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2020.12.01

防衛省 防衛研究所 米大統領選後の安全保障の展望 ASEAN, 中国, 南アジア

こんにちは、丸山満彦です。

防衛研究所が大統領戦後の安全保証の展望を公表しています。今のところ

  1. ASEAN
  2. 中国
  3. 南アジア

が公表されていますね。。。

米国のRAND研究所の報告書も紹介しましたが、日本の報告書も参考になると思います。。。

 防衛省 防衛研究所

 

一方、対中政策については、中国に厳しく対応していくという姿勢は超党派の合意事項ともいわれており、トランプ政権時同様、米中の緊張関係は続くと考えられる。今後も南シナ海や台湾をめぐって米中間の緊張が高まることは十分に考えられよう。ASEAN としては、米中対立が構造的な問題である以上、米政権の交代によってこうした対立構造が根本的に変化することは期待できず、ASEAN にとって「居心地の良い」米中関係は出現しない、との悲観的観測がある。そこで ASEAN が最も恐れる事態は、米国ないしは中国によってどちらの側につくかの選択を迫られることである8。「米中 2 者択一」の難題は、ASEAN 内に亀裂を生み、その中心性の維持を困難にするという意味で、ASEAN 各国の対米・対中 2 国間関係の問題にとどまらず、ASEAN自体の存立にかかわる問題となる。バイデン政権になっても、ASEAN は単にオバマ時代の再来を楽観することはできず、深まる米中対立の中での自律性を模索する課題に直面するであろう。

 

米大統領選挙後の安全保障の展望② 中国の見方

中国は今のところ様子見という段階にあり、明確な動きを見せていない。。。。

バイデン政権になっても中国の対外戦略が根本的に転換するとは考えにくい。仮にバイデン政権がより協調的な関係を求めたとしても、諸問題についての双方の妥協可能なラインには隔たりがあり、またそのこと自体についての共通認識もない。現状では米中の相互不信は取り除くことが難しいだろう。

またバイデン政権で同盟関係がさらに強化される可能性があることから、中国にとっては相手陣営の分断が重要となるだろう。東南アジアや韓国に対する態度は穏健化する可能性があるし、また日本に対しても穏健な政策を継続するかもしれない。米中関係のみならず、中国の周辺国に対する政策動向にも注目が必要だろう。

 

米大統領選後の安全保障の展望③ 米新政権の南アジア政策――アフガン対テロ戦争の幕引きと米中競争激化の間で

米国にとっての政策的焦点は恐らく 3 つある。第 1 に、冷戦終結以降、米国が着実に協力を深化させてきたインドとの関係。第 2 に、来年には開始から 20 年を数えることになる、アフガニスタンでの対テロ戦争。そして第 3 に、アフガンに加え、中国との戦略的競争の観点からも南アジア域内で重要な位置を占めるパキスタンとの関係である。

・・・

南アジアに関しては、直近のトランプ政権だけでなく、オバマ政権、ブッシュ政権も含め、米国の政策は大筋で内外の構造的なファクターに規定される方向へ流れてきた印象が強い。バイデン政権がそこから外れることを示唆する強いエヴィデンスは見当たらず、同政権の対南アジア政策は総じて、20 年に及ぶアフガン対テロ戦争の縮小・幕引きと、グローバルに激化する中国との戦略的競争への対応という 2 つの大きなトレンドに規定される形で展開されていくものと予想される。

 

 

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