経済産業省 パブコメ 「営業秘密管理指針の再改訂(案)」
こんにちは、丸山満彦です。経済産業省が、「営業秘密管理指針の再改訂(案)」に対する意見を募集していますね。。。
再改訂の視点は次の3つだそうどす。
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(1)平成21年改正不正競争防止法における処罰対象行為の明確化
不正競争防止法の平成21年改正においては、正当な目的による行為を明文上処罰対象外としつつも、競争関係の有無にかかわらず、営業秘密を開示して不当な利益を得る目的や、単に保有者に損害を加える目的等により、持出禁止の資料を無断で持ち出したり、コピー禁止の資料を無断でコピーする等、営業秘密を領得した時点において刑事罰を科すこととしている。そこで、万が一にも従業者等に萎縮効果が生じ、改正法の趣旨に悖ることのないようにするため、営業秘密管理指針(改訂版)において、処罰対象となる行為類型等を具体的に明らかにすることとする。
(2)企業の実態を踏まえた合理性のある秘密管理方法の提示
現行の営業秘密管理指針においては、ややもすれば高度な管理水準を一律的に要求しているかのような印象を与えかねない等の指摘がなされていたことから、①不正競争防止法上の営業秘密としての法的保護を享受し得る管理水準と、②情報漏洩のリスクを最小化するための高度な管理水準とに分けて、それぞれ具体的な管理方法を提示するとともに、特に前者については、企業規模や組織形態、情報の性質等に応じた合理性のある秘密管理手法が実施されていれば足りるということを明確化する。
(3)中小企業等における管理体制の導入手順例や参照ツールの提示
現行の営業秘密管理指針においては、対象となる企業の規模等を区別することなく、一般的な管理水準を提示しているが、大企業と中小企業とでは、従業者数や、各従業者の業務分担による組織性、情報管理に係る可処分投下資金の額といった点で、営業秘密を取り巻く環境に大きな差異があり、合理性の認められる秘密管理方法も異なりうるものと考えられることから、①主に営業秘密を管理する体制を整備していない中小企業等を対象として、適切な管理体制を構築するための導入手順例を紹介するとともに、②チェックシートや各種契約書の作成例等の参照となるツールを提示することとする。
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Comments
丸山 様
夏井です。
指針として少し改善されたような感じがしますね。
なお,今回の改訂とは無関係のことですが,ひとくちに営業秘密と言っても,業態によって秘密としての存在形態や機能の仕方のようなものが異なりますので,それぞれの特性に応じた秘密性の保持が考えられなければなりませんね。その意味で,「金太郎飴」のようなやり方はまるで無意味です。
とは言っても,千差万別の営業秘密について,行政庁の指針で全部カバーすることは最初から完全に無理なので,結局,営業秘密の保有者自身がよく考えた上で,それぞれのやり方でがんばるということくらいしかないのではないかというような気もします。
私の場合,最も重要な営業秘密は,私の脳内にのみ記憶として収納し,絶対に符号化しないという方法をとっています。ただし,忘却したら,それでおしまいです。(笑)
Posted by: 夏井高人 | 2010.02.17 18:17
夏井先生、コメントありがとうございます。
広く秘密といえば、確かにいろいろな形態で存在しますね。。。ある会社では、ものを作るときの作業者の手の動かしかたが秘密だとか言っておられました。(実際はわかったところで真似は難しいとのことですが。。。)
そういう意味では、脳だけでなく、体全体で符号化しないで保存するというのがいいのかもしれませんね。。。
夏井先生の場合は、記憶されている知識だけでなく、思考回路も秘密にしておいたほうがよいかもしれません。
Posted by: 丸山満彦 | 2010.02.19 20:23