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2020.05.18

企業会計基準委員会:会計基準に置いて「財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうか の判断規準の作成」はしないことに...

こんにちは、丸山満彦です。

会計の話にいきなり飛ぶのですが(^^)、、、

企業会計基準委員会、つまり「一般に公正妥当」な会計基準を作成する委員会が「財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうかの判断規準」なんてできないから作成しないと、言う結論になったようです。その理由は、

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日本基準では、これまで「経営者」を用いたことがなく、上記のような状況を踏まえると、企業の清算若しくは事業停止の意図」をもつ主体を決めるには、相当の時間を要するものと考えられる。
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と言うことなんですよね。。。この委員会で検討する範囲外での検討が中心となるので、この委員会で検討をしない方が良いと言うことなのでしょうね。。。

要は、日本の監査基準で言う経営者の定義と国際会計基準で言う経営者の定義が異なると思われるので、この委員会で議論をするのが難しいと言うことのようです。。。

20年ほど前、日本監査研究学会に参加したときに、継続企業の開示についての議論が行われていたました。神戸大学の内藤先生(当時は助教授でしたかね。。。)が発表していました。

当時の議論の中心は、監査人が継続企業の開示を行うことは、会計士が企業の継続性について付加的な情報を与えることになる、みたいな話があったのですが、「それって、会計公準の継続企業の前提が崩れるかもしれないので、継続企業を前提とした財務諸表が意味なくなるかもしれないので、注意をしてよ。と言う話で、まずは、経営者がそれを言った上で、会計士が評価をすれば良いんじゃないんですかね。。。」と言う話を内藤先生に懇親会か何かの場でしたように思います。(先生は忘れているでしょうが・・・)

ちなみに今回の問題は、技術的には、国際会計基準の経営者の定義に揃えることにすれば、問題は解決です。。。

 

企業会計基準委員会

・2020.05.14 第433回企業会計基準委員会の概要

議事概要(速報)

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矢農常勤委員より、「財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうかの判断規準の作成」に関するプロジェクトの方向性について説明がなされ、審議が行われた。審議の結果、「財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうかの判断規準の作成」については、開発を行なう上では既存の基準を参考とすることを前提としていたが、既存の会計基準を参考として開発を継続することは難しい状況であることから、開発中のテーマから除外することが承認された。

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審議(4) 財務諸表を継続企業に基づき作成することが適切か否かの判断規準の検討

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日本基準では、これまで「経営者」を用いたことがなく、上記のような状況を踏まえると、企業の清算若しくは事業停止の意図」をもつ主体を決めるには、相当の時間を要するものと考えられる。

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上記資料を読めばわかるのですが、議論は丁寧にされています。

問題の出発点は、

国際会計基準では、第1号第25項で、「経営者は、企業が継続企業として存続する能力があるのかどうかを検討しなければならない。経営者に当該企業の清算若しくは営業停止の意図がある場合、又はそうする以外に現実的な代替案がない場合を除いて、企業は財務諸表を継続企業の前提により作成しなければならない。」と定めています。第26項にも言及があります。

一方、

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5. 我が国の会計基準には、どのような場合に経営者が継続企業の前提に基づいて財務諸表を作成すべきかの明示的な定めがない。また、継続企業の前提により財務諸表を作成することが不適切と判断された場合の会計処理が定められた会計基準も存在しない。

6. 国際的な監査基準に基づく監査報告書においては、継続企業の前提に基づいて財務諸表を作成することが適切であるか否かを判断する責任は経営者にあり、経営者がどのような場合に継続企業の前提に基づいて財務諸表を作成することが適切であると判断するのかについての説明を記載することが求められている。

7. 一方、我が国の会計基準には、どのような場合に経営者が継続企業の前提に基づいて財務諸表を作成すべきかの明示的な定めがないことから、我が国の監査報告書に国際的な監査基準と同様の記載をすることは難しいとされた。

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と言うことで、議論を始めてみたら、経営者の定義の違いに気づいた・・・

国際会計基準では、

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20. なお、IFRS では、「概念フレームワーク」において「経営者」という用語は、「企業の経営者及び統治機関を指す。」とされ、統治機関も含んだ概念とされている。

(「財務報告に関する概念フレームワーク」PART A 脚注 3)
「概念フレームワーク」全体を通じて、「経営者」という用語は、特に断りのない限り、企業の経営者及び統治機関を指す。」

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となっている一方、監査基準では

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監基報 570 において「企業の清算若しくは事業停止の意図」をもつ主体

17. 監基報 570 第 2 項の判断規準において、「企業の清算若しくは事業停止の意図」をもつ主体は「経営者」とされている。監査基準委員会報告書(序)では、「経営者」の定義を以下のとおり定めており、「経営者」は個人を前提とした概念と理解している。

(監査基準委員会報告書(序)「監査基準委員会報告書の体系及び用語」付録 2:用語集)
「取締役又は執行役のうち、企業における業務の執行において責任を有する者をいう。国によっては、統治責任者の一部若しくは全員が経営者である企業もあり、又はオーナー経営者のみが経営者である企業もある。」

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となっていて、齟齬があり、この齟齬を解決しないと基準が作れないと言うことのように思います。

 

● 会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

・2020.05.17 「「財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうか の判断規準の作成」テーマから除外」企業会計基準委員会

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