7 広島 AI プロセス」の提唱、「AI 戦略会議」の創設、「AI 戦略チーム」と「AI 国際戦略推進チーム」の設置など様々な取組みがスタートした。 | This April, The Project Team on the Evolution and Implementation of AI established under the LDP Headquarters for the Promotion of Digital Society, published the "AI White Paper: Japan's National Strategy in the New Era of AI". The document accelerated the government's consideration of AI policy, which has led to the advocacy of the "G7 Hiroshima AI Process" by Prime Minister Fumio Kishida, the establishment of the "AI Strategy Council" and the formulation of the "AI Strategy Team" and the "AI International Strategy Promotion Team" within the government. |
G7 広島 AI プロセスは、信頼できる AI のための議論を日本が議長国として主導し、今月初旬に G7 首脳から行動指針・行動規範が公表された。国内では、5 月に AI 戦略会議が「暫定的な論点整理」をとりまとめ、中央省庁における生成 AI 利用に関する統一的な方針の申合せ、初等中等教育段階における生成 AI 利用に関するガイドラインの策定などが行われ、AI と著作権や知的財産権に関する議論なども進んでいる。そして、広島 AI プロセスを踏まえ、国内事業者向けのガイドラインも検討されている。 | The G7 Hiroshima AI Process, under the chairmanship of Japan, led discussions for reliable AI, and the G7 leaders released the Hiroshima Process International Guiding Principles and Code of Conduct earlier this month. In Japan, the AI Strategy Council compiled a "Tentative Summary of AI issues" in May, and government ministries and agencies agreed on a unified policy for the use of generative AI, and have formulated the guideline for the use of generative AI in primary and secondary education. New guideline for domestic AI-related businesses is also being developed based on the Hiroshima AI Process. |
これらの政府による迅速な取組みは高く評価したい。一方で、世界はルールメーキングの次を見ている。AI の安全性の確保に向けて、安全保障、サイバーセキュリティも含む幅広い関係者を巻き込み、より具体的な検討が始まっている。英国でのAI サミットの開催、米英の AI 安全研究所の設立、英米はじめ 18 ヶ国の政府機関による「セキュア AI システム開発ガイドライン」の策定、「AI の安心、安全で信頼できる開発と利用に関する米国大統領令」などは、その表れであろう。 | These prompt efforts by the government are highly commendable. Meanwhile, the world is turning its eyes to the next stage of rulemaking. In order to ensure the safety of AI, detailed studies have begun involving a wide range of stakeholders, including national security and cybersecurity. The holding of the AI Summit in the UK, the establishment of the AI Safety Institute in the UK and the US, the formulation of the Guidelines for secure AI system development by government agencies in the UK, US, and 16 other countries, and the Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence by the President of the US are all indicative of this trend. |
この提言では、特に AI の安全性に関して、政府が緊急に取り組むべきことを記す。 | In this report, we describe what the Japanese government should urgently do, especially with regard to AI safety. |
なお、日本の AI 開発力の強化、AI の利用促進等に関しては、あらためて提言を予定している。 | We plan to make further recommendations on strengthening Japan's AI development capabilities and promoting the use of AI. |
1.国内ガイドラインの活用促進 | 1. Promotion of the use of the domestic guideline |
広島 AI プロセス国際行動指針・行動規範を踏まえ、国内の AI 関連事業者向けのガイドラインを策定すること。 | The guideline for domestic AI-related businesses should be established based on the Hiroshima Process International Guiding Principles and Code of Conduct. |
その際、プログラミングの様に仕事の仕方が大きく変わる分野があることも踏まえ、各分野・業種における AI 活用の課題・対処方法をそれぞれ明らかにすることにより、AI の社会実装・活用の加速に資するものとすること。 | In doing so, the guideline should contribute to accelerating social implementation and utilization of AI by clarifying issues and measures for AI utilization in each field and industry, taking into account that there are fields, such as programming, in which the way of work changes drastically. |
更に、当該ガイドライン遵守の履行確保のため、法制化に向けて検討を進めること。 | Furthermore, in order to ensure compliance with the guideline, consideration should be given to the establishment of a new legislation. |
2.AI 安全研究所の創設 | 2. Establishment of an AI Safety Institute |
安全保障、サイバーセキュリティ、AI 技術など幅広い専門家が参画する府省横断的な AI 安全研究所を早急に創設すること。 | The AI Safety Institute should be established as soon as possible as a cross-ministry, cross-functional organization, with the participation of a wide range of experts in national security, cyber security, and AI technology. |
同研究所と米英の AI 安全研究所等との連携を強化し、AI に関する基準・規格等の策定、AI の安全性に関する調査・研究、AI ガバナンスを担う人材の育成などを進めること。 | Strong collaboration should be established among the Japan AI Safety Institute and that of the US and the UK to formulate AI-related standards, conduct surveys and research on AI safety, and train personnel to take charge of AI governance. |
3.必要な予算の確保と AI の安全性に関する技術開発 | 3. Secure the necessary budget and develop technologies related to AI safety |
リスク対応、利用促進、開発力強化等のために必要な予算の確保に努めること。 AI とサイバーセキュリティ、偽情報対策など、AI の安全性に関する技術開発を強化すること。 |
Efforts should be made to secure necessary budgets for response to risks, promotion of use, and enhancement of development capabilities. Technological development related to AI safety, including AI and cyber security, countermeasures against disinformation, etc. should be strengthened. |
4.AI 戦略推進体制の拡充 | 4. Strengthen the government's AI strategy promotion structure |
「AI戦略チーム」、「AI国際戦略推進チーム」は、関係省庁の担当者がチーム員を兼務しているが、今後増加が予想されるAI関連の業務に対応するため、これらのチームによる省庁間連携は維持しつつ、事務局に専従職員を配置するなど、早急に体制を強化すること。 | The "AI Strategy Team" and the "AI International Strategy Promotion Team" were formed by the personnel of relevant ministries and agencies, but in order to cope with the expected increase in AI-related tasks, while maintaining inter-ministerial coordination among these teams, the government's AI strategy promotion structure should be promptly strengthened by assigning dedicated staff at the secretariat. |
過去の開催及び資料等
回 | 開催日 | # | テーマ | 発表者 | 資料 |
26 | 2023.12.07 | 1 | 自治体における生成AI利活用の取組について | 大阪市デジタル統括室 | ● |
2 | 生成AI時代の社会変革について | 株式会社Graffer 石井大地社長 | ● | ||
3 | 広島AIプロセス G7デジタル・技術大臣会合の結果概要 | ● | |||
25 | 2023.12.04 | NVIDIAのAI戦略について | NVIDIA社ジェンスン・ファン社長 | NA | |
24 | 2023.11.29 | 顧客企業向け各種AIサービス「アインシュタイン」の取り組みについて | セールスフォース米国本社 政策渉外部責任者 エリック・ローブ氏 | ● | |
23 | 2023.11.28 | 1 | AI分野における世界の中での日本の勝ち筋について | 伊藤穰一 千葉工業大学学長 | ● |
2 | 松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科 教授 | ● | |||
3 | セキュアAIシステム開発ガイドラインについて | 内閣府 | ● | ||
22 | 2023.11.22 | 1 | AI関係経済対策(補正予算)について | ● | |
2 | AI学習データの提供促進に向けたアクションプラン | ||||
3 | AI関係省庁内での生成AI活用事例について | デジタル庁 | ● | ||
経済産業省 | ● | ||||
総務省 | ● | ||||
農林水産省 | ● | ||||
21 | 2023.11.17 | 1 | モデル開発支援について | 経済産業省 | ● |
2 | 開発事業からのヒアリング | ソフトバンク | ● | ||
NTT | ● | ||||
20 | 2023.11.08 | 1 | 広島AIプロセスの報告・今後の予定 | 総務省 | ● |
英訳 | |||||
AI事業者ガイドライン等の行動規範の履行確保及びAI利用の促進の検討について | ● | ||||
2 | アメリカにおける大統領令に関する報告 | 内閣府 | |||
19 | 2023.09.27 | 各国のAI規制について | |||
1 | EUのAI規則案について | 小泉雄介(国際社会経済研究所・主幹研究員) | ● | ||
2 | 中国における生成AI業界の現状と規制動向 | 李智慧(野村総合研究所・エキスパートコンサルタント) | ● | ||
18 | 2023.09.07 | 各種LLMの活用について | |||
1 | AI at META | META社 | 非公開 | ||
2 | NECの生成AI領域の取り組み | 日本電機株式会社 | ● | ||
3 | ABEJAにおけるLLMの取り組みについて | 株式会社ABEJA | ● | ||
17 | 2023.07.27 | LLM開発のための計算資源確保 | |||
1 | AI用計算資源の確保に向けて | 経済産業省 | |||
2 | AI/ML 学習・推論ワークロードを支えるためのAWSの取り組み 〜AWS独自設計チップ Trainium/Inferential 搭載インスタン | アマゾンウェブサービス | ● | ||
3 | Microsoftが提供する生成AI基盤について | マイクロソフト | ● | ||
16 | 2023.07.18 | AIリスクへの対応 | |||
1 | 広島AIプロセスの概要と今後の進め方 | 総務省 | ● | ||
2 | AIリスクに立ち向かう第三者検証 | 大柴行人(Robust Intelligence共同創業者) | ● | ||
15 | 2023.06.22 | 自治体業務における生成AIの利活用 | |||
1 | ChatGPTの導入について | 神奈川県横須賀市 | ● | ||
2 | 行政のためのプロンプト・エンジニアリング入門 | 深津貴之(The GUILD代表) | ● | ||
14 | 2023.06.09 | AIのデータ利活用:個人情報とデータバイアス | |||
1 | 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について | 個人情報保護委員会 | ● | ||
2 | 国立国会図書館のデジタル化資料及びそのテキストデータについて | 国立国会図書館 | ● | ||
3 | 国立公文書館における取り組み等 | 国立公文書館 | ● | ||
13 | 2023.06.07 | AI技術と偽情報対策について | |||
1 | AIで拡大する偽・誤情報問題と求められる対策 | 山口真一(准教授・国際大学グローバルコミュニケーションセンター) | ● | ||
2 | AIの発達で求められるデジタルIDの信頼性と利便性 | 日下光(CEO・xID株式会社) | ● | ||
3 | コンテンツ認証イニシアチブのご紹介 | 西山正一(CDO・アドビ株式会社) | ● | ||
12 | 2023.06.02 | 民間における生成系AIの利活用 | |||
1 | パナソニックグループにおけるChatGPT活用状況のご紹介 | 玉置肇(パナソニックホールディングス執行役員・CIO) | ● | ||
2 | 日本における生成AI導入の状況 | ベイン・アンド・カンパニー | ● | ||
11 | 2023.05.25 | AI新時代の規制のかたちについて | |||
AI新時代の規制のあり方に関するBSAからの提言 | Jared Ragland (ザ・ソフトウェア・アライアンス アジア太平洋政策担当シニア・ディレクター) | ● | |||
10 | 2023.05.11 | 翻訳AIの進化について | |||
1 | AIコミュニケーションと日本 | Jarek Kutylowski (DeepL, 創業者・CEO) | ● | ||
2 | G7デジタル・技術大臣会合の閣僚宣言におけるAI関連のポイント | 総務省 | ● | ||
3 | AI戦略会議について | 内閣府 | ● | ||
9 | 2023.04.10 | ChatGPTなどの利活用と日本への提案 | Sam Altman (OpenAI, CEO) | ● | |
* | AIホワイトペーパー(英語版) | 本文 | ● | ||
要旨 | ● | ||||
8 | 2023.03.30 | AIホワイトペーパー(案)*について(とりまとめ) | |||
* | AIホワイトペーパー | 要旨 | ● | ||
本文 | ● | ||||
7 | 2023.03.23 | AI新時代における世界の潮流 | |||
生成系AIを巡る各国の状況 | 伊藤れん(Stability.Ai COO) | ● | |||
6 | 2023.03.17 | AI利活用の新たな可能性 | |||
1 | ChatGPT:OpenAIとMicrosoft | 日本マイクロソフト | ● | ||
2 | パーソナルAIについて | 橋田浩一(東京大学教授・ソーシャルICT研究センター長) | ● | ||
5 | 2023.03.14 | 1 | AI新時代のデータ資源・計算資源について | 北野 宏明(ソニーコンピューターサイエンス研究所) | ● |
2 | 西川徹 (プリファードネットワークス ) | ● | |||
4 | 2023.03.03 | AIの進化とガバナンス | |||
1 | AIの進化と日本の選択肢 | 伊藤穰一(千葉工業大学変革センター長) | ● | ||
2 | AIガバナンスのすゝめ | 大柴行人(Robust Intelligence) | ● | ||
3 | 2023.02.20 | AI新時代の規制のあり方 | |||
1 | AI新時代の規制のあり方」 | AI・契約レビューテクノロジー協会 | ● | ||
2 | 日本のデータ活用力について | デジタル庁 | ● | ||
3 | デジタル原則に照らした規制の点検・見直し作業 | デジタル庁 | ● | ||
2 | 2023.02.17 | AI新時代の日本の戦略 | |||
1 | AIの進化と日本の戦略 | 松尾豊(東京大学教授) | ● | ||
2 | 時代局面を考える | 安宅和人(慶應大学教授) | ● | ||
1 | 2023.02.03 | 国内外のAI政策の現状について | |||
1 | AI戦略と政府の取り組みについて | 内閣府 | ● | ||
2 | AIを支えるデータ基盤の整備 | デジタル庁 | ● | ||
3 | EUのAI規則案と米国の動向 | 三部裕幸弁護士 | ● |
● まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記
・2023.12.21 経済産業省 AI事業者ガイドライン検討会
« 金融庁 金融セクターのサードパーティ・サプライチェーンのサイバーリスク管理に関する調査報告書 | Main | 内閣官房 経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議(第9回) »
Comments