科学技術振興機構 俯瞰ワークショップ報告書 「俯瞰セミナー&ワークショップ報告書:トラスト研究の潮流 ~人文・社会科学から人工知能、医療まで~」
こんにちは、丸山満彦です。
国立科学技術法人科学技術振興機構が、俯瞰ワークショップ報告書 「俯瞰セミナー&ワークショップ報告書:トラスト研究の潮流 ~人文・社会科学から人工知能、医療まで~」を公表していますね。。。
「トラスト (Trust) 」を俯瞰する意味で興味深いです。
・2022.03.04 俯瞰セミナー&ワークショップ報告書:トラスト研究の潮流 ~人文・社会科学から人工知能、医療まで~
・[PDF] 報告書
目次を見るだけで興味がわきますね。。。
1 問題意識および俯瞰の進め方
2 俯瞰セミナーシリーズ
2. 1 小山 虎 「人文・社会系のトラスト研究の系譜」
2. 2 上出 寛子 「社会心理学におけるトラスト」
2. 3 犬飼 佳吾「行動経済学・実験経済学とトラスト」
2. 4 大屋 雄裕 「法制度とトラスト」
2. 5 神里 達博「科学技術へのトラスト」
2. 6 村山 優子 「情報科学におけるトラスト」
2. 7 中島 震 「ソフトウェア品質保証におけるトラスト」
2. 8 松本 泰 「ゼロトラストから考えるトラストアーキテクチャ 〜トラストのメカニズムのパラダイムシフト〜」
2. 9 佐古 和恵 「暗号プロトコルとトラスト」
2.10 山田 誠二 「ヒューマンエージェントインタラクションと信頼工学」
2.11 中川 裕志 「AI のトラスト」
2.12 工藤 郁子「公共政策とトラスト」
2.13 山口 真一 「ソーシャルメディアにおけるトラスト問題」
2.14 尾藤 誠司 「医療におけるトラスト(1)」
2.15 山本 ベバリーアン 「医療におけるトラスト(2)」
3 俯瞰ワークショップ
3. 1 俯瞰的整理
3. 2 総合討議
参考文献リスト
この報告書を読んでいて改めて思ったのは、Trustあるいは、トラストが対象する領域の広さです(不動産信託もトラストとして含まれていますから。。。)。で、なので、今後は今回、広げた俯瞰したトラストについて、何らかの方法(例えば、山岸先生の考え方でもよいし、あらたな分類法でもよいし、分類法も一つである必要はなく、議論するテーマによって使い分けてもよい)で、信頼を分類し、議論する必要があるように思いました。
分類をすることにより、より深い議論ができるのではないかというのが、その意図です。例えば、個人情報の議論をしようと言って、匿名情報、仮名情報、死んだ人の情報、IDの話、システムで読むことを前提とした一意の情報等、いろいろな意味で個人情報を議論していると議論を深めにくいように、それぞれの特徴に応じて分類(あるいは定義)をし、その中で議論をすることにより、より議論が深まるように感じました。
本書で紹介されている、大屋雄裕(慶應義塾大学教授)のトラストについての異なる3つの側面についての指摘
① 対象真正性:本人・本物であるか?
② 内容真実性:内容が事実・真実であるか?
③ 予想・対応可能性:対象の振る舞いに対して想定・対応できるか?
は興味深いです。
ちなみに、山岸俊男先生の分類を自分なりに整理したのが次の図です。。。
・[PPT]
これから重要な分野なので、定義の整理もしながら各個別テーマの議論も深まっていけばよいかと思いました。
あと、監査もトラストには重要なテーマの一つになるので、議論に加わるとよいと思いました。
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