内閣官房 経済安全保障法制に関する有識者会議 第2回
こんにちは、丸山満彦です。
経済安全保障法制に関する有識者会の第2回の資料が公表されていますね。。。
● 内閣官房 - 経済安全保障法制に関する有識者会
第2回の内容に行く前に第1回の議事要旨
・[PDF] 議事要旨
第2回の資料です。。。
第1回 | サプライチェーン強靭化 | 基幹インフラ | 官民技術協力 | 特許非公開 |
実施日 | 2021.12.08 | 2021.12.10 | 2021.12.09 | 2021.12.06 |
資料 | 資料 1 | 資料 4 | 資料 7 | 資料10 |
議事要旨 | 資料 2 | 資料 5 | 資料 8 | 資料11 |
議事のポイント | 資料 3 | 資料 6 | 資料 9 | 資料12 |
議事のポイント...
資料 3:第1回サプライチェーンの強靭化に関する検討会合 議事のポイント
①サプライチェーン強靭化の必要性について
サプライチェーンの脆弱性が日本の産業分野の広範な産業分野に影響を及ぼすことが、今回のコロナ禍で明らかになった。我が国としても有効な対策を考えていく必要。
資源がない島国として、資源や素材をどう確保していくかを検討していく必要。
②政府がサプライチェーンに関与すべき物資の基本的な考え方について
最先端産業を対象とするべき。日本の強みを伸ばすような支援措置を講じていく必要。
代替性の有無などを考慮しつつ、エコノミック・ステイトクラフトの対象になって困るものは何かという観点で検討したらどうか。特定国への依存度をもとに抽出する方法も考えられる。
偏在性から経済的に武器として利用されてしまうような機微な技術はまず大切と考える。
国民の生命に関わるものと未来の産業力等に影響を及ぼすものでは、強靭化の対象とする判断基準が異なるため、それぞれに応じた議論が必要。
需要サイドにおいて代替品がなく、物資価格が上がっても代替供給が叶わない物資を選択していくのではないか。
川上の事業者が国内生産から撤退しているのに気づかなかった事例も見られる。リスクマッピングを作成して検討を進めるべき。
③サプライチェーン強靭化のための政策的な措置・留意点について
迅速な決定を下せるよう機動的に措置を講じていくことができる制度設計にすべき。
日本の強みを伸ばすような支援措置を講じ、サプライチェーンの川上を抑えられるような支援を進めるべきではないか。
規制的なものではなく、企業の強靭化策をインセンティブ等で誘導・後押しする措置であるべき。
物資によって置かれた状況は異なるため、措置も一様ではないことに留意する必要。
コロナ禍においてサプライチェーンの把握が十分できない事象が明らかになった。政府の調査権限は必要ではないか。
サプライチェーンの強化は重要だが、WTO協定との関係を整理したうえで、制度の建付けはよく検討すべき。
サプライチェーンのボトルネックを可視化をするべき。その上で代替ネットワークをどうやって作るか等戦略的な方針を作ることが重要。
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資料 6:第1回基幹インフラに関する検討会合 議事のポイント
①新しい仕組みの必要性/②どのような仕組みが必要か
安全保障の観点から、基幹インフラのサービス提供へのリスクに対処できるよう、設備や維持管理の委託の状況を政府が把握できる新しい仕組みが必要。
設備へのサイバー攻撃を防止するには、内部に脆弱性を仕込まれ、被害が出てからでは遅いため、設備の導入の際、事前に供給者などに問題がないか確認するという考え方が重要。アップデートや維持管理に関与する委託先の確認も検討すべき。
設備のサプライチェーンを包括的に見る必要がある。
他方、事業者ごとに分散的に対応をしても時間がかかるので、民間の努力に加えて、国が包括的に確認できる仕組みが必要。
事業者にとっての予見可能性の観点からは、導入後に政府が問題を指摘する仕組みではなく、事前審査を行う仕組みとせざるを得ない。
③経済活動の自由と国家及び国民の安全の両立
国家・国民の安全と事業者の経済活動の自由との間でバランスが必要。
規制対象となる事業、事業者、設備等について対象を絞ることが重要。
諸外国の審査基準も参考とし、審査基準を可能な限り明確にすべき。
事業者の事業判断が遅れないよう、政府における審査は可能な限り速やかに行うべき。
我が国だけでこのような取組みを進めるのではなく、国際的な動向も見定めるべき。
国際法との整合性が必要。
④守るべき基幹インフラ事業の考え方/⑤守るべき基幹インフラ事業者の考え方
安定供給が脅かされた場合に、国民の生存に支障をきたすものや、国民生活や経済活動に広範囲・大規模な混乱が生ずるもの等に対象事業を限定すべき。
対象事業者は、規模等により限定すべきであり、特に中小企業に規制を課すのは慎重になるべき。
対象事業者は絞ることを前提としつつ、ネットワーク全体への影響や競争の公正性も念頭に検討することが必要。
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資料 9:第1回官民技術協力に関する検討会合 議事のポイント
①先端技術の研究開発への投資
優位性を高めて不可欠性につなげていくためには、分野を選び集中投資することが必要。
科学技術は国がリスクを取ることが当たり前のもの。特に量子をはじめ世界が一変する技術が生まれ、諸外国がしのぎを削っている中で、国として総力を挙げて開発しなければならない。
従来は大企業が基礎研究も含めた先端技術の研究開発を行い日本の産業を支えていたが、今はこうした企業が減っている。理研や産総研、大学で出てきたイノベーションの種を産業につなぐメカニズムが必要。
②先端技術を効果的に守りつつ育成する仕組み
先端技術の実装を進める意味では、警察、海保、防衛といった政府部門の具体的なニーズを研究者と結び付けていくことが非常に重要。
産学官を含めて先端技術を開発する会議体が必要ではないか。その際、何が機微なのかや、研究開発の進め方、オープン・クローズを、参加者が納得して決める運営が必要であり、安心して情報提供できることが重要。
経済安全保障の目的に特化したプログラム以外にも、経済安全保障的な視点を入れていく方法もあるのではないか。
日本のスタートアップはセキュリティが弱い部分がある。少数ではあるが経済安全保障に影響がある貴重なデータを持っているスタートアップがあり、セキュリティを支援する仕組みが必要。
日本では、基礎的な領域から進んでいく段階で、海外、特に米国との連携が欠けている。今は米国に日本と組みたい意向があるので、アメリカンスタンダードで仕組みを作るべき。米国の一流大学が共同研究できない制度だと意味がない。
③育成すべき先端技術を見出すための仕組み
シンクタンクの分析・情報を踏まえて政府が戦略を立て、それに合った研究開発の仕組みを実現していくことが重要。
優位性がある先端科学技術領域を把握し、勝ち筋となる領域を設定するために、専門家を集める必要。同時に、プロフェッショナルな人材の育成も重要。法制で、人材育成も含めたシンクタンクの在り方を盛り込んでいただきたい。
新しい才能を新しい分野で育成していくという観点で、シンクタンクが優秀な科学者のキャリアパスの一つとしての立場を確立していくことが重要。
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①制度新設の必要性・制度の枠組み
特許非公開制度は早期に導入すべき。理由としては、我が国の特許制度において出願人が公開に懸念を持つような機微技術であっても公開を促す制度となってしまっていること等。
非公開制度を導入するのであれば、秘密保持義務や外国出願制限もセットで検討する必要がある。
イノベーションの促進との調和が課題。海外で特許を先に取られてしまい、かえって経済安全保障の武器を失ってしまうおそれもある。
②対象にすべき発明のイメージ
非公開の対象とすべき発明は、いわゆる国防上の機微性が極めて高いものとすべき。
非公開になり得る特許の範囲や、外国出願が制限される技術の分野があらかじめ特定されていることが重要。他方、要件を細目化しすぎると政府の評価能力をテストする悪意の出願が行われるおそれがあるため、バランスが課題。
対象となる技術分野は絞り込む必要がある。シングルユース技術であれば当事者もその機微性を認識している。他方、デュアルユース技術全体に広く網を掛けることは非現実的であり、対象に含めるにしても限定すべき。小さく生んで育てるという発想が必要。
③機微発明の選定プロセスの在り方/④選定後の手続と漏えい防止措置
まず特許庁が一次審査を行い、その後、別の機関が機微性を審査するという2段階の審査の形にならざるを得ない。
二次審査の主体として継続的に見ていくことのできる組織・機関を設けることを検討すべき。
審査に要する期間は短い方がよいが、一次審査で対象が絞られており予見性があるのであれば、10月程度までは許容可能ではないか。
出願者の意見陳述の機会、出願者の意向を踏まえた上での手続の進行を行う仕組みが必要ではないか。
ひとたび非公開の指定がされた以上、そのプロセスから離脱を認めることは考えづらい。
技術は日進月歩であり、指定継続の必要性については、随時見直しが行われるべき。
⑤外国出願制限の在り方/⑥補償の在り方
制度を導入する以上、外国出願の制限はやむを得ない。前提として対象を絞る必要がある。
対象となる発明の要件を予見可能な形で規定した上で、場合によっては政府に相談できる制度を設けるべきではないか。
損失補償は必要。具体的にどこまで補償するかは今後議論すべき。
参考
● まるちゃんの情報セキュリティきまぐれ日記
・2021.11.29 内閣官房 経済安全保障法制に関する有識者会
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