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2020.05.26

日本のコンタクト・トレーシング・システムは6月中旬稼働予定

こんにちは、丸山満彦です。

各国でコンタクト・トレーシング・システムの導入が進んでいますが、日本では6月中旬に稼働するようですね。

重要なことは、このシステムの導入目的及びシステムの限界について、国民が正しく理解することであり、政府等もそれを理解しやすいように(正しく、わかり易く)伝える事だと思います。

若干関わったりしていたので、まず目的からですが、大雑把に言えば、

・感染者との濃厚接触の可能性が高い人が、感染しているかもしれないという想定の元、他の人への感染を防止するような行動を積極的に取るようにすることにより、社会全体で見た場合の感染拡大を緩和すること

だと思います。

もちろん、検査体制と検査精度が十分であれば、検査を受け陰性とわかれば感染を防止する行動を積極的に取らなくても良いという判断ができるのも良いと思います。

色々なシステムが想定されますが、位置情報等を利用せずに端末間のBlue Tooth通信を利用するApple、Googleの共通APIを利用することを想定すれば、

濃厚接触の可能性のアラートに関係するパラメーターですが、バクっといって

  • X1:感染者と継続して取り続けた距離 (m)
  • X2:感染者と継続して取り続けた時間 (分)
  • X3:照合のためのデータ保持期間 (日)

が、考えられます。(パラメタとしてはデータ保持期間もありますが

したがって、システムの限界が見えてきます。

感染者との濃厚接触があれば、必ず感染するというわけではないのは当然としても、

  • 飛沫感染を防止することを想定していて、間接感染の防止にはほぼ効果がない(ドアノブ等の接触による間接感染は発見できない。)
  • X1、X2のパラメタの取り方によっては、飛沫感染しているにもかかわらずアラートが上がらない可能性が高まる(すれ違いざまに感染者が目の前でくしゃみをした場合、濃厚接触した感染者がアプリを利用していない場合など)
  • X1、X2のパラメタの取り方によっては、飛沫感染する可能性がほぼ0の環境にもかかわらずアラートが上がる可能性が高まる(ガラスで仕切られた空間ではあるが距離と時間が閾値に達した場合など)
  • X3のパラメタの取り方によっては、濃厚接触をして感染していたにもかかわらずアラートが上がらない可能性が高まる。(潜伏期間以上の期間を取ることが想定されるのであまり気にしなくても良いかもです。)

ということが、考えられます。

つまり、このシステムでは、感染者からの網羅的な感染を検知はできないということです。

また、アラートが上がった人が確実に感染しているわけでもないということです。ただ、マスで見た場合、通常の人よりも可能性が高いということに過ぎません。

こうやってみると限界はかなりあり、効果は限定的だと思います。ただ、だからと言って利用しないということはないと思います。利用による利用者のデメリットがほぼないからです。(政府等がプライバシーにかかわる情報を目的外利用しなければ・・・)

そして、社会全体での効果は、利用者が増えるほど上がります(なので、多くの人が利用することが重要です)。

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■ 報道等

● NHK
・2020.05.25 17:26 「濃厚接触の可能性あり」コロナ対策アプリで知りたい?  by 経済部記者 伊賀亮人

「濃厚接触した可能性があります」こういう通知がスマホに届くとしたら、アプリをダウンロードしますか?緊急事態宣言が解除されたあとの感染対策はどうすればいいのか悩んでいる人も多いと思いますが、濃厚接触した可能性がある場合に自動的に通知が届くアプリの開発がいま、日本でも進んでいます。データを使った対策は、公衆衛生のために必要か、それとも監視社会につながるのか。アプリ開発の現場を取材しました。(経済部記者 伊賀亮人)

(表題と内容が微妙で、個人の興味の問題ではなく公衆衛生という社会的な貢献の問題であり、そのためにはプライバシーに配慮し監視社会につながらないように政府も国民も意識して対応をするということなんですけどね。。。)

● IT Media
・2020.05.25 19:20 首相「接触確認アプリ使って」 “緊急事態宣言解除後のカギ”と呼びかけ by 井上輝一

安倍晋三首相は5月25日、全国の緊急事態宣言を解除するとともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第2波を起こさないための重要な取り組みとして、厚生労働省が開発を進めている「接触確認アプリ」を多くの国民に利用してほしいと呼びかけた。6月中旬をめどに公開するという。

(コード・フォー・ジャパンの有志がボランタリに活動していた成果が今回の厚労省アプリの早期リリースに貢献していることがわかりますね。)

● ケータイWatch
・2020.05.25 18:34 安倍総理、「濃厚接触通知アプリ」6月中旬導入とコメント by 関口 聖

安倍晋三総理大臣は、25日夕刻の記者会見で、新型コロナウイルス感染症対策として「接触確認アプリ」、いわゆる濃厚接触通知アプリ(コンタクト・トレーシングアプリ)を6月中旬にも導入することを明らかにした。

● Excite News
・2020.05.25 19:02 [ねとらぼ] 緊急事態宣言、全国47都道府県で解除 陽性患者との接触可能性を通知する「接触確認アプリ」導入へ

感染者を早期に発見するクラスター対策を強化。具体的な案として、6月中旬より「接触確認アプリ」を導入する方針。スマートフォンでユーザーの行動を追跡し、陽性が判明した人と濃厚接触の可能性がある人に検査を求めます。個人情報は取得しません。

あわせて検査を受けられる環境の拡大にも力を入れていくと発表。PCRセンターや十分な専用病床を拡充すると述べました。

朝日新聞
・2020.05.25 21:05 政府、緊急事態宣言すべて解除 経済対策200兆円規模 by 岡村夏樹

25日に改定された基本的対処方針では、外出自粛やイベントの開催制限、施設の使用制限などについて、おおむね3週間ごとの3段階で段階的な緩和を打ち出した。

 一方で首相は感染防止の徹底と経済活動再開の両立は難しいとして、「次なる流行のおそれは常にある」と強調。再び感染が拡大した場合は緊急事態宣言を出す可能性があるとした。感染拡大防止のため、来月中旬から新型コロナの感染者と接触していた人にスマートフォンで通知するアプリを導入する方針も明らかにした。

産経新聞
・2020.05.25 18:58 首相会見全文(4)接触確認アプリ「個人情報取得せず、来月中旬目途に導入」

「クラスター(感染者集団)対策を一層強化することが必要です。そのカギは、接触確認アプリの導入です。スマートフォンの通信機能により、陽性が判明した人と、一定時間近くにいたことが判明した方々、すなわち、濃厚接触の可能性が高い皆さんに自動的に通知することで、早期の対策につなげるアプリです。先月、(英国の)オックスフォード大学が発表したシミュレーションによれば、このアプリが人口の6割近くに普及し、濃厚接触者を早期に、早期の確認につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能となる大きな効果が期待できるという研究があります。わが国では、個人情報は全く取得しない。安心して使えるアプリを来月中旬を目途に導入する予定です。どうか多くの皆さんに、ご活用いただきたいと思います」

● 日本経済新聞
・2020.05.25 22:45 10万円支給遅れ「真剣に反省」首相会見要旨「新たな日常を作り上げる」

【接触確認アプリ】

最悪の場合には2度目の緊急事態宣言発出の可能性もある。外出自粛のような社会・経済活動を制限するようなやり方はできる限り避けたい。

感染者をできるだけ早期に発見する。クラスター(感染者集団)対策を一層強化することが必要だ。安心して使える接触確認アプリを6月中旬をメドに導入する予定だ。

・2020.05.26 接触アプリを来月中旬導入 首相表明

安倍晋三首相は25日の記者会見で、新型コロナウイルスへの対策として、6月中旬をめどに感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォンアプリを導入すると表明した。プライバシー保護に配慮し「個人情報はまったく取得しない」と説明した。

アプリはスマホに備わる近距離無線通信「ブルートゥース」の機能を使う。アプリの利用者同士が近距離で一定時間接触すると記録がスマホに保存される。

利用者の感染が判明すれば、記録を活用して濃厚接触者に通知する仕組みだ。

毎日新聞
・2020.05.25 19:46 首相「自治体向け交付金2兆円増額」 接触確認アプリ「6月中旬めどに導入」

さらに、感染者の増加の速度が再び高まれば「2度目の緊急事態宣言発出の可能性もある」と述べた上で、「個人情報はまったく取得しない、安心して使える(接触確認)アプリを6月中旬をめどに導入する」と述べた。



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まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記

2020.05.23 Apple & Google 公衆衛生機関を支援するために - Exposure Notification API を公開

2020.05.22 政府CIOポータル 第2回 接触確認アプリに関する有識者検討会合 開催

2020.05.21 COVID-19に対する濃厚接触可能性検知アプリの現状 by 喜連川 国立情報学研究所 所長

2020.05.20 世界のコンタクト・トレーシング・アプリケーション(by The Office of the Privacy Commissioner of New Zealand)

2020.05.19 関係者は是非! => 接触確認アプリ「まもりあいJAPAN」の全体設計について

2020.05.19 セキュリティ専門家の「まずは使ってもらうというところを重視した設計思想を入れないと何も実現できない」という「NHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」」番組中のコメントの真意について

2020.05.14 CNILCOVID-19感染者をモニタリングする情報システムに関する政令案の審議結果を公表していますね。

2020.05.14 Norway データ保護機関が公衆衛生研究所にコンタクト・トレーシング・アプリの課題について通知したようですね。。。

2020.05.14 ニュージーランドでも、コンタクト・トレーシングについて議論されているようですね。。。

2020.05.12 政府CIOポータル 第1回 接触確認アプリに関する有識者検討会合 開催

2020.05.08 カナダ 連邦、州、地域のプライバシー委員会委員によるコンタクト・トレーシング・アプリに対するプライバシー原則についての共同声明

2020.05.08 GoogleAppleCOVID-19 "Exposure Notifications" APIの提携の話・・・

2020.05.06 イタリア政府 COVID-19緊急時のコンタクト・トレース・アプリに関する情報 (2020.04.30 update)

2020.05.06 Norway コンタクト・トレーシング・アプリ(smittestopp / Infection stop)

2020.05.05 UK NHS COVID-19 appのテストバージョンのリリースとNCSCによる技術情報の公表。。。

2020.05.05 UK ICO COVID-19 コンタクト・トレーシング:アプリ開発におけるデータ保護の期待

2020.05.04 カナダ アルバータ州のコンタクト・トレーシング・アプリ ABTrace Togehter

2020.05.03 ベルギーのDPACOVID-19のトレースとデータベースに関する王立法案に関する意見を公表していますね。。。コンタクト・トレーシング・アプリをリリースする前にデータ保護影響評価を実施し、ソースコードを公開することを要求していますね。。。

2020.05.02 米国上院委員会がCOVID-19消費者データ保護法案についての発表をしていますね。。。

2020.05.02 英国 NHSX(国民保健サービス・デジタル)はドイツ等と異なりApple-Google APIを使用せず集中管理方式の連絡先追跡システムにする?

2020.05.01 個人情報保護委員会 新型コロナウイルス感染症対策としてコンタクトトレーシングアプリを活用するための個人情報保護委員会の考え方について

2020.05.01 高橋先生の「コロナウイルス(Covid-19)GDPR (26) コンタクトトレーシングアプリの要求事項を整理する」はよく整理されている!

2020.04.27 オーストラリアではCOVIDsafeというコンタクト・トレーシング・アプリがダウンロードできるようになっているようです!!(が登録はまだできない?

2020.04.27 少なくとも7カ国の政府を含むPEPP-PTの支援者は、プライバシー保護の「中央管理手法」をあきらめていない

2020.04.26 英国 NHSX(国民保健サービス・デジタル)が間も無くコンタクト・トレーシング・アプリをリリースするようですね。。。

2020.04.25 オランダでは、COVID-19 コンタクト・トレーシング・アプリが国民的議論を巻き起こしているようですね。。。

2020.04.25 COVID-19 トラック・トレーシング・アプリについて米国・カナダ関連

2020.04.23 イタリア政府 COVID-19緊急時のコンタクト・トレース・アプリに関する情報

2020.04.23 欧州データ保護委員会 COVID-19に関する研究目的の健康データ処理についてのガイドライン

2020.04.21 「各国政府のコンタクト・トレーシング・アプリについて知っておくべきこと」という記事

2020.04.20 コンタクト トレース アプリ>>「感染者との接触通知も打倒コロナへデータ活用は救世主か」

2020.04.17 COVID-19感染対策用のアプリケーションは位置情報を追跡する必要はない。。。

2020.04.17 EU - データ保護に関連したCOVID-19パンデミック対策を支援するアプリケーションのガイダンス

2020.04.17 ドイツ連邦政府 「COVID19の流行を抑制するための公衆衛生上の制限」についての決定 at 2020.04.15

2020.04.16 EU COVID-19の封じ込め対策を解除するためのロードマップ

 

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