防衛省 防衛研究所 中国安全保障レポート2022 ― 統合作戦能力の深化を目指す中国人民解放軍 ―
こんにちは、丸山満彦です。
防衛省の防衛研究所が『中国安全保障レポート2022』を公表していますね。。。
日本語版のみならず、英語版、中国語版もあります。。。
・2021.11.26 中国安全保障レポート『中国安全保障レポート2022』を掲載しました。
テーマは...統合作戦能力の深化を目指す中国人民解放軍
・中国安全保障レポート2022 ― 統合作戦能力の深化を目指す中国人民解放軍 ―日本語版(本文)
目次...
中国安全保障レポート2022
目次
はしがき
略語表
はじめに
第 1 章 中国人民解放軍の統合作戦構想の変遷
1. 江沢民時代から胡錦濤時代にかけての統合作戦構想とその課題
(1)江沢民時代:「ハイテク条件下の局地戦争論」における統合作戦構想
(2)胡錦濤時代:「情報化条件下の局地戦争論」における統合作戦構想
(3)成果と課題
コラム 「情報システムに基づくシステム体系作戦能力」における 3 つの能力と統合作戦構想への影響
2. 習近平体制における統合作戦構想とその課題
(1)「情報化局地戦争論」の提起
(2)「ネットワーク情報システム体系に基づく統合作戦能力」と「全領域作戦能力」の提唱
(3)「智能化戦争」の提唱とそれに呼応する統合作戦構想の検討
(4)成果と課題
第 2 章 改編された中国人民解放軍の統合作戦体制
1. 建国以来最大規模となる人民解放軍の組織機構改革の実行
(1)改革の経緯
(2)改革の基本方針
(3)組織機構改革における主な注目点
2. 統合強化を志向する軍上層部の人事体制
(1)19 回党大会における軍上層部の顔ぶれ
(2)対等化する戦区司令部と軍種司令部
(3)統合化を志向する戦区司令部内の人事
3. 人民解放軍の統合作戦指揮体制と統合作戦指揮統制システムの現状
(1)中央軍事委員会統合作戦指揮センターを頂点とする多層的な統合作戦指揮体制
(2)戦区統合作戦指揮体制の特徴
(3)統合作戦指揮統制システムの発展
4. 成果と課題
(1)成果
(2)課題
第 3 章 軍改革における統合作戦訓練・人材育成体制の発展と党軍関係強化の模索
1. 軍改革を踏まえた統合作戦訓練の発展
(1)戦区体制下での統合作戦訓練の模索
(2)新たな「軍事訓練条例」と「軍事訓練大綱」の公布
(3)「中国人民解放軍統合作戦綱要(試行)」の公布と中央軍事委員会軍事訓練会議の開催
(4)軍改革後の統合作戦訓練の成果
2. 軍改革を踏まえた統合作戦人材育成の発展
(1)「三位一体の新型軍事人材育成体系」と「新時代の軍事教育方針」の提起
(2)軍隊院校の再編と中国人民解放軍国防大学の役割
(3)部隊における統合作戦人材の育成
(4)軍事職業教育の発展
(5)人材育成体系構築の成果
3. 新たな統合作戦体制における党軍関係強化の模索
(1)「党軍」としての人民解放軍
(2)党軍関係と統合作戦の効率性をめぐる論点
(3)戦時における党委員会制度とその役割
(4)軍事的専門性と科学技術知識を重視した政治将校の育成
(5)戦時政治工作における「三戦」の重視と情報化の促進
(6)党軍関係強化に関する成果
4. 統合作戦訓練・人材育成・党軍関係をめぐる課題
(1)統合作戦訓練における課題
(2)人材育成における課題
(3)政治委員制度と戦時政治工作における課題
おわりに
表 1-1:「情報システムに基づくシステム体系作戦能力」における基本作戦様式
基本様式の名称 | 主な内容 |
情報火力打撃 | 情報が主導し、火力を主力として戦う、ソフトキルとハードキルを結合させた攻撃。火力の運用では、精密誘導弾を主体とする長距離精密攻撃を重視し、敵の作戦システム体系の破壊では、電子・サイバー・心理認知攻撃を重視する。 |
多次元立体突撃 | 諸軍兵種の戦力を総合的に使用し、陸・海・空・宇宙・サイバー電磁波・心理認知などの多領域で敵の作戦目標に実施する攻撃。敵の作戦システム体系のカギとなる結節点に対し、多次元領域でソフトキルとハードキルを組み合わせた攻撃を行うため、高度な指揮統制能力が求められる。 |
ネットワーク電子総合対抗 | 敵のネットワーク・電子戦設備(システム)の脆弱化・破壊と、自己のネットワーク・電子戦設 備(システム)の防御に関する活動の総称。サイバー電子偵察、サイバー電子攻撃、サイバー 電子防御を含む、制情報権の獲得のための手段であり、平時から戦時の全ての段階で実施され、 高度な指揮統制能力が求められる。 |
心理認知攻撃 | 心理認知を目標とし、情報メディアを武器とし、多様な手段を運用して、心理認知に影響を与え、 自己に有利で相手に不利な心理認知状態を形成することで、敵を瓦解させ、自陣を強固にする ことを目的とする。その対象は敵国の指導者・要人・軍隊・一般市民・敵の同盟国・第三国など、 広範囲にわたる。情報火力打撃、多次元立体突撃と組み合わせることで、その効果を強める。 |
特殊作戦行動 | 特定の軍事・政治・経済・心理上の目的のため、特殊部隊、または特殊な訓練を受けた戦力を 使用し、敵の戦略・戦役上の目標やその他重要目標に対し実施する非正規作戦行動。作戦目 標は戦略・戦役レベルとなり、戦争の全局面に影響を及ぼすため、戦区首長(司令員・政治委員) の指揮下で、隠密性を重視し、運用される。特殊偵察、重要目標の破壊・襲撃、重要目標の 奪取・統制、精密攻撃誘導、心理瓦解戦、サイバー攻撃などを任務とする。 |
年度 | 副題 | 章 | テーマ |
2022 |
統合作戦能力の深化を目指す中国人民解放軍 |
1 | 中国人民解放軍の統合作戦構想の変遷 |
2 | 改編された中国人民解放軍の統合作戦体制 | ||
3 | 軍改革における統合作戦訓練・人材育成体制の発展と党軍関係強化の模索 | ||
2021 | 新時代における中国の軍事戦略 | 1 | 情報化戦争の準備を進める中国 |
2 | 中国のサイバー戦略 | ||
3 | 中国における宇宙の軍事利用 | ||
4 | 中国の軍民融合発展戦略 | ||
2020 | ユーラシアに向かう中国 | 1 | 中国のユーラシア外交 |
2 | 中央アジア・ロシアから見た中国の影響力拡大 | ||
3 | ユーラシアにおけるエネルギー・アーキテクチャ | ||
2019 | アジアの秩序をめぐる戦略とその波紋 | 1 | 既存秩序と摩擦を起こす中国の対外戦略 |
2 | 中国による地域秩序形成とASEANの対応 ――「台頭」から「中心」へ | ||
3 | 「一帯一路」と南アジア――不透明さを増す中印関係 | ||
4 | 太平洋島嶼国 ――「一帯一路」の南端 | ||
2018 | 岐路に立つ米中関係 | 1 | 中国の対米政策 |
2 | 米国の対中政策 | ||
3 | 地域における米中関係の争点 | ||
2017 | 変容を続ける中台関係 | 1 | 中国の台湾政策の変遷 |
2 | 台湾から見た中台関係 | ||
3 | 米国にとっての台湾問題 | ||
4 | 中台関係の変容と「現状維持」 | ||
2016 | 拡大する人民解放軍の活動範囲とその戦略 | 1 | 遠海での作戦能力強化を図る中国海軍 |
2 | 空軍の戦略的概念の転換と能力の増大 | ||
3 | ミサイル戦力の拡充 | ||
4 | 統合的な作戦能力の強化 | ||
2014 | 多様化する人民解放軍・人民武装警察部隊の役割 | 1 | 中央国家安全委員会創設とその背景 |
2 | 人民武装警察部隊の歴史と将来像 | ||
3 | 人民解放軍による災害救援活動 | ||
4 | 軍事外交としての国連平和維持活動 | ||
5 | ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動 | ||
2013 | 1 | 中国の対外危機管理体制 | |
2 | 中国の危機管理概念 | ||
3 | 危機の中の対外対応 | ||
2012 | 1 | 「党軍」としての性格を堅持する人民解放軍 | |
2 | 深化する軍と政府の政策調整 | ||
3 | 軍と政府が連携を深める安全保証政策 | ||
4 | 政策調整の制度化を求める人民解放軍 | ||
2011 | 1 | 海洋に向かう中国 | |
2 | 南シナ海で摩擦を起こす中国 | ||
3 | 外洋に進出する中国海軍 | ||
4 | 対外園で発言力を増す人民解放軍 | ||
創刊号 | 1 | 中国の対外姿勢 | |
2 | 拡大する活動範囲 | ||
3 | 役割を増す軍事外交 | ||
4 | 進む装備の近代化 |
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