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2009.02.22

問題 こんな場合は全社的な内部統制の不備になりますか?

 こんにちは、丸山満彦です。会計士協会から82号の改定の公開草案等も公開されておりますが、内部統制報告制度はやはり難しくて悩むところが多いように思います。
 ある人から次のような質問を受けました(論点は整理しましたが。。。)、どうでしょうか?
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 社長が、「今期は業績が予想を下回ることは確実だが、何としても当初の予想利益の30%減にとどめるように」と財務部長に厳命したそうです。
 このような場合、
(1)統制環境に不備があるといえるでしょうか?ならないとすれば、どのような場合でしょうか?
(2)また、そうであれば重要な欠陥となるのでしょうか?ならないとすれば、どのような場合でしょうか?
(3)また、統制環境(全社的な内部統制)に不備があるとした場合、業務プロセスに係る内部統制の評価の見直しが必要となるのでしょうか?ならないとすればどのような場合でしょうか?
(4)また、必要であれば、上記の社長発言が期末日付近の場合はどのように業務プロセスに係る内部統制の評価手続に反映すればよいのでしょうか?
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 あくまで想定の話ということで。。。


 
 現実(例えば、重要性の金額とか・・・)が分からないので、感触でしか言えないのですが、、、

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(1)統制環境に不備があるといえるでしょうか?ならないとすれば、どのような場合でしょうか?
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 もし、会計基準を少々曲げてでも利益を確保しろということであれば、経営者の倫理感に問題があり、内部統制に不備があるということになるのでしょうね。ならないということは想定しにくいように思いますがどうでしょうか?

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(2)また、そうであれば重要な欠陥となるのでしょうか?ならないとすれば、どのような場合でしょうか?
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 経営者の倫理観は、財務諸表全体レベルに大きな影響を与え、かつ重要性の金額を上回るような影響があることが想定できるのであれば、重要な欠陥と判断されるのでしょうね。重要な欠陥とならない場合は想定しにくいのですがいかがでしょうか?

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(3)また、統制環境(全社的な内部統制)に不備があるとした場合、業務プロセスに係る内部統制の評価の見直しが必要となるのでしょうか?ならないとすればどのような場合でしょうか?
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 統制環境は全社的な内部統制となるので、業務プロセスに係る内部統制の評価の見直しや決算・財務報告プロセスに係る内部統制に影響が及ぶのでしょうが、とくに決算・財務報告プロセスに係る内部統制、減損等の経営者の判断の入る余地が大きな部分での恣意的な統制活動の整備の不備、運用の不備が想定されますが、そもそも判断自体が恣意的になるということになるのでしょうから、統制活動の不備でもないようにも感じますね。。。

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(4)また、必要であれば、上記の社長発言が期末日付近の場合はどのように業務プロセスに係る内部統制の評価手続に反映すればよいのでしょうか?
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 もはや、業務プロセスに係る内部統制の評価手続には反映できないようにも思いますので、どうしたもんでしょうね。。。

 いやはや、基準どおりに進めようとすると難しい問題がありますね。。。現場では適切な解釈を加えて運用するのでしょうが。。。

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Comments

と申しますか、もしも会計原則などを不当に曲げられることのないように監査するのが
公認会計士の職務だと思うのですが。

社長の命令により不正が発生することがあったとしても、内部監査人は本源的には(監査役との関係はさておき)
社長の(多くの場合)直属の部下である以上そのことを関知したとしてもどうしようもないでしょうね。
外部への内部告発をするかどうかですが、これはもう内部統制報告制度の枠のなかでの問題ではありますまい。

つまり、この質問そのもの自体が誤っているということです。

いったいどうして経営者自らが(或いはその代行者としての内部監査人)が
「経営者=自分の倫理観」が「重要な欠陥」だなどと表明するでしょうか(笑)。

あり得ることとしては、重要な欠陥というか不備はないと報告したことに対して、公認会計士が同意しないということが
起こるかどうかでしょう。同意しない、表明できないということを盾にして監査法人側が監査役の支持を得つつ
社長と対決できるかどうか。


ちょっと話が違うかもしれませんが、監査法人側の厳しい意見表明によって或る企業が倒産してしまった場合、
それがはっきり数字(上の不正)に基づくのではなく、抽象的な内部統制上に対する指摘ゆえだった場合、
監査法人側が企業側や株主から訴えられるということはないでしょうか?
少なくとも憎悪は買うでしょうねえ(笑)。


つまり、このケースは実際に数字が歪められて初めて問題になるのでしょうね。
部下に圧力を加えただけで問題となるのなら、この世界の企業は存在しえません…

Posted by: 機野 | 2009.02.22 23:51

この会社に社内規程など何らかの内部統制が存在し、それが機能することで社長の暴走を止められれば、全体としては内部統制は有効と評価できるのではないでしょうか。cf.「全社的な内部統制に不備がある場合でも、業務プロセスに係る内部統制が単独で有効に機能することもあり得る」(実施基準)
仮に、社長に命じられるまま、社内規程等を無視して粉飾が実行されてしまったのであれば、「経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある」(実施基準)に該当、すなわち「内部統制の限界」ということになるかと思いますが如何でしょうか。
なお、社長の発言が期末日以降に行われた場合、(あくまでも評価の基準日は期末日であるため)仮に当該発言が内部統制の不備であったとしても、期末日時点の評価には影響ない(また、翌期末日までに是正すればOK)と思います。実施基準を淡々と適用すればそうなるはずです。

Posted by: 漉餡大福 | 2009.02.23 18:42

機野さん、コメントありがとうございます。

> 会計原則などを不当に曲げられることのないように監査するのが公認会計士の職務だと思うのですが。

それはその通りで、財務諸表監査ではその点に力を入れて監査しますよね。。。

> 重要な欠陥というか不備はないと報告したことに対して、公認会計士が同意しないということが起こるかどうかでしょう。

あると思いますよ。。。企業会計審議会で内部統制の基準を決めましたが、それが一般に公正妥当と認められた内部統制の基準となるまで熟成しているか、、、ということですかね。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2009.02.25 01:29

漉餡大福さん、コメントありがとうございます。
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社長の発言が期末日以降に行われた場合、(あくまでも評価の基準日は期末日であるため)仮に当該発言が内部統制の不備であったとしても、期末日時点の評価には影響ない(また、翌期末日までに是正すればOK)と思います。実施基準を淡々と適用すればそうなるはずです。
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これは非常に興味深い話ですね。。。社長は発言内容だけでなく、時期にも留意しなければならないということですね。。。

なるほどなるほど。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2009.02.25 01:32

>仮に当該発言が内部統制の不備であったとしても、期末日時点の評価には影響ない

決算財務報告プロセス(期末決算プロセス)は、期末日以降の評価作業となることも想定されてますので、期末日時点の評価に影響がないとは言い切れないと思います。

会社側が問題なしと考えても、監査法人はそう考えない可能性もありそうです。

ただ、不備の影響を考慮したところで、最終的に決算プロセスがしっかり機能していれば、重要な欠陥なしという結論になるでしょう。

監査人が会社の特定していないエラーを期末決算の監査で発見した場合、それが内部統制全体の評価にはね返るという見解もありかな、という気はします。

Posted by: FN | 2009.02.28 02:26

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