金融庁 寄稿 暗号資産交換所ビジネスの現状とモニタリングの方向性(金融財政事情 2022.05.17)
こんにちは、丸山満彦です。
金融財政事情 (2022.05.17) 号に金融庁の職員が、「暗号資産交換所ビジネスの現状とモニタリングの方向性」を寄稿しているのですが、その寄稿文が金融庁のウェブページに掲載されていました。
簡潔にまとまっていてわかりやすかったので、備忘録。。。
NFTについても、「NFTは一般的にはデジタル資産であり、暗号資産等の金融規制の潜脱として用いられない限り金融当局が関与するべきものとは考えていない」という金融庁の立場も記載されていますが、そうだろうと思います。。。
● 金融庁 - 金融庁職員による寄稿等
・2022.07.27 更新 2022.05.17 [PDF] 暗号資産交換所ビジネスの現状とモニタリングの方向性
重点的に取り組む四つのモニタリング事項は次の4つ
①サイバーセキュリティー対策
...当庁では、暗号資産交換業者について、従前課題となっていたサイバーセキュリティー管理態勢の整備状況等について、検査・モニタリングにより各社の状況を確認してきた。加えて、脆弱性診断の実施や、演習・訓練の実施を通じたサイバーインシデント発生時のコンティンジェンシープランの実効性向上を促してきた。その結果、直近では交換業者において、インシデント発生時における対応手順の整備に進捗が認められた。...
②マネロン・テロ資金供与対策等
...いわゆるトラベルルール2について、今年4月から自主規制での導入が試行的に始まっており、今後、犯罪収益移転防止法の改正により法令上の義務とされる予定である。さらには、ウクライナ問題に関し、暗号資産がロシアへの経済制裁の抜け穴になるのではないかといった指摘がなされ、今国会に提出された外為法改正案において、顧客暗号資産の移転先が外為法の制裁対象者ではないことを確認するなどの義務が課される見込みである。...
③新規ビジネスへの対応、財務状況把握
...当局のモニタリングが新たなビジネス展開やイノベーション促進の阻害とならないよう留意する必要もあり、そのモニタリングの在り方については十分に検討を進めていきたい。
また、暗号資産交換業者以外の者によるビジネス、主にNFT関係について、金融規制等がビジネスの阻害要因となっているのではないかとの批判が寄せられている。具体的には、「NFTが暗号資産に該当するかどうかの判断基準が必ずしも明確でない」「NFT取引に用いられる暗号資産トークンについて、新規発行・売買を日本で行うための自主規制機関による審査に時間がかかる」といった意見である。NFTは一般的にはデジタル資産であり、暗号資産等の金融規制の潜脱として用いられない限り金融当局が関与するべきものとは考えていないが、いずれにせよ円滑なビジネス展開促進の観点から対応を検討していく。...
④登録審査、無登録業者対応
新規登録については、収益環境の悪化やセキュリティー対策等の参入コストの高さもあり、前述のとおり相談件数は大きく減少している。同時に、既存業務との親和性が高い会社や資本力のある会社からの申し込みが多くなっており、...
また、無登録業者に関しては、当局に対し利用者からの相談が引き続き寄せられていることを踏まえ、そうした相談やインターネットの巡回・監視などによる情報を収集・把握してきた。加えて、...無登録営業を行っていることが判明した場合には、積極的に「警告書」を発出し当局ホームページで公表を行うなどの対応をとってきた。
最近ではSNS等で知り合った相手から暗号資産の購入を勧められて現金をだまし取られたといった事例が増えてきていることから、今後とも警察庁や消費者庁とも連携し、登録業者以外を利用しないよう広報活動を進めるとともに、無登録業者に対しては厳正に対応していく。
● 一般社団法人 金融財政事情研究会 - 週刊 金融財政事情
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