参議院常任委員会調査室・特別調査室 サイバー犯罪条約第2追加議定書の概要 ― 国境を越えるサイバー犯罪捜査のための国際協力 ― (2023.04.14)
こんにちは、丸山満彦です。
サイバー犯罪条約 [PDF] [wikipedia] の第2追加議定書は、国外のサーバー等に犯罪の証拠が保存されていることが増えていることから、これらの証拠の収集をより強力にすすめられるように、2017年に交渉を開始しし、日本も起草作業に関わり、2021年11月に欧州評議会で採択されたものです。
・ドメイン名の登録情報の開示
・インターネット・サービス・プロバイダが保有する情報の開示
・緊急事態における相互援助及びコンピュータ・データの迅速な開示
などがあります。。。2022年5月12日の署名式典で、米、伊などと共に日本も署名をしていますが、まだ国内で法制化はできていません。。。
で、これを法制化しようという動きなのでしょうかね。。。参議院常任委員会調査室・特別調査室が「サイバー犯罪条約第2追加議定書の概要 ― 国境を越えるサイバー犯罪捜査のための国際協力 ―」という文書を公表していますね。。。
⚫︎ 参議院常任委員会調査室・特別調査室
・調査室作成資料 - 455号(令和5年4月14日) 特集:第211回国会の法律案等の紹介(1)
・2023.04.14 [PDF] サイバー犯罪条約第2追加議定書の概要 ― 国境を越えるサイバー犯罪捜査のための国際協力 ―
外務省の資料
⚫︎ 外務省 - 条約
・協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書
・[PDF] 説明書
・[PDF] 概要
・[PDF] 和文テキスト(訳文)
・[PDF] 説明書
⚫︎ Council of Europe
・Convention on Cybercrime (ETS No. 185)
⚫︎ まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記
・2023.01.04 世界経済フォーラム (WEF) サイバー犯罪の取り締まりに国際的なルールが必要な理由
・2004.12.08 国家セキュリティ体制 米国の状況・・・
Comments
御無沙汰してます。
紹介されている訳文は,公務員の日本国憲法を遵守すべき義務に違反して,日本国においては憲法違反となる訳文を含んでいます。
私立大学教授を含め,民間人がどのような訳をつくろうとも憲法違反になることはなく,学問の自由の範囲内であるのが普通ですが,公務員と公務所はそういうわけにはいきません。
警察や検察に司法権があるということを前提とする訳文は,内容的に明白に憲法違反となります。日本国においては,司法権は,裁判所のみに帰属しており,検察と警察には司法権がありません。そのような内容の公文書(条約の公式訳文)を作成する行為は,日本国憲法が定める国家体制を露骨に否定する行為(=戦前であれば「非国民」と罵られたかもしれない行為)であり,公務員の憲法遵守義務に反する行為となります。公務員は,選択できる日本語の語彙が制限されており,合憲・適法でなければならないんですよ。
第二追加議定書が定めている主な内容は,検察・警察の協力です。そのような内容の事柄を公務員が「司法」として訳すことは,日本国においては憲法遵守義務の違反となります。
私は,民間人なので公務員のような厳しい制限の下にはありませんが,試行錯誤を経た後,現在では,警察・検察関係のことに関しては「司法」ではなく「法務」と訳すようにしています。
これらの訳文は,いったん閉鎖し,全部書き直したほうがよいと思います。
Posted by: 夏井高人 | 2023.11.28 21:09
夏井先生
大変ご無沙汰しております。
確かに、考えてみればそうなりますね。
本当です、一旦とりさげるのがよいのでしょうね。。。
いつもながらの的確な指摘です!!!
丸山満彦
Posted by: maruyama | 2023.11.29 14:14