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2020.05.19

セキュリティ専門家の「まずは使ってもらうというところを重視した設計思想を入れないと何も実現できない」という「NHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」」番組中のコメントの真意について

こんにちは、丸山満彦です。

2020.05.17にNHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘うが放送されたようです(番組は見ていませんが。。。)が、そこで「まずは使ってもらうというところを重視した設計思想を入れないと何も実現できない」というコメントが篠田カナさんの発言に続いてされていたそうです(複数の知り合いが連絡してくれました)が、その発言は私の発言です。前後関係がよくわからないのですが、私の発言の真意は、

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COVID-19による行動制限を緩和していくためには、感染源を特定と管理をし、新たな感染者の抑制を行うことが重要である。

コンタクト・トレーシングという仕組みを導入が、効率的な感染者の識別に有効である。

コンタクト・トレーシングの効果が一定でるためには、国民の7割が利用していることが必要と言われているが、それが事実であるならば、普及率を高める必要がある。

日本では、ソフトウェアの利用を法的に強制させるのは困難であるため、その利用は個人の自主的な判断に委ねなければならない。

シンガポールのような国家による統制が効いている国でもアプリの利用率は2割程度という報告がある。

ということを考えると、ソフトウェアの機能だけでなく、普及のための信頼、信用を高める活動、例えば説明を含むコミュニケーションが重要である。

こういう考え方を、そもそも事業構想の段階から入れておかないといけない。

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ということです。

コミュニケーションの問題にはプライバシーの問題「も」含まれてくるでしょう。「政府等(特に公安関連部門)がコンタクト・トレーシング・システムで収集した個人情報の目的外利用を本当にしないのか?」という疑問がわけば、多くの国民がコンタクト・トレーシング・システムを利用しなくなるのではないか。例えばシンガポールのように2割程度しか利用しないのであれば、効果が薄いとなり、ますます個人がこのシステムを利用するインセンティブがなくなってくる。

国家の信頼、信用に関わってくる問題だけに、プライバシー問題も含めてよりいっそう丁寧な対応が求められるが、信頼、信用を高める活動、例えばコミュニケーションプラン等も含めたシステムのリリースが重要であるが、そういうことはシステム開発途中ではなく、事業構想の段階からちゃんと入れておくべきだと述べたかったわけです。

篠田カナさんの発言を受けて私も話をしたので、篠田カナさんも同様の発言をしていたと思います。

ということで、コンタクト・トレーシングについては、このブログでも色々と紹介してきていますが、ソフトウェアの開発に係る技術的な問題よりも、普及につなげる課題の方がかなり大きいと思う反面、そもそも、この事業が何のためにされるのか?という議論がなかなかされていないのが気になります。。。

目的の議論が国民できっちりされ、合意が得られれば、システムは自然と決まっていき、プライバシーの扱いについての合意も容易になり、アプリの普及率も進むのではないかなぁ・・・と、思った次第です。。。

 

NHK

・「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」


新型コロナウイルスをめぐり、未知なる脅威と向き合いながら新たな生活を模索するステージに
入りつつある。番組はビッグデータを活用してウイルスに打ち勝つ新戦略を探す。
膨大な科学論文データをAIで解析、専門家の協力も得て有益な情報を導き出すプロジェクトが始動。
さらにスマホなどのデータを使って感染拡大を防ぐ最前線にも密着した。どのようにビッグデータを
いかし不安と闘っていくのか。山中伸弥さんと共に考えていく。

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