法務省 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
こんにちは、丸山満彦です。法務省が「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」を公表してました。。。
4月1日に国会に提出されてました。。。
法律案要綱
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第一 刑法の一部改正
七 不正指令電磁的記録作成等
1 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、イ又はロに掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百六十八条の二第一項関係)
イ 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
ロ イに掲げるもののほか、イの不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、1イに掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、1と同様とすること。(第百六十八条の二第二項関係)
3 2の未遂は、罰するものとすること。(第百六十八条の二第三項関係)
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などなど。。。
Comments
丸山 様
夏井です。
いつも思うのですが「不正な指令」という語にはあきれます。「指令」が不正では不能犯です。
こういう簡単なことを理解できずにこじつけの法解釈論でコンメンタールを書いたりしているから,日本の法学は進歩しないんですよ。
ある意味で震災の被害を増大させ,原発における防御を怠らせる結果を招いてしまった地震学者達と同じです。
本当は,アクセスと関係する罪の本質は,「権限の有無」です。
たぶん,頭が悪すぎて理解できないか,または,面子にこだわって自説をまげるわけにはいかないかのどちらかなんでしょうけど,どちらの場合でも原発事故における対応と同じ構造だと言えると思います。
良いブレーンがいなければ,よい政治などあり得ません。
Posted by: 夏井高人 | 2011.04.15 06:18
夏井先生、コメントありがとうございます。
確かに、「不正な指示」というのはおかしいですね。。。
権限で整理したらすっきりわかりやすい。
Posted by: 丸山満彦 | 2011.04.15 22:45
丸山 様
夏井です。
この点に関する日本の刑法学者の学説はほぼすべて間違いです。正しい理論は,私が随分昔に判例タイムズに掲載した論文と『ITビジネス法入門』(Tac出版)の中にしか書いてありません。
なお,私見は,各国の法制とも一致しています。とりわけ,日本の刑法の母法であるドイツ刑法では,この問題が非常に合理的に解決されるよう設計されています。
このような比較法上の解釈論については,プレミアムサービスとして発行したものの中に収録してあります。
Posted by: 夏井高人 | 2011.04.16 13:49