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2022.07.13

公正取引委員会 ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について (2022.06.29)

こんにちは、丸山満彦です。

公正取引委員会がソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書を公表していますね。。。


ソフトウェア業における2万1000社(資本金3億円以下)を対象としたアンケート調査、関係事業者・団体に対するヒアリング調査などによって、ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査を実施した。


とあり、それなりの本気度で取り掛かっているように思います。。。

ソフトウェア業界の多重下請け構造に根ざした問題はいくつかあり、昔から問題になってきていますが、業界的になかなか解消されていないようにも思います。

概要版にある、「提言(今後の対応)」の内容を読んでみると、どういう対策を今後していくかが見えてきていますね。。。具体的に実行してくるように思います。。。

提言(今後の対応)


①多重下請構造下で生じる問題への対応強化

  • 独占禁止法・下請法違反行為を未然に防止し、取引の適正化を図る観点からは、エンドユーザー・元請にあっては、自身の契約内容の不明確さがサプライチェーン全体における契約内容の不明確さを招き、独占禁止法・下請法違反行為を誘発しかねないことから、契約内容の明確化を図るべき。
    「中抜き」事業者の存在はいたずらに多重下請構造の多層化を深め、独占禁止法・下請法違反行為を誘引・助長するおそれがあることから、業界全体においてサプライチェーンのスリム化に向けた取組を進めていくことが期待される。
    これらの取組は、多重下請構造にある他の業界においても進めていくことが望ましい。
  • 複雑な取引を把握し、多重下請構造下におけるサプライチェーンに対応できるよう取組を強化し、「中抜き」事業者など多重下請構造下で生じる問題について、独占禁止法・下請法の執行を強化。その際、体制の強化を行い、多重下請構造がみられる他の業界への対応強化も実施。
  • 以上の取組について、事業所管省庁と必要な連携を図るとともに、関係団体に対し、法令遵守に向けた取組強化の要請を実施。

②不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動の対応強化

  • 物流業界向けに実施していた業種別講習をソフトウェア業にも拡大。

③複雑な取引関係における優越的地位の濫用に関する対応強化

  • 今後、独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する調査において、多重下請構造がみられる業界への対応強化を実施。「優越Gメン」による立入調査を行うとともに、関係事業者に対する注意喚起文書の送付を実施。

 

昨今では、安全保障の観点からサプライチェーンの問題にも注目が集まっていますね。。。せっかく公正取引委員会がこのような実態調査報告書を作成したので、業界を上げて問題に対応をしていけば良いのではないかと思っています。それがひいては業界の発展につながると思います。。。

ただ、今後クラウド化が進むといわゆるSierの業務は(ゼロにはならないとしても)どんどんとなくなっていくと思われます。そうなってくると業界自体が縮小していくのかもしれませんが。。。

 

公正取引委員会

・2022.06.29 ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について

・[PDF] ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について

・[PDF] ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書(概要)

20220713-73701

・[PDF] ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書(本体)

20220713-75655_20220713143501

 

目次、、、


第1部 調査の趣旨等
第1 調査の趣旨

第2 調査方法
1 調査期間
2 下請事業者向けアンケート等
3 親事業者向けヒアリング調査等

第2部 ソフトウェア業界の概況
第1 市場規模等
1 市場規模
2 ソフトウェア業の労働人口
3 事業所数等
 ⑴ 法人事業所数の推移
 ⑵ 資本金別事業所数
 ⑶ 従業者規模別事業所数
 ⑷ フリーランス事業者数

第2 多重下請構造と取引階層別状況
1 多重下請構造
 ⑴ 多重下請構造
 ⑵ ソフトウェアの発注

2 取引階層別の事業者の状況
 ⑴ 「元請」・「中間下請」・「最終下請」の分布(資本金3億円以下)
 ⑵ 取引階層別の資本金額の状況(資本金3億円以下)と下請法の資本金区分との関係

第3部 多重下請構造における事業者間取引の実態と問題点
第1 取引依存度
1 下請取引依存度
2 下請取引の取引先(発注元)の数
3 下請取引の受注方法
4 最も下請取引の額が大きい取引先への依存度
5 問題のある行為を受けた場合の対応等
 ⑴ 問題のある行為を受けた場合の対応
 ⑵ 問題のある行為を受け入れている理由

第2 多重下請構造から生じ得る問題点
1 ソフトウェア制作の多重下請構造から生じ得る問題点
 ⑴ 下請代金にまつわる下流しわ寄せ型の問題
 ⑵ ソフトウェア制作の特性に係る問題

2 「中抜き」事業者の存在
 ⑴ 「中抜き」事業者の実感
 ⑵ 「中抜き」事業者の類型・弊害
 ⑶ 「中抜き」事業者が介在する問題点

3 多重下請構造の今後

第4部 多重下請構造型サプライチェーン下における下請法の義務・禁止行為に関する調査結果
第1 下請法の義務・禁止行為に係る調査結果(全体)

第2 下請代金にまつわる下流しわ寄せ型の問題
1 買いたたき
 ⑴ 価格交渉の実態
 ⑵ 買いたたきの経験
 ⑶ 問題の所在

2 下請代金の減額
 ⑴ 下請代金の減額の経験
 ⑵ 問題の所在

3 支払遅延
 ⑴ 支払遅延の経験
 ⑵ 問題の所在

第3 ソフトウェア制作取引の特性に係る問題
1 不当な給付内容の変更
 ⑴ 不当な給付内容の変更の経験
 ⑵ 問題の所在

2 不当なやり直し
 ⑴ 不当なやり直しの経験
 ⑵ 問題の所在

3 受領拒否
 ⑴ 受領拒否の経験
 ⑵ 問題の所在

第4 発注書面の交付等
1 発注書面の交付状況等
 ⑴ 発注書面の交付状況
 ⑵ 問題の所在

2 アジャイル開発の場合

第5 下請法等の知識とコンプライアンス活動
1 優越的地位の濫用規制・下請法に関する知識等
 ⑴ 優越的地位の濫用規制・下請法に関する知識
 ⑵ 取引を行う際に下請法の対象となるかを確認しているか

2 大手事業者のコンプライアンス活動
 ⑴ コンプライアンス意識向上策
 ⑵ 下請法対象か否かの判定
 ⑶ 発注書面交付忘れ・支払遅延等の下請法違反防止策
 ⑷ その他

第6 フリーランスSEへのしわ寄せ等
1 末端のフリーランスSEへのしわ寄せ
2 問題の背景

第7 その他の問題例
1 買いたたき
2 下請代金の減額
3 支払遅延
4 受領拒否

第8 (参考)最近の指導事例

第5部 今後の対応
第1 多重下請構造下で生じる問題への対応強化
1 問題点
 ⑴ 「下請代金にまつわる下流しわ寄せ型の問題」及び「ソフトウェア制作取引の特性に係る問題」
 ⑵ 「中抜き」事業者の介在による弊害
 ⑶ エンドユーザー・元請事業者を発端とする問題

2 今後の対応

第2 不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動の対応強化
1 問題点
2 今後の対応

第3 複雑な取引関係における優越的地位の濫用に関する対応強化
1 問題点
2 今後の対応


 

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