SLA共通指標化でクラウドの選択を可能に(日経コミュニケーション)
こんにちは、丸山満彦です。4月号の日経コミュニケーションの記事が5月26日に公表されたもののようです。。。
昨年末にこのブログでも書いた のですが、測定指標・測定方法の標準化という点が国際会計基準の策定と同じ考えですよね。。。
で、監査もしますか???
クラウドサービスの仕組みと財務諸表の開示制度の類似性が理解できればよくわかると思います。
・1対Nの関係
・1のほうがNよりも専門性も高く、情報もたくさんもっている
こういう制度の類似性はあちこちにあるので、これからは幅広い分野に精通している人には有利かもですね。。。たとえば、生態系をよく理解している人はこれからのITの問題がよくわかるかもしれません。。。
■ITPro
・2010.05.26 [サービス]SLA共通指標化でクラウドの選択を可能に
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SLAの共通指標化はサービス選択時のメリットのほかに,「クラウドとクラウドを連携させる際にも不可欠」(NTT情報流通プラットフォーム研究所の後藤所長)である。例えばA社のクラウドに障害が生じて,B社のクラウドに緊急避難させるといった連携を考えた場合,「両者でSLAの考え方に違いがあると,そのままではシステムやアプリケーションを移行できなくなる可能性が高い」(同)。ちょうど,システム連携の際にセキュリティ・ポリシーの一致を考慮しなければならないことと同様に,クラウド間でSLAの基準も合わせておく必要があるという考え方である。
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■このブログ
・2009.12.29 委託関係(クラウドを含む)が生じる場合の社会的問題解決法について。。。
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追加ですが、こういう記事もあるようです。
■ITPro
[標準化]様々な団体で策定進むクラウド標準
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・・・パブリック・クラウドでは,事業者独自のファイル・システムや分散処理技術を駆使していることがある。基本的にこれらのクラウド・サービス上で使われるAPIは,他の事業者のクラウド・サービスとは互換性がない。
これらのクラウド・サービスは・・・企業の基幹業務などへの採用は進んでいないため,互換性の欠如はまだ企業ユーザーの間で問題視されていない。ただこの先も,独自仕様のままだと,将来的に問題につながる可能性がある。例えばあるクラウド事業者がサービスを停止した場合,他のクラウドに移行できず,事業の継続が困難になる恐れがある。
・・・
数多くのクラウド関連の標準化団体には,・・・,大手どころのクラウド事業者は参加していない。既に多くのユーザーを抱えるクラウド事業者にとってみれば,標準化を進めるメリットは少ない。自社で抱えるユーザーが他の事業者に流出しかねないからだ。
各団体では「現段階で過度の標準化はイノベーションを阻害する恐れがあり時期尚早」(坂井研究員)という声も多い。今は,クラウド自体がイノベーションを起こしている真っ最中。このため,技術を限定するような標準化ではなく,要素技術が多数あることを前提とした“ゆるやかな標準化”を求める傾向にあるという。
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Posted by: 丸山満彦 | 2010.05.27 09:24
丸山 様
夏井です。
熱帯雨林の植生とサバンナ地帯や砂漠地帯の植生とは根本的に異なっており,それぞれの環境に適応した生物にとっては生存のための互換性がないような状態になっているのと同じですね。
唯一,人類だけが柔軟に適応性を変化させることに成功してきたわけですが,クラウドは人類(ヒト)ではなく,特定の環境に適応するように最適化されて組み合わされた機械装置を物理層とするシステムなので,どんなにアプリケーションレベルで対応しようとしても,実際には適応上の柔軟性に乏しい生物と同じようなものだと考えれば理解しやすいと思います。
最も進化した植物であり,そして,活発に突然変異を繰り返し続けているラン科植物の栽培をしながらいろんなことを考えているんですが,「人類が,ラン科植物とは正反対に,非常に選択肢に乏しい方向へと向かおうとしてしまうのはなぜなのか」という疑問に逢着すると,とても悲しく感ずることがあります。
Posted by: 夏井高人 | 2010.05.27 23:22
夏井先生、コメントありがとうございます。
生態系というのは、その歴史、その複雑性においてももっとも参考になるシステムだと思っています。現在のICTシステムについては、生態系をベースにした研究がもっと進んでもよいように思っています。
夏井先生の研究は楽しみですね。。。
Posted by: 丸山満彦 | 2010.05.28 09:36
丸山 様
夏井です。
パブリッククラウドは,植物の中では竹に似ていると思っています。
竹や笹は,地上部が何万本にもなっていても,全部地下部でつながっていて1個の個体だということがあります。切断されても完全なクローンなので,寿命は全部同じです。要するに,全山を覆いつくす竹林が実は1個の植物またはそのクローンだけで構成されているということがあるわけです。
そして,竹は,寿命が来ると一斉に死にます。全山全ての竹が枯れ果てるということも起きます。それは,1個の同一個体だからです。
というようなことを連想できるようになるには,それなりに苦労しながら時間をかけて勉強しないと駄目ですね。私の場合,誰も予算をくれないので,研究資金捻出のために大変な思いをしていますが,それでも頑張っております。誰もやろうとしないし理解しようともしないタイプの研究です。だからこそ,やるだけの価値がある。
ちなみに,生態系は,人間社会の中にもあるので,人間そのもの及び人間社会の観察も大事なことですね。先人の業績としては,スタッズ・ターケルの『仕事』という本がとても素晴らしいと思っており,ときどき読み返しています。
高見の見物を決め込み,結果だけパクろうとする(悪い意味での)秀才タイプの人間は,これからの時代には生き残ることのできない「根無し草」のようなものとなっていくことでしょう。そう思って頑張っています。
Posted by: 夏井高人 | 2010.05.28 11:08