デジタル庁 「縦割り打破」? 官僚組織を破壊してはいけない...
こんにちは、丸山満彦です。
デジタル庁が2021年9月1日に始動しましたね。2000年にIT基本法ができ、電子政府を推進していたたはずが、ほとんど進んでいない状況で2018年にデジタル・ガバメント実行計画が立てられ、その後コロナ禍となり、在宅勤務や非対面、非接触によるコミュニケーションや取引が重要となり、いよいよお尻に火がついたのでしょうかね。。。デジタル庁を活用して、行政業務のデジタル化がすすんでいくようになるのでしょうかね。。。
新聞記事(わかりやすさを重視し、正確性にかけることも多い)には、「縦割りを打破」という言葉がでてきますね。「各省庁縦割りの業務をもっと連携して行う必要があるよね。」という意味なのでしょうね。。。各省庁がスクラムを組んでというか、役割分担と連携をし、目標にむかっていくことが重要なのでしょうね。
そこで私が思うのは、「縦割り打破」の意味は何かということです。。。
私は、縦割りの組織構造(官僚組織)を破壊してはいけないと思っています。組織の基本は官僚組織です。縦割りの弊害があるとしても、この組織構造以上によい組織構造があるとは思えません。。。なので、このベースとなる官僚組織を破壊してしまってはいけないと思っています。
では、「縦割りの打破」の本質というときの「縦割り」とは何かということですね。私はいわゆる「親分子分関係」なのではないかなぁと思っています。中根千枝氏の「タテ社会の人間関係」にでてくる日本の社会構造が「場」によって形作られるという話ですね。
◯◯組、◯◯会派、◯◯派閥、◯◯勉強会と称して存在している組織はタテ社会の構造をとっていますね。。。
これを打破する(潰すのではなく、ミッションを実行するための必要性を判断する際の判断材料としない)ということが重要なのではないかと思っています。A派のXボスがこのポジションなら、その子分のYさんは、それよりも下のポジションでないといけないとか、A派のYさんがそのポジションならB派のZさんにはこれかこのポジションにつかせないといけないとか、そういった類です。。。
(デジタル庁の人事の一部をみていると、そうでもなさそうな例があり、少し希望がもてます!)
あくまでもミッションを果たすために必要な能力を満たしている人選をし、官僚組織の中でそれを動かすことが重要なのだろうと思います。(今は、タテ社会の場の関係が官僚組織に組み込まれたり、表とは違う裏のタテ社会の関係で動いたりしていることが問題なのだろうと思っています。。。)
あと、別の話になりますが、国民の信頼というのが今の政府には欠けているのかなぁと思います。
いわゆるアカウントビリティを果たしているのか?という問題なのだろうと思います。住基ネットがうまくいかなかったのも、これが原因なのではないかと思っています。「政府が個人情報を集めて何をしでかすかわからないからいやだ」という類の話です。もちろん個人情報保護法等により法律的に縛ったりはするのですが、例外措置があるわけで、例えば安全保障上の理由等にかこつけて、骨抜きの運用をするのではないかという疑念が生じて、いつまでも解決しません。。。
この問題については、記録を残して開示する(機密情報でも数十年後には開示する)、会見の場での質問にも真摯に答えるということを丁寧に積み上げていかないといけないのではないかと思っています。
私が気づいた行政のデジタル化の成功のための必要条件をまとめる(全然デジタルな話はなく、構造的な話だけですが。。。)と、
・ミッションを果たすための組織運営(省庁間の連携も含めて)をする
=>そのためには、親分子分関係を持ち込まない能力に応じた人選と官僚体制に基づいた業務遂行を行う
・国民に対するアカウンタビリティを果たし、国民から信頼され応援される政府になる
=>そのためには、適切な記録の保持と必要に応じた開示、会見等での真摯な対応
なんじゃないかなぁと思ったりしています。。。
しらんけど(^^)
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中根千枝氏の、[kindle]「タテ社会の人間関係」は多くの人にとって読んで損はない本だと思います。
今回のコロナ禍における状況等は、
「第6章 リーダーと集団の関係」
を読むと、なるほどなぁと思える部分もでてきます(なので、解決しないということで、希望を失ってしまうのですが...)
是非是非・・・
● 日経新聞
・2021.09.01 デジタル庁始動 菅首相「国つくり替える知恵を」―縦割り打破が課題
・2021.08.31 「スマホで行政手続き」目指す 菅首相、デジタル庁発足で取り組み指示
・2021.08.27 デジタル庁600人規模で発足 民間200人起用
・2021.08.26 デジタル庁5426億円 概算要求
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