個人情報保護委員会 第2回犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会
こんにちは、丸山満彦です。
個人情報保護委員会で、「第2回犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会」での資料等が公開されていますね。。。
● 個人情報法保護委員会
・2022.03.10 第2回犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会
・[PDF] 議事次第
・[PDF] 資料1 顔識別機能付きカメラの特性に関する国内外の評価
・[PDF] 資料2 本日ご議論いただきたい事項
・[PDF] 資料3 森構成員発表資料
・[PDF] 資料4 遠藤構成員発表資料
・[PDF] 参考資料 第1回検討会議事概要
「本日ご議論いただきたい事項 」は、
第1回及び今次会合における個人情報保護法上の規律、民事裁判例の状況、顔識別機能付きカメラシステムの技術的特徴や評価に関する説明を踏まえ、以下の観点からご議論いただきたい。
1. 顔識別機能付きカメラシステムを利用することが有効かつ必要であると考えられる場面
目的(テロ・重大犯罪防止、万引防止、行方不明者・徘徊者捜索、その他)
設置場所
撮影態様 等
2. 事業者に対応が求められる事項(上記目的の別にも着目して)
個人情報保護法の規律と不法行為法上の留意点の異同も踏まえ、事業者にはどのような対応が求められるか。
個人情報保護法上の規律が存在する事項について、より高い水準で行うべきもの
個人情報保護法上の規律は存在しないが、不法行為法上の観点から行うべきもの 等
ということだったようです。。。
委員会で用意した「資料1顔識別機能付きカメラの特性に関する国内外の評価」も参考になりますし、
森先生の「肖像権・プライバシーに関する裁判例」も参考になりますし、
遠藤先生の、「防犯カメラの利用による民事法上の肖像権・プライバシー侵害」も参考になりますね。。。
違法性の判断基準
(森先生の資料を参考に・・・)
・2001.02.06 Nシステム事件(東京地判平成13年2月6日)
① [情報の性質] 取得、保有、利用される情報が個人の思想、信条、品行等に関わるかなどの情報の性質、
② [目的] 情報を取得、保有、利用する目的が正当なものであるか、
③ [方法] 情報の取得、保有、利用の方法が正当なものであるか
などを総合して判断すべき
・著名人コンビニ万引き事件 (東京地判平成22年9月27日(判タ1343号153頁))
① [目的] 撮影の目的、
② [必要性] 撮影の必要性
③ [方法] 撮影の方法、
④ [管理方法] 撮影された画像の管理方法
等諸般の事情を総合考慮して、撮影されない利益と撮影する利益を比較衡量して、受忍限度を超えるものかどうかを判断すべき
(遠藤先生の資料を参考に・・・)
① [社会的地位] 被撮影者の社会的地位*、
② [活動内容] 撮影された被撮影者の活動内容、
③ [場所] 撮影の場所**、
④ [目的] 撮影の目的、
⑤ [態様] 撮影の態様、
⑥ [必要性] 撮影の必要性
等を総合考慮して、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるといえるかどうかを判断基準としている。
*: 有名人かどうかといった基準
**: 公開の場所、道路上、私的な場所か公的な場所かという基準
● まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記
この委員会
・2022.02.01 個人情報保護委員会 第1回犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会
・2021.12.25 個人情報保護委員会 犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会の設置
AI規制法案
・2021.12.05 欧州理事会 AI法改正案を欧州議会に提出
・2021.08.08 EU議会 BRIEFING 人工知能法 at 2021.07.26
・2021.04.24 欧州委員会がAIへの規制を提案 → 欧州データ保護官は歓迎するけど、公共空間での遠隔生体認証についての規制も入れてね
英情報コミッショナー意見書「公共の場所でのライブ顔認証技術の使用」
・2021.06.20 英国 情報コミッショナー 公共の場でのライブ顔認識技術の使用に関するプライバシーの懸念
欧州評議会 顔認証に関するガイドライン (Guidelines on Facial Recognition)
・2021.01.30 欧州評議会 108号条約委員会が「顔認識に関するガイドライン」を採択しましたね。。。
Faicial Recognition
・2022.01.21 ENISA デジタル・アイデンティティ攻撃に注意:あなたの顔が偽装される可能性があります
・2021.12.25 個人情報保護委員会 犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会の設置
・2021.10.17 インターポール、国連地域間犯罪司法研究所、オランダ警察、世界経済会議が「顔認証を責任もって制限するためのポリシーフレームワーク ユースケース:法執行機関の捜査」 at 2021.10.05
・2021.09.29 世界経済フォーラム (WEF) 技術の責任ある利用:IBMをケースにした研究
・2021.09.27 欧州委員会 職場での電子モニタリングと監視 (Electronic Monitoring and Surveillance in the Workplace)
・2021.09.10 EU議会 提言 バイオメトリクス認識と行動検知
・2021.08.28 中国 意見募集 国家サイバースペース管理局 「インターネット情報サービスのアルゴリズムによる推奨に関する管理規定」
・2021.08.27 米国 GAO 顔認識技術:連邦政府機関による現在および計画中の使用方法
・2021.08.20 英国 意見募集 監視カメラ実施規範改訂案 by 監視カメラコミッショナー at 2021.08.13
・2021.08.11 EU議会 STUDY バイオメトリクス認識と行動検知
・2021.08.10 EU議会 STUDY ヨーロッパの政策におけるディープフェイクへの取り組み at 2021.07.30
・2021.08.08 EU議会 BRIEFING スマートシティとアーバンモビリティにおける人工知能 at 2021.07.23
・2021.08.07 総務省 AIネットワーク社会推進会議 「報告書2021」の公表
・2021.08.07 Atlantic Council AIとデータ倫理におけるコミットメントからコンテンツへの移行:正義と説明可能性
・2021.08.04 中国 通信院 信頼できる人工知能についての白書 at 2021.07.09
・2021.08.03 中国 最高人民法院 「民事案件における顔識別技術の使用に関する司法解釈」
・2021.07.15 米国GAO 顔認識技術について連邦法執行機関はプライバシーやその他のリスクをより適切に評価する必要がある at 2021.06.03
・2021.07.12 ニューヨーク市 生体情報プライバシー条例が2021.07.09から施行されましたね。。。
・2021.06.30 WHO 保健のための人工知能の倫理とガバナンス
・2021.06.28 EU 外交政策ツールとしての人工知能ガバナンス
・2021.06.23 欧州 EDPBとEDPS 公共の場における人の特徴を自動認識するためのAIの使用、および不当な差別につながる可能性のあるその他のAIの使用の一部を禁止するよう要請
・2021.06.22 欧州保険職業年金局 (EIOPA) 欧州保険セクターにおける倫理的で信頼できるAIガバナンス原則に関するレポートを公表
・2021.06.20 英国 情報コミッショナー 公共の場でのライブ顔認識技術の使用に関するプライバシーの懸念
・2021.06.17 米国上院・下院 顔認識ツールを含む生体情報監視を政府が使用することを禁止する「顔認識および生体認識技術モラトリアム法案」
・2021.06.17 英国政府:データ倫理とイノベーションセンター プライバシーに関するユーザの積極的選択中間報告(スマートフォン)
・2021.06.08 U.S. の公益団体であるEPICが顔認識技術および遠隔生体認識技術の使用禁止を世界的に呼びかけていますね。。。
・2021.05.12 カナダのプライバシーコミッショナーが顔認識技術について議会で見解を述べたようですね。。。
・2021.05.07 ドイツ連邦情報セキュリティ局 (BSI) が「監査可能なAIシステムを目指して - 現状と今後の展望」を公表しています
・2021.05.03 中国 意見募集 顔認識に続けて、歩行認識、音声認識のデータセキュリティ要件の国家標準案を発表し、意見募集していますね。。。
・2021.04.24 欧州委員会がAIへの規制を提案 → 欧州データ保護官は歓迎するけど、公共空間での遠隔生体認証についての規制も入れてね
・2021.04.22 ドイツ連邦情報セキュリティ局 (BSI) が安全なAI導入のための対策をまとめていますね。。。
・2021.04.21 U.S. FTC(連邦取引委員会) のブログ 会社でAIを活用する場合は真実、公正、公平を目指そう、という記事がありますね。。。
・2021.03.14 CNIL 乗客のマスク着用率を測定するためのインテリジェントビデオの使用に関する法令についての意見を公表
・2021.02.05 カナダのプライバシーコミッショナーが顔認識ソフトウェアを提供するClearview AIについての声明を出していますね。。。
・2021.01.30 欧州評議会 108号条約委員会が「顔認証に関するガイドライン」を採択しましたね。。。
・2021.01.12 欧州委員会 市民イニシアティブとして「生体認証による大量監視慣行の禁止」を登録
・2021.01.04 ニューヨーク州 知事が学校での顔認識技術の使用を一時停止し、研究を指示する法律に署名 at 2020.12.22
・2020.11.04 カナダプライバシー委員会 Cadillac Fairview社が500万人の顔データを取得していたことに関する報告書(2020.10.28)
・2020.06.26 人間が間違うなら、人間を模倣したAIも間違うんでしょうね。。。
・2020.06.14 IBM, Amazon, Microsoftは顔認証システムを米国の警察には販売しない
・2020.05.01 (人工知能 AI)ブラックボックスの検証:アルゴリズムシステムを評価するためのツール - アルゴリズムの監査・影響評価のための共通言語の特定
・2020.03.26 JVNVU#99619336 勾配降下法を使用する機械学習モデルに、誤った識別をさせるような入力を作成することが可能な問題
・2020.03.04 FIRST EVER DECISION OF A FRENCH COURT APPLYING GDPR TO FACIAL RECOGNITION
・2020.02.17 遠くからでもわかる顔認識システム!
ぐっと遡って、2000年代
・2009.11.07 世界プライバシー宣言(Global Privacy Standards for a Global World)
・2005.08.11 外務省 IC旅券調査研究報告書
・2005.02.04 監視社会と信頼関係
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