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2021.04.05

コーポレートガバナンス・コード改訂(案)

こんにちは、丸山満彦です。

2021.03.31に開催された金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第26回)において、コーポレートガバナンス・コード改訂(案)についての議論がされたようですね。。。

主な改訂ポイントは、取締役会の機能発揮を強く意識した上(関連して、グループガバナンス、監査に対する信頼性、内部統制・リスク管理)で、合わせてサステナビリティ対応、ダイバーシティー&インクルージョン対応、IT化ですかね。。。

下の方にも書いていますが、取締役会と執行メンバーの関係は環境に応じて動的に変わるものという前提で議論をするのが重要なんでしょうね。。。

● 金融庁

・2021.03.31 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第26回)

資料  [PDF] コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について(案)

20210404-73259


別紙1 [PDF] コーポレートガバナンス・コード改訂案

20210404-73019


別紙2 [PDF] 投資家と企業の対話ガイドライン改訂案

20210404-73118


    [PDF] 意見(松岡メンバー)
    [PDF] 意見(ケリー・ワリングメンバー)(原文)
    [PDF] 意見(ケリー・ワリングメンバー)(日本語訳)

 

コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について(案)の内容は、


Ⅰ.はじめに

Ⅱ.本コードと対話ガイドラインの改訂に当たっての考え方

1.取締役会の機能発揮
2.企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保
3.サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取組み
4.その他個別の項目

(1)グループガバナンスの在り方
(2)監査に対する信頼性の確保及び内部統制・リスク管理
(3)株主総会関係
(4)上記以外の主要課題

Ⅲ.本コードの改訂の適用について

Ⅳ.おわりに


コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について(案)はワードにもしてみました。

・[DOCX]コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について(案)


 

取締役会の役割はまさに、「取締役会が経営者による迅速・果断なリスクテイクを支え重要な意思決定を行うとともに、実効性の高い監督を行う」(意見書5)ですよね。。。

会社経営のイメージは、大海原を船で突き進んでいるイメージです。穏やかな気候の中を海流に乗って悠々と進んでいる時もあれば、荒れ狂う暴風雨の中を木の葉のように舞いながらも進んでいる時もある。そんな操縦室の中で、エンジンや舵をどう切るか、船長と共に専門性や経験をもった賢人たちが意思決定を行っている感じです。

気候によって、船長やそれをサポートする人の役割って動的に変わってくると思うんですよね。。。穏やかな気候の時は、取締役会で決めた方向に向かって船長はある意味自由闊達に工夫しことを進め、取締役会は決めた方向にきちんと進んでいることを確認するという監督者的な役割が重要視されるのだろうと思います。一方、荒れ狂う暴風雨の時は、取締役会も全面的に船長をサポートし、難局を乗り切らなければいけない。船長のやり方が正しいかどうかをあれやこれや資料を出させて議論ばかりしている場合ではない時もあると思います。もちろん、いつが難局でいつが平時かという切れ目すら動的に変わってくるのだろうと思っています。南氷洋のように常い暴風雨が吹き荒れているようなところを進むのであれば、それがもう平時ですしね。。。大きな船にとっては穏やかな波であっても、小さな船にとっては大波と感じることもあるでしょうしね。。。

取締役会もCEOも最終的には株主の利益のために活動をすべきなのだろうと思います。株主の利益の中には他の利害関係者との関係を適切に築くことにより得られる利益も含まれます。

この株主会社制度の原理原則をきちんと理解すれば、方法論に多少の揺らぎがあっても大きくずれることはないでしょうね。。。


 

■ 参考

● ビジネス法務の部屋

・2021.04.02 監査機関の一元的統合に関する課題にどう答えるか?

山口先生の論点はいつも現実に即した論点で非常に参考になりますね。。。


監査役の特性(属性)についても積極的に開示すべきと考えます。


↑:当然でしょうね。投資家、株主にとっての開示ですからガバナンスの重要な一部を担う人についての特性(属性)は取締役が開示することが重要という判断であれば、監査役についての開示も当然に重要となりますよね。


取締役や監査役の情報入手の重要性との関係で「内部監査部門の充実」に光が当たっていますが、なぜ監査役専属スタッフの活用については記載がないのでしょうか。


↑:山口先生の思いと同じく当然でしょうね。監査役が責任を持って業務を行うためには、監査役スタッフの活用が不可欠ですよね。プライム市場上場会社で監査役にスタッフがついていないというところがあれば、それはそれで問題でしょうね。。。監査役スタッフの選任については、監査役が決める話(もちろん、内部人材を活用する場合には執行の責任者との調整が必要ですが...)ですよね。むしろ、企業の業種業態、規模、内部監査部門の充実等との兼ね合いでどの程度が適切であるのかという議論をむしろ深める必要があるでしょうね。。。

山口先生のブログでちょっと気になったのは、


社外取締役に経営者の監督機能を果たしてもらうことでエージェンシーコストをできるだけ少なくしたい、会計監査人や内部監査人が別に存在するのだから、それ以外の監査コストはできるだけ低減したい、という機関投資家の気持ちからすれば、「監査は取締役・監査委員の会合で代替できるのではないか」「情報収集は優秀な内部監査部門と連携すればよいのではないか」といった素朴な疑問が湧いてきても不思議ではないでしょう。といいますか、最近のガバナンス改革の流れからすれば、そういった意見が今後も強くなるような気がします。


の部分です。機関投資家には監査コストをできるだけ低減したいという思いがあるのでしょうかね。。。本当は「低減」ではなく、「適正」なんでしょうね。。。それは長期的に株式をもつ場合と、短期的な利益を重視する場合で異なるのかもしれませんね。。。投資家が社会にとって重要な位置付けを持つということを考えると、機関投資家が監査コストをどのように決めるべきかを投資家としての行動規範(例えば、[PDF] スチュワードシップ・コード)で規定していくのが良いのかもしれませんね。。。

 

● 金融庁 - 審議会・研究会等 - スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議

・意見書等

 

● 金融庁  - 審議会・研究会等 - スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会


 

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