JUAS 企業IT動向調査2009 IT予算大幅削減です。。。
こんにちは、丸山満彦です。IT予算が大幅に削減されているようですね。。。それはともかく、非常に参考になりますね。。。
IT 部門がIT投資で解決したい中期的な課題では、「経営トップによる迅速な業績把握・情報把握(リアルタイム経営)」が1位となっているようですね。。。また、BCPは金融機関以外ではまだまだ策定されていないようですし、
■JUAS
企業IT動向調査2009
http://www.juas.or.jp/project/survey/it09/
■JUAS
・2009.04.08 企業IT動向調査2009
・プレスリリース
・関連図表
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トピックス
<①IT 予算の動向(本調査2008 年11 月)>IT 予算の伸びは2007 年度がピーク、2009 年度のIT 予算は前年割れが必至。
・2009 年度は大企業でIT 予算削減が鮮明に、IT 予算を「減少」させる大企業は4 割。
・2009 年度は売上高が大きくなるほど影響が深刻、売上高「1 兆円以上」のDI 値はなんと▲19 へ。
・2009 年度は「金融」「サービス」が大きく落ち込み、輸出関連企業の多い「製造業」はDI 値がマイナスへ。
・2009 年度の新規投資は予算ベースでマイナスへ(伸び率:▲3.9%)。
・2009 年度の新規投資は大ブレーキ。大企業ほど新規投資を大幅にカット、売上高「1 兆円以上」のDI 値は▲21。(グローバルにビジネス展開している超大企業ほど、早くブレーキを踏んだ。)
・ここ5 年間のIT 予算総額の傾向は「増加傾向」が約半数、「減少傾向」が1/4。
・企業規模が大きくなるほど「増加傾向」が増加。「増加傾向」が多い業種は「金融」が6 割と突出。
・IT 投資を増加した企業の方が「増収増益」が増えて「減収減益」が減る傾向がある。
<②IT 予算の動向(追加調査2009 年3 月)>
・追加調査(2009 年03 月)では2009 年度のIT 予算DI 値が初の大幅マイナス(▲35)へ。
・1社当たりの平均IT 予算額を試算してみると、IT 予算額は約10%の減少する見込み。
・全体では「10%以上減少」が29 ポイント増加して47%、「30%以上減少」が16 ポイント増加して22%となった。
・2009 年度のIT予算は大企業の落ち込みが急で、売上高が大きくなるほど影響が深刻。
<③IT 投資・評価の動向>
・IT 部門がIT投資で解決したい中期的な経営課題は「業務プロセスの改革」と「経営トップによる迅速な業績把握・情報把握」。急浮上した「経営の透明性確保」も金融商品取引法の2008 年度からの施行で峠を越えた。
・経営企画部門がIT 投資で実現したい中期的な経営課題は「経営トップによる迅速な業績把握・情報把握(リアルタイム経営)」が第1 位。
・中期的な重点投資分野は上位3 位までの回答で見ると「IT 基盤整備」「内部統制」「セキュリティ」が重視されていたことが浮き彫りになった。
・IT 投資評価を実施している企業が大幅に増加(事前評価実施企業は75%、事後評価実施企業は70%)。
<④システム開発の品質向上に向けて>
・500 人月以上の大規模プロジェクトでは、相変わらず過半数で工期遅れが発生、予算も半数が予定を超過。
・品質への不満が年々増加し、品質に不満を持つ企業が1/3 を超えた。
・500 人月以上の大規模プロジェクトにおいて、IT 投資評価を実施している企業は、実施していない企業よりも「品質の満足度」が事前評価実施で19 ポイント、事後評価実施で28 ポイント高い。
・品質目標を「提示していない」企業が半数を切ったが、品質目標の大半はテスト条件の提示で、目標障害件数を定量的に提示するユーザー企業はまだまだ少ない。
100 人月以上の大規模・中規模プロジェクトにおいて、「納品テストから安定稼働までの目標障害件数の提示」により品質の満足度が10~20 ポイント向上する。
・発注者としての対応ができている企業ほど、プロジェクトの工期は予定通りに完了する。プロジェクトの予算も予定通りに完了し、品質でも満足した品質を得ている。
・<JUAS からの提言>ソフトウェアの開発・保守・運用にかかわる代表的な指標。
<⑤情報システムの障害防止>
・ユーザー部門(経営企画部門)の83%が、自社の「情報システム障害への対策」について不安を抱いている。
・「役員に報告するシステム障害」が「0 回」の企業が年々増加して48%になった。特に大企業はこの1 年間で29%から42%へと13 ポイントも大きく改善した。
・「事業中断に至るシステム障害」は企業規模に関係なく30%の企業で発生。
・複数拠点にバックアップを持つ企業は事業中断に至るシステム障害を大きく減らしている。
・「役員に報告するシステム障害」は年間の保守運用費1 億円当たり0.14 件、「事業中断に至るシステム障害」は年間の保守運用費1 億円当たり0.06 件 発生。
・「役員に報告するシステム障害」の主な原因は07 年度と変わらず「ネットワークの障害」と「ハードウェアの故障」。「事業中断に至った障害」の主な原因もほぼ同じ。
・原因を4つのグループに分けると主な原因の1 位は「不慮の事故」が圧倒的で2/3、「ソフトウェアの不具合」が2 割、「設定・操作ミス(うっかりミス)」が1 割、「性能・容量不足」は数%である。
・日本では、99.9%以上(年間の合計停止期間8 時間以内)の稼働率を目標としている企業が過半数。
・日本の大企業の障害による基幹システム停止時間は月間1.3 時間(稼働率99.8%)で、北米の大企業と比べると信頼性が格段に高い。
<⑥ベンダーとの契約の実態把握>
・ベンダーと締結する契約書の内容はまだまだ不十分。大企業でも揉め事防止に効果がある「変更管理手続」を定めている企業はわずか1/3、「契約書の内容はベンダー任せでよくわからない」企業が1 割も存在する。
・契約締結後、取引において揉め事が発生する企業が2 割もある。
・経済産業省「情報システム・モデル取引・契約書<第一版><追補版>」を「活用・検討中」の企業はわずか1割(大企業:15%)。先ずはモデル取引・契約書の普及が喫緊の課題である。
・基幹系システムのベンダーとの契約方式の現状は開発では「人月工数型」と「完全請負型」、保守・運用では「月額固定型」が主流。契約方法の今後は「人月工数単価からの脱却」を希望する企業が多い。
・将来的には「パフォーマンスベース契約(PBC)」へシフトすることで「労働集約型産業」から「知識集約型産業」への脱却が期待されている。
<⑦BCP の策定状況>
・BCP の策定状況は「金融」の積極的な取り組みが突出し「素材製造」が続く、遅れているのは「商社・流通」。
・最近話題の新型インフルエンザ(パンデミック)のBCP を策定・検討中の企業は、業種では「金融」が7 割と突出し、大企業では半数を超える。
・BCP の主管部門について、「疾病」のみが総務部門で、他はIT 部門とする割合が一番多い。
・BCP を策定した企業の訓練と演習の実施割合は多くて5 割。BCP の実効性を担保するにはまだまだの状態。
<⑧テクノロジー・IT サービスへの関心・導入状況)>
・テクノロジー・IT サービスへの関心・導入状況は、経済危機を見据え、さらなる効率化に関心が高まる。
・2008 年度は「サーバー仮想化」「SaaS/ASP」「NGN」「BI」への関心が高い。
・大企業では7 割の企業が「サーバー仮想化」を導入・検討中。2007 年度から大幅に増加したのが「BI」「SaaS/ASP」「SOA」。
<⑨企業におけるIT 利用の動向>
・「SaaS/ASP」は中堅中小企業の情報系業務システム(「社外向け広報(Web 等)」や「メール」)で利用が進む。
・基幹系業務システムでは「SaaS/ASP」はまだまだ試行的導入段階。J-SaaS で普及に弾みがつくのでは。
<⑩クライアントマシンの動向>
・企業のクライアントOS は「Windows XP」 が主流、「Windows Vista」は未導入企業がまだ6 割。
・信頼性・安定性の評価では「Windows Vista」の不満が増加して5 割に。
・「Windows Vista」を導入せずに次期OS(Windows7)を待つ「Vista 飛ばし」の方針を選択する可能性が高い企業が6 割。
・「シンクライアント」は導入企業が1 割に(07 年度の3 倍)。
重点テーマ1 IT を活用したビジネスイノベーション ~IT 経営の視点から~
<①IT を活用したビジネスイノベーション>・大企業ではビジネスモデルの変革主体は経営企画部門でビジネスプロセスの変革主体は業務部門が主流。
・IT 部門が経営層から期待されている領域は「ビジネスプロセスの変革」でその期待に応えている企業は8 割。
・「ビジネスプロセスの変革」で経営層の期待に応えるには「効果的なテーマの選定」と「業務部門のIT 理解とリーダーシップの発揮」が必要。
・「ビジネスイノベーション」の達成度合いは、同業他社との比較で「進んでいる」が1 割、「遅れている」が3 割。
<②CIO とIT 経営>
・大企業の8 割が「CIO」または「IT 担当役員」を設置している。但し、「CIO」を明確に役職として定義している企業はまだ14%。
・CIO(またはIT 担当役員)の半数が、IT 関連業務の経験がない。過去の業務経験は「経理・財務」「経営企画」「IT」の順で「IT」は第3 位。
・CIO(またはIT 担当役員)がIT 関連業務に投入する時間割合は、大企業においても「専任&5 割以上」はわずか1/4。逆に「1 割以下」が4 割。
・CIO(またはIT 担当役員)は「IT 人材の育成」と「アーキテクチャ構築」に苦慮している。
・CIO またはIT 担当役員の設置率と経営トップの「IT 経営度(IT 経営憲章の原則)」には明らかに正の相関関係が見られる。
・米国系企業ではCEO を補佐する経営レベルでのIT 専門職能としてCIO( Chief Information Officer)を位置づけ、登用にあたっても必然的にIT 関連業務の経験値を重視する。
・日本のCIOは様々な改革の推進者であるCIO(Chief Innovation Officer)であることを期待されている。
重点テーマ2 IT 推進組織とIT 人材戦略の適正化
<① IT 推進組織>
・IT 部門の役割は「全社システムの企画」「IT 予算の管理」「IT 戦略の策定」に特化しつつある。
・一方で、「システム開発・運用」「ネットワーク管理」は情報子会社が担う割合が減少し、アウトソーサーが担う割合が大幅に増加している。
・現在のIT 組織体制では「開発ノウハウの空洞化」や「縦割り組織の弊害」で開発が遅れる現実が浮き彫りに。
・IT 組織体制の改善のための施策は「経営との連携強化」と「IT部門の要員の増強と人材の育成」。
・IT 部門のミッションとして、「企業改革のエンジンとして、企業のイノベーションに貢献する」役割が大きくなる。
<② IT 人材戦略>
・大企業では情報子会社とIT 部門への増員意欲が年々高まる。
・今後、大企業では「入社以来IT 部門(IT 部門一筋)」を減らし、「業務部門」と「情報子会社・ベンダー」の経験者を増やす意向。
・「要員数も能力も足りている」企業はわずか6%に(2007 年度は9%)、大企業では「要員不足」は改善傾向だが深刻なのは「能力不足」。
・IT 部門の要員は 「業務改善の提案」、「IT 戦略策定・IT 企画」、「IT 投資案件のマネジメント」を大いに期待されているが、現実は、これらの能力が不足している。
・IT 要員の調達は即戦力となる「中途採用による対応」と「外部コンサル・アウトソースの活用」。
・IT 要員の人材育成施策は「外部研修」「社内研修」が中心。「業務部門とのローテーション」「関係企業への出向」は実施に苦慮している。
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■Enterprise Watch
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