国民納税番号制度時代の個人情報保護法の所管は消費者庁でよいのか?
こんにちは、丸山満彦です。昨日は鈴木先生と、国の財政と福祉の問題から個人情報保護法に関する問題までいろいろと議論をしておりました。。。
この話題、昨日はあまり議論していませんが、そもそも「個人情報保護法の所管がなぜ消費者庁なのか?」というのが問題があります。
現在の個人情報保護法はそもそも基本法的な部分は、一般企業だけではなく、行政機関や独立行政法人についても対象となっているわけですよね。。。
そういう意味でいると、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の所管が総務省っていうのもあります。もちろん、今の個人情報保護法は、プライバシー保護法ではなく、個人情報の取扱法です(PIAとかも義務付けていませんしね)ので、それはそれでいいのかもしれませんが。。。
ただ、今後は国民納税番号制度などの導入も検討されているようですから、はたして現在の個人情報保護法の枠組みでいいのかどうかの検討は必要だと思います。
法律全般の専門家ではありませんが、気になるところです。
夏井先生の前のトピックスへのコメント
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行政規範というレイヤにおいては,個人情報保護や本人確認の問題は,あくまでも確率論(=測定値とその評価)という問題として純化して考えるべきでしょう。
これとは全く別に,「実存としての個人」という問題もあり,そこでは人格の侵害が主たる法律論となります。それは専ら民法の不法行為の解釈論の中で考察しながら,加害者が国などの権力主体である場合には人権侵害になるという帰納法的な考察を重ねた上で,もう一度演繹法的に法理論体系全体を構築しなおすという新たな道を探るというのが正しいアプローチです。
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というのは、今後参考にすべき考え方だろうと思います。。。
Comments
個人情報保護法の所管が消費者庁になってから、どうも記事の掲載が少なくなっているような気がします。専門家が少ないのでしょうか。
PIAについては消費者保護の観点からも重要ではないかと思います。確か、ISO(国際標準化機構)/COPOLCO(消費者政策委員会)でも課題として取り上げられていたような記憶があります。
この後のエントリでご紹介いただいたセミナープログラムの「第三者機関(日本版プライバシーコミッショナー)の検討-3条委員会型・オンブズマン型・会計検査院の活用」をしっかり聴講したいと思います。
Posted by: senryo | 2010.09.30 05:08
senryoさん、コメントありがとうございます。
PIAですが、中央経済社から「プライバシー影響評価PIAと個人情報保護」という本が出ていますが、第二章で新保先生が書いている部分が情報が簡潔にまとまっていてわかりやすいですね。。。
今日、書いたネームロンダリングの話ですが、これは昔から貸金業会では有名な話ですし(昔は主に暴力団関係者が使っていたようですが。。。)、どこかで物理的な個人の同一性を担保する必要があると同時に、そのような情報を取り扱える団体に対する国民の監視体制をきっちりとつくらないといけないという話でもあります。
それをどう立てつけるかという制度問題ですので、消費者庁の問題ではないような気がしています。もっとも、個人情報保護法は理念的なある意味形だけにしてしまって、国民総背番号の課題に特化した法律をつくればそれでなんとかなるとは思いますが、それでいいんですか?という問題ですよね。。。
堀部先生のシンポジウムの同日は越後湯沢の情報セキュリティワークショップがあるのですが、終わって、おにぎりを食べて、すぐに東京の会場に駆けつける予定です。。。
その場合にPIAは重要となってきますね。。。
Posted by: 丸山満彦 | 2010.09.30 09:42