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2022.05.02

自民党 新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言 (2022.04.27)

こんにちは、丸山満彦です。

自由民主党政務調査会、安全保障調査会が、「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言~より深刻化する国際情勢下におけるわが国及び国際社会の平和と安全を確保するための防衛力の抜本的強化の実現に向けて~」を公表していますね。。。

政府が国民の協力を得ようとする際に、重要となるのが政府に対する国民の信頼なのだと思うんです。。。その信頼を得るための重要なことは、情報開示だと思うんですよね。。。

マイナンバーの導入がなかなか進まないことも含めて、国家安全保障の強化のために政府の権限を強化する必要性があるというのであれば、合わせて国民に対する情報開示も同時に進めないとうまく進まないのではないかなぁと思うんですよね。。。

どうでしょうかね。。。

 

自由民主党

・2022.04.27 新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言~より深刻化する国際情勢下におけるわが国及び国際社会の平和と安全を確保するための防衛力の抜本的強化の実現に向けて~

・[PDF

20220502-63713

 

目次的なもの。。。もう少しまとめてもよかったかもですね。。。

はじめに
3文書のあり方
情勢認識(中国)
情勢認識(北朝鮮)
情勢認識(ロシア)
防衛関係費
戦い方の変化
(1)AI、無人機、量子技術等の先端技術
(2)ハイブリッド戦
(3)情報戦への対応能力(戦略的コミュニケーションの強化を含む。)
(4)サイバー
(5)海上保安能力
(6)インテリジェンス(人的情報(HUMINT)の強化を含む)
(7)宇宙
弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力の保有
専守防衛
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の推進及び同盟国・同志国等との連携強化
日米同盟の強化と拡大抑止
防衛生産・技術基盤、研究開発(防衛装備移転を含む)
人的基盤
地域コミュニティーとの連携
持続性・強靭性の強化
国民保護の一層の強化(重要インフラ防護、空港・港湾の整備、邦人保護に関する在外公館の体制強化等を含む)
気候変動
おわりに


 


(1)AI、無人機、量子技術等の先端技術 

今後、核・ミサイルの脅威に対しては非対称能力の重要性が一層増大すると ともに、中国の軍事の「智能化」をはじめAI、量子技術等の先端技術により 情報処理の質・速度の向上や意思決定の迅速化による新たな「戦い方」に対峙 していく必要がある。 

とりわけ、技術革新の急速な進展等により、近年の戦いにおいては、AIや 無人機が革新的なゲームチェンジャーになっており、無人機対人間という非対 称的な戦いを強いられうる。このことからも、無人機をはじめとする、非対称 戦力で優位に立つことが死活的に重要であるとともに、最先端民生技術を取り 入れた装備品の早期実用化を大幅に促進する必要がある。合わせて、無人機を 使った「戦い方」について、具体的なシナリオを念頭に、早急に運用構想の策 定を検討する。 

このため、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力強化や、 スタンド・オフ火力等の整備といった現在の防衛大綱に示された考え方を加 速・進化させるとともに、デコイ、ジャマー、チャフ等による欺瞞・欺騙能力 の強化や、無人機、認知・AI、量子技術(ジャイロ、コンピューター、暗号、 通信を含む)等のゲームチェンジャー技術の早期実用化を推進する。 

また、わが国としても産学官一体となって先端技術の研究開発に重点的に投 資するとともに、わが国特有の「戦い方」を知る民間企業各社の防衛部門(防 衛産業)が社内民生部門やスタートアップ等の技術を結集し、国産装備品を早 期に実現する仕組みを構築する。特に、防衛省が、防衛産業から最先端民生技 術を用いたシステム等の提案を受け、重要案件を特定した上で、早期装備化に 向け前例に捉われない抜本的施策を行う取組を更に促進する。 

加えて、自衛隊においてこれらの先端技術を使用した装備品を最大限活用す る。これにより、人口減少や少子高齢化といった課題を克服するとともに、意 思決定の迅速化、無人化・省人化等による人的被害の局限化、人員配置の最適 化等を図る。 

なお、自律型致死兵器システム(LAWS)にかかる国際社会での議論を踏 まえ、わが国は、完全自律型の致死性を有する兵器は開発しないとの立場であ り、無人機等の活用にあたっては、有意な人間の関与を確保する。他方、LA WSの開発を継続する国もあると考えられ、他国によるLAWSを用いた攻撃 に対する対抗手段についても、しっかり検討する。 

(2)ハイブリッド戦 

いわゆる「ハイブリッド戦」は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にし、 様々な手段を複合的に用いて領土拡大・対象国の内政のかく乱等の政策目的を 追求する手法である。具体的には、国籍不明部隊を用いた秘密裏の作戦、サイバー攻撃による情報窃取や通信・重要インフラの妨害、さらには、インターネ ットやメディアを通じた偽情報の流布などによる世論や投票行動への影響工 作を複合的に用いた手法と考えられる。このような手法に対しては、軍事面に とどまらない複雑な対応を求められる。 

こうした「ハイブリッド戦」は、ロシアによる2014年のクリミア侵攻で 広く認識され、本年のウクライナ侵略においてもロシアがその手法をとってい ると指摘されている。このような情勢を踏まえ、「ハイブリッド戦」への対応 に万全を期すため、サイバー分野や認知領域を含めた情報戦への対応能力を政 府一体となって強化する。 

(3)情報戦への対応能力(戦略的コミュニケーションの強化を含む。)

本年のロシアによるウクライナへの侵略を踏まえれば、情報戦への備えは喫 緊の課題である。情報戦での帰趨は、有事の際の国際世論、同盟国・同志国等 からの支援の質と量、国民の士気等に大きくかかわる。日本政府が他国からの 偽情報を見破り(ファクト・チェック)、戦略的コミュニケーションの観点か ら、迅速かつ正確な情報発信を国内外で行うこと等のために、情報戦に対応で きる体制を政府内で速やかに構築し、地方自治体や民間企業とも連携しながら、 情報戦への対応能力を強化する。 

また、諸外国の経験・知見も取り入れながら、民間機関とも連携し、若年層 も含めた国内外の人々にSNS等によって直接訴求できるように戦略的な対 外発信機能を強化する。 

(4)サイバー 

サイバー事案が発生した際には、迅速かつ正確な情報共有及び対処を行うこ とが不可欠であり、そのような役割を担えるように政府内の体制を抜本的に見 直し、民間企業とも連携し、大規模なサイバー攻撃やハイブリッド戦に備える とともに、インテリジェンス部門との連携も含め、国家としてのサイバーセキ ュリティの司令塔機能強化についての体制構築を検討する。また、政府部内の システムについて、高度な暗号化を用いて構築する。 

また、有事の社会機能と自衛隊の継戦能力の維持のために、重要インフラの 防護をより強化するとともに、アトリビューション能力の強化の観点から、攻 撃者を特定し、対抗し、責任を負わせるために、国家として、サイバー攻撃等 を検知・調査・分析する能力を十分に強化する。また、武力攻撃に至らない侵 害を受けた場合の対応について検討する必要があり、特に、サイバー分野にお いては攻撃側が圧倒的に有利なことから、攻撃側に対する「アクティブ・サイ バー・ディフェンス(注)」の実施に向けて、不正アクセス禁止法等の現行法令 等との関係の整理及びその他の制度的・技術的双方の観点、インテリジェンス部門との連携強化の観点から、早急に検討を行う。 

サイバーセキュリティ人材の採用に当たっては、これまでの国家公務員の人 事制度、給与体系に捉われず、諸外国の例も参考にしながら、優秀な人材を確 保する。人材の育成に当たっても、自衛隊員の若年層からの教育や、官民間の 人材の流動性を向上させるための取組を検討する。具体的には、現在、陸上自 衛隊通信学校や高等工科学校等で共通教育や専修コースを開設するなどの取 り組みを進めているところ、サイバー学校やサイバー研究所の設立なども念頭 に、防衛省・自衛隊のサイバーに係る教育・研究基盤をさらに拡充・強化する。 

(注)一般に、受動的な対策にとどまらず、反撃を含む能動的な防御策により攻撃者の目 的達成を阻止することを意図した情報収集も含む各種活動。

.....

.....

(6)インテリジェンス(人的情報(HUMINT)の強化を含む)

政府全体として、防衛駐在官の更なる活用を含め人的情報(HUMINT)をはじめとする一次的情報の収集能力を強化することに加え、インテリジェンスの集約・共有・分析等をさらに統合的に実施する体制を構築するために、新たに「国家情報局」を設置するとともに、インテリジェンス・コミュニティの各組織において必要な人員・予算を確保することなども含め、検討する。この際、公開情報の収集(オープンソース・インテリジェンス(OSINT))において、インテリジェンス・コミュニティの共通基盤としてAI等の新しい技術を積極的に活用する。また、情報保全体制を強化し、いわゆるファイブアイズへの参加も視野に関係国との情報協力を促進する。

情報収集・警戒監視・偵察(ISR)においても、わが国周辺海空域について隙のない状況把握ができるよう、同盟国・同志国と連携しつつ、政府全体として、インド太平洋地域において柔軟に選択される抑止措置(FDO)や戦略的コミュニケーション等のオペレーションを行うとともに、常続的な警戒監視や「探知による抑止」を強化することが極めて重要である。この際、無人機も活用しながら、わが国周辺海域で起こっている一方的な現状変更の試みの動向などについて、要すれば積極的に対外発信することにより、我々が常続的に把握していることを対外的に知らしめ、「探知による抑止」を実践する。

(7)宇宙

経済成長を背景に宇宙開発を進める中国や極超音速ミサイルと称するミサイル等の開発を進める北朝鮮の脅威に対応するため、わが国の宇宙安全保障体制を強化する。

特に、地球全体で生起している状況をリアルタイムかつ正確に監視する能力を保有することを目的として、民間の衛星も含めたコンステレーション等の宇宙システムを利用した警戒監視能力、ターゲティング能力及び指揮通信能力の強化を図るとともに、宇宙状況把握能力(SSA)や宇宙システムの抗たん性を向上させる。また、電磁波領域とも連携しつつ、相手方の宇宙領域を活用した指揮統制・情報通信を妨げる能力を強化する。

その際、わが国の防衛生産・技術基盤を強化するため、防衛関連予算を含む宇宙安全保障関連予算を政府全体として大幅に拡大するとともに、民生分野の宇宙開発にあたっても宇宙安全保障の観点を保持しつつ産業振興及び人材育成に注力することで、わが国の能力向上に努める。

また、宇宙作戦に携わる人員を早急かつ大幅に増員し、防衛省・自衛隊の体制を抜本的に強化する中で、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編することも検討する。加えて、防衛省・自衛隊は、その宇宙利用能力向上と人材育成を推進するため、JAXAとの人事交流を大幅に拡大するなどして、JAXAの能力を最大限に活用する。


 

 

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