パブリッククラウドコンピューティングサービスは竹である (夏井説)
こんにちは、丸山満彦です。
人間世界の情報システムと生態系というのはどちらもシステムという共通の視点で見ることができます。システムについては、フォン・ベルタランフィ(Ludwig von Bertalanffy)が著した一般システム理論(General System Theory)[amazon]という著名な理論書(1968年)があります。それを読むといかにシステムというのが還元論的な思考になれた人間にとって扱いにくいものであるのかがわかります。
さて、クラウドコンピューティングサービスについて、システムという点での類似性から、竹との類似性を夏井先生が指摘しましたが、とかくわかりにくいパブリッククラウドサービスのリスクを直感的に理解する上では、竹との類似性というのは良いように思います。
【参考】このブログ
・2010.05.26 SLA共通指標化でクラウドの選択を可能に(日経コミュニケーション)
(夏井先生のコメント)
もちろん、竹の生態もまだよくわかっていない点がありますが。。。
金曜日に、いろいろな分野のセキュリティの専門家の方と1時間強、話をする機会がありました。技術的な視点から見た場合の、ホストコンピュータの保護というのは非常に重要な問題だということで意見は一致していますね。。。
つまり、ホストのコントロール権を奪われると、その上で動くすべてのシステムのコントロールが奪われる可能性がかなりある、ということです。
Comments
丸山 様
夏井です。
内部統制についてコメントしたことと同じですが,パブリッククラウドの経営陣が「悪」である場合,パブリッククラウドの奴隷として存在するしかないその利用者は,全部一方的に搾取されるだけの存在となってしまいます。
これを避けるためには,経営陣の身辺調査を徹底すればよいはずなのですが,その身辺調査をすべき国(警察など)が「悪」である場合,やはり問題の解決にはならないことになります。
そして,世界規模でのパブリッククラウドでは,そのどちらもが「悪」であることになる確率は非常に高いです。
一般に,このようなタイプの問題に関しては,「経営陣が悪ではない」ことを前提とする現在のマネジメントシステムの考え方は,全て無意味です。正常に機能しません。
したがって,「パブリッククラウドを利用しない」という選択が一番正しいということになりそうです。
こういうことを書くと,「何というひどい言いがかりだ」と憤る方がおられるようです。それは,自意識過剰なのではないでしょうか。その人のことを意識してコメントを書いているわけではありません。
そして,「自分自身も悪であるかもしれない」という可能性を肯定できない人は,ものごとを公平に客観視する能力を欠いており,決して人の上に立たせてはいけないタイプの人間だと理解しております。
Posted by: 夏井高人 | 2010.06.01 07:13