第3期戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー)についての経団連の意見...
こんにちは、丸山満彦です。
経団連が、第3期戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) についての意見を掲載しています。。。SIPは国の将来を見据えた政策的な研究プログラムで、税金を使った(5年間で1500億円程度...)プログラムで、研究成果が社会に活きるようになるためには官民連携が重要となるわけですが、うまくいっているんでしょうか。。。
・2022.12.01 次期SIPに対する意見
次期SIPについては産業界からの期待も高く、研究開発への参画について関心を持つ企業も多い。ただし、実際にリソースを提供するにあたっては下記のとおりに具体的にクリアすべき課題がある。
また、社会実装を進めるにあたっては、研究開発の進展のみならず、先端技術の利活用の観点から規制緩和等の制度整備が併せて必要となることにも留意すべきである。
次のようなことで書かれています。。。
- 課題設定
- 社会実装のレベル
- アジャイルな運用による予算・人材の手当
- 民間からの人的支援
- 企業の利益確保
- スタートアップ
- ルール形成及び国際標準化
- 享受者のリテラシー向上
- 研究推進法人
- 他の政策等(PRISMなど)との整理
- 情報共有のあり方
11. 情報共有のあり方
SIPの概要と研究過程の各ステップがまとめられて明示されていると企業側の理解が深まると考えられる。具体的には、全体を把握できる概念図およびスケジュール上の各マイルストンで何を行うかが簡潔にまとめられた資料を求める。特に、RFI、PD候補の公募、研究開発責任者・実施者の公募、マッチングファンド(企業に求められる資金や工数)について説明があると、企業としてどのようなアクション・負担が求められるのかが理解しやすい。
現状ではFSの内容については概要のみ公開されている状態であり、企業としては社内で参入について検討していない段階でFSの具体的な検討内容や状況について問い合わせることは敷居が高いため、途中経過の公表を求める。併せて過去のSIPでの成果についても引き続き周知を図ることで、事業化までのイメージを持ちやすくなる。
第1期、第2期の企業出身PDがSIPを通して得た知識やスキル等の共有もお願いしたい。また、参入を前提としない企業との情報交換の場を設けるなど、既存の役割以外の関わり方の検討をお願いしたい。
さて、SIPのウェブページ
● 内閣府
・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー)
第3期SIPの候補
- 豊かな食が提供される持続可能なフードチェーンの構築
- 統合型ヘルスケアシステムの構築
- 包摂的コミュニティプラットフォームの構築
- ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築
- 海洋安全保障プラットフォームの構築
- スマートエネルギーマネジメントシステムの構築
- サーキュラーエコノミーシステムの構築
- スマート防災ネットワークの構築
- スマートインフラマネジメントシステムの構築
- スマートモビリティプラットフォームの構築
- 人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備
- バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備
- 先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進
- AI・データの安全・安心な利活用のための基盤技術・ルールの整備
- マテリアルプロセスイノベーション基盤技術の整備
# | 課題候補 | FS実施方針 | 検討タスクフォース | 研究推進法人 | コンセプト | PD候補 | 所属・役職 |
1 | 豊かな食が提供される持続可能なフードチェーンの構築 | 豊かな食が提供される持続可能なフードチェーンの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
食料安全保障やカーボンニュートラル、高齢化社会への対応に向けて、食料の調達、生産、加工・流通、消費の各段階を通じて、豊かさを確保しつつ、生産性向上と環境負荷低減を同時に実現するフードチェーンを構築する。 | 松本 英三 | 株式会社 J-オイルミルズ 取締役常務執行役員 | |
2 | 統合型ヘルスケアシステムの構築 | 統合型ヘルスケアシステムの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 | 患者や消費者のニーズに対し、医療・ヘルスケア等の限られたリソースを、デジタル化や自動化技術で最大限有効かつ迅速にマッチングするシステムを構築する。 | 永井 良三 | 自治医科大学 学長 | |
3 | 包摂的コミュニティプラットフォームの構築 | 包摂的コミュニティプラットフォームの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 | 性別、年齢、障がいなどに関わらず、多様な人々が社会的にも精神的にも豊かで暮らしやすいコミュニティを実現するため、プライバシーを完全に保護しつつ、社会活動への主体的参加を促し、必要なサポートが得られる仕組みを構築する。 | 久野 譜也 | 筑波大学大学院人間総合科学学術院 教授 | |
4 | ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築 | ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人科学技術振興機構 | ポストコロナ社会に向けて、オンラインでも対面と変わらない円滑なコミュニケーションができ、地方に住んでいても大都市と変わらない教育や仕事の機会が提供され、さらに、多様な学び方、働き方が可能な社会を実現するためのプラットフォームを構築する。 | 西村 訓弘 | 三重大学大学院地域イノベーション学研究科 教授・特命副学長 | |
5 | 海洋安全保障プラットフォームの構築 | 海洋安全保障プラットフォームの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 | 世界有数の海洋国家である我が国にとって安全保障上重要な海洋の保全や利活用を進めるため、海洋の各種データを収集し、資源・エネルギーの確保、気候変動への対応などを推進するプラットフォームを構築する。 | 石井 正一 | 日本 CCS 調査株式会社 顧問 | |
6 | スマートエネルギーマネジメントシステムの構築 |
スマートエネルギーマネジメントシステムの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人科学技術振興機構 | 地域におけるエネルギーの生産及び利用に係る技術の更なる高度化に加え、電力利用だけでなく熱利用についても考慮する需給調整に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築、エネルギーマネジメントシステムを支える分散型電源関連、エネルギーキャリア関連技術の確立を目指す。 | 浅野 浩志 | 東海国立大学機構岐阜大学高等研究院地方創生エネルギーシステム研究センター特任教授 一般財団法人電力中央研究所研究アドバイザー 東京工業大学科学技術創成研究院特任教授 |
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7 | サーキュラーエコノミーシステムの構築 | サーキュラーエコノミーシステムの構築に係る検討タスクフォース | 独立行政法人環境再生保全機構 | 大量に使用・廃棄されるプラスチック等素材の資源循環を加速するため、原料の調達から、設計・製造段階、販売・消費、分別・回収、リサイクルの段階までのデータを統合し、サプライチェーン全体として産業競争力の向上や環境負荷を最小化するサーキュラーエコノミーシステムの構築を目指し技術開発を行うとともに、消費者の行動変容を促す環境整備も検討する。その際、脱炭素社会の実現や環境配慮が付加価値になる情報開示に関する国際的なルール形成(TCFD、TNFD等)への対応についても併せて検討を行う。 | 伊藤 耕三 | 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 | |
8 | スマート防災ネットワークの構築 | スマート防災ネットワークの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 | 気候変動等に伴い災害が頻発・激甚化する中で、平時から災害に備える総合的防災対策を強化するとともに、災害時対応として、災害・被災情報をきめ細かく予測・収集・共有し、個人に応じた防災・避難支援、自治体による迅速な救助・物資提供、民間企業と連携した応急対応などを行うネットワークを構築する。 | 楠 浩一 | 東北大学大学院 工学研究科教授 | |
9 | スマートインフラマネジメントシステムの構築 | スマートインフラマネジメントシステムの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人土木研究所 | インフラ・建築物の老朽化が進む中で、デジタルデータにより設計から施工、点検、補修まで一体的な管理を行い、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを推進するシステムを構築する。 | 久田 真 | 筑波大学 名誉教授 | |
10 | スマートモビリティプラットフォームの構築 | スマートモビリティプラットフォームの構築に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 移動する人・モノの視点から、移動手段(小型モビリティ、自動運転、MaaS、ドローン等)、交通環境のハード、ソフトをダイナミックに一体化し、安全で環境に優しくシームレスな移動を実現するプラットフォームを構築する。 | 石田 東生 | 筑波大学 システム情報系 教授 筑波大学 サイバニクス研究センター 研究統括 筑波大学 未来社会工学開発研究センター センター長 |
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11 | 人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備 | 人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 人の生活空間でのロボティクスの利用拡大が見込まれる中で、ドアを開ける、モノを運ぶ、階段を登るなどのタスクに応じて、マニピュレータなどの必要な機能を提供するためのハード・ソフトのプラットフォームを構築するとともに、人へのリスク評価手法などについて検討を行う。 | 山海 嘉之 | 筑波大学 システム情報系 教授 筑波大学 サイバニクス研究センター 研究統括 筑波大学 未来社会工学開発研究センター センター長 CYBERDYNE 株式会社 代表取締役社長/CEO |
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12 | バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備 | バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 | バーチャルエコノミーが拡大する中で、バーチャル空間での個人認証・プライバシー等のルール、バーチャル空間とつなぐ技術として5感、BMI( Brain Machine Interface)の標準化、バーチャル社会の心身への影響、社会システム設計等が求められている。 GAFAMやITベンチャー等の取組が急速な中、社会制度の設計、技術標準化、セキュリティ等に官民連携で取り組む。 | 持丸 正明 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張研究センター 研究センター長 |
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13 | 先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進 | - | 先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 量子コンピュータ、量子センシング、量子セキュリティ・ネットワークと古典コンピュータ等の従来技術システムが連携・一体化したサービス実現は、我が国の産業競争力の強化・社会課題解決等に貢献することが期待されている。また、量子コンピュータの進展による現代暗号技術の危殆化に対応するため、量子暗号技術の社会実装や、量子コンピュータ・センサを接続可能とする量子ネットワークの実現が期待されている。令和4年4月目途に策定される新たな戦略を踏まえ、取り組むべき課題を具体化する。 | 寒川 哲臣 | 日本電信電話株式会社先端技術総合研究所 所長 |
14 | AI・データの安全・安心な利活用のための基盤技術・ルールの整備 | AI・データの安全・安心な利活用のための基盤技術・ルールの整備に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 | AIの利活用の拡大に当たっては、データの品質と計算能力を向上させるとともに、プライバシー、セキュリティ、倫理などが課題として挙げられる。 データの安全・安心な流通を確保しつつ、様々なステークホルダーのニーズに柔軟に対応できるデータ連携基盤を構築することが期待されている。 AI戦略の見直しを踏まえ、取り組むべき課題を具体化する。 | 宮本 恭幸 | 東京工業大学工学院電気電子系 教授 | |
15 | マテリアルプロセスイノベーション基盤技術の整備 | マテリアルプロセスイノベーション基盤技術の整備に係る検討タスクフォース | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | マテリアル設計、プロセス設計上のデータ、マテリアルズ・インテグレーション技術やプロセスインフォマティクス技術を適用することで、ニーズに応じた材料を迅速に開発できるイノベーション基盤技術を整備する。 | 木場 祥介 | ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社 代表取締役パートナー |
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