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2008.08.08

経営者からの売上目標達成のプレッシャーが強い環境下では、架空売上のリスクが高まるが内部にいる人に他社よりプレッシャーが高いことを認識できるのでしょうか?

 こんにちは、丸山満彦です。経営者からの売上目標達成のプレッシャーが強い環境下では、架空売上のリスクが高まりますよね。。。「監査提言集」でもこのようなパターンの不正事例がいくつかのっています。監査人であれば、いろいろな会社をみているので相対的に経営者からの売上目標達成のプレッシャーが高いかどうかを判断することができますが、そのような会社にずーっといる人はそのあたりの相場観が分かりませんよね。。。


 
 監査人から見れば、固有のリスクが高い状況にあると判断しますよね。。。なので、そうではない会社よりレベルの高い売上の実在性に関連する内部統制(主に統制活動やモニタリング)が必要となると監査人は判断しますよね。。。
 内部にいる人はそれをどれほど適切に識別できるのでしょうかね。。。

 実際上は、このあたりは実施基準をベースにしたチェックリストで適当にお茶を濁しながらするのでしょうかね。。。重要なところなんでしょうけどね。。。

 下は、日本公認会計士協会の監査提言集より・・・

Ⅰ-04

個人向け架空売上の計上

事案の内容

経営者からの売上目標達成のプレッシャーが強い環境下であったため、その対応として架空の個人向け売上を計上するとともに、商品は社内に保管していた。

実施した監査対応

個人に対する債権については、確認手続を省略してほしいという会社からの要望を受け入れ確認手続を省略した結果、その盲点を突かれ、集中的に個人顧客口座での架空売上を計上された。

改善すべき点

販売業務プロセスの統制リスクが高いと評価しているにも関わらず、強い監査証拠を入手しなかった結果、不適正な会計処理を発見できなかった。

監査リスクの評価と監査手続の選定及び監査証拠の強弱判断が整合するように監査計画を立案し、実行することが必要である。

提言

個人取引先には確認手続の実施が困難、という固定観念は持つべきではない。重要と判断された監査手続の実施になんらかなお制限が生じた場合は、監査リスクが増大するとの認識が必要である。

また、収益計上の適正性についての検証の瑕疵は、そこから発生した債権についての貸倒引当金の計上や損失計上によって治癒されるものではない。

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Comments

「経営者からの売上目標達成のプレッシャーが強い環境下では、架空売上のリスクが高まりますよね」との話は、内部統制のコンサルタントや公認会計士からも話題に出されます。
確かに、個人的には自社について「その様に感じる」ことはあります。ただ組織に所属している人間に、「その評価」は不可能であり、相対的な評価がどうしても必要になります。(要は同業他社比較)
そもそも「売上目標達成のプレッシャーが強い」のは、営利企業であるからには当たり前のこと。今の時代、普通の民間企業で無ければ財務状況が悪化している筈。無い様に見えるのは、「現実」「実態」を見ていないだけでは無いでしょうか?。
「・・・強い環境下」については、たとえ強力な独立的な評価組織を持った場合でも、識別は出来ても評価は不可能。同業他社の本音でも「現実的に経営者の評価ではこの部分の言及は不可能である」とのことで、この部分の評価は公認会計士が成すべき事と考えます。
もっとも、この部分に言及する場合、「お手盛り」があれば可能でしょうが…。

Posted by: 本音 | 2008.08.08 23:48

>そのあたりの相場観が分かりませんよね

相対評価となれば、複数企業を経験した内部監査人でない限り、どうしても限界があります。

ひとつの会社にしか所属したことない人間に、他社と比べてどうなのかと言われても答えられません。むしろ、そんなこと要求されても困ります。

他社比較が出来なくとも、架空売上の計上をしなければならないほどプレッシャーが強いのかどうかは判断可能だと思いますし、内部監査人はこのレベルで十分だと思います。

例えて言えば、外部監査人の方が精度の良い測定機器を持っているようなものですから、精度の悪い測定器しか持っていない内部監査人は不利になるのは仕方ありません。

内部監査は、究極的には経営者の自己評価なわけですから、少々精度の悪い測定器でも良いのでしょう。だからこそ外部監査も必要とされるわけですし。


Posted by: FN | 2008.08.09 01:24

本音さん、コメントありがとうございます。

本音さんの
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そもそも「売上目標達成のプレッシャーが強い」のは、営利企業であるからには当たり前のこと。今の時代、普通の民間企業で無ければ財務状況が悪化している筈。無い様に見えるのは、「現実」「実態」を見ていないだけでは無いでしょうか?。
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は確かに。。。監査法人だって、そうだったりして(笑)。
とはいうものの、程度感があるわけですよね。。。

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「・・・強い環境下」については、たとえ強力な独立的な評価組織を持った場合でも、識別は出来ても評価は不可能。
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 プレッシャーが高いこと自体が内部統制ではないのですが、それを要求している経営者の姿勢というのは統制環境になるでしょうね。であれば、評価の対象となりますよね。。。

 統制環境の評価ってやはり自己宣言のようなところもあって難しいですよね。で、監査人は他社と比較しながらあーだこーだと言ってくる可能性もあるし(財務諸表監査の一環としても行っているわけで、財務諸表監査の責任も問われるわけですからね。。。)

Posted by: 丸山満彦 | 2008.08.09 11:37

FNさん、コメントありがとうございます。

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内部監査は、究極的には経営者の自己評価なわけですから、少々精度の悪い測定器でも良いのでしょう。だからこそ外部監査も必要とされるわけですし。
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 統制環境の評価って、意見が経営者評価と監査人で異なった場合に、お互いを否定するほど自分の意見の確信度が高くないことも想定されるので難しいですよね。。。
 とはいうものの、経営者評価で甘めに言われても財務諸表監査でも内部統制を評価しなければならない監査人は、強めにでてくるかもしれませんね。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2008.08.09 11:55

統制環境の評価は自己宣言的なところにあるのは事実ですが、(誤解を恐れずに言うと)“自己宣言に追い込む”のが監査人の役回りと言えるのでは無いでしょうか?
これこそ「全社的な内部統制の存在価値」であり、たとえ極端に売上目標のプレッシャーの高い会社であっても、精度は少々欠けていても健全な内部監査部門等を持ち合わせていれば、その組織内には、むしろ会社を“追い込んで欲しい”と思う構成員も存在するものと思います。従い、いかに内部監査部門等から、その辺を汲み取れるかが監査人の腕の見せ所では無いでしょうか?財務諸表や帳簿、あるいは内部統制のチェックリストなど諸資料だけを見ても、この部分は現れてこない場合もあるかと思います。
ところで、健全な内部監査部門等を育成するのは、FNさんの言われる「精度の悪い測定器」を、監査人が全社的な内部統制の評価を通じて、少しずつ改良(強化?)をしていくことになるのだと思います。
年月は係るかも知れませんが、内部統制報告制度の維持には必要不可欠な要素だと思います。
初年度が済んだから、構築に要した人員を剥がしに係るなど、内部監査部門あるいは内部統制部門を(悪い意味で)衣替えする企業も多く現れるでしょうから、衣替えを防ぐのは唯一、監査人だけでしょう。衣替えの事後では無く、これは予めの対応が必要でしょうね。
一方で、最も恐れるのは、健全な内部監査部門等と監査人の間で、意見(見解)の不一致では無く、焦点が不一致になった場合で、これは困った事になります。
その場合は、監査人がよほどの確信度が高くなければ、最後まで主張するのは困難かと思いますので、監査人が内部監査部門等に対する「感度」も重要かと思います。
くれぐれも、日本の各私企業に於いて、育ちつつある内部監査部門等の実情も考慮に入れて頂ければと思います

Posted by: 本音 | 2008.08.09 19:54

本音さん、コメントありがとうございます。。。

 内部統制報告制度には、内部監査部門は重要な役割を果たすことになると思います。基準等にもその役割が書かれているのでしょう。。。
 今まで、日本では不当に?低い評価しかされていませんでしたから、これからはもっと光があてられてくるでしょうね。。。
 経営者にやる気があるかどうかは、資源(ヒト、カネ等)をどれほど配分するからですからね。。。
 経営者がやる気をだして、日本でも内部監査部門がもっと活躍できるようになればいいですよね。。。

 

Posted by: 丸山満彦 | 2008.08.09 22:22

>財務諸表監査でも内部統制を評価しなければならない監査人は、強めにでてくるかもしれませんね

実際に本番年度となってみたら、思った以上に前者統制に力を入れているな、という印象を受けました。

>「精度の悪い測定器」を、監査人が全社的な内部統制の評価を通じて、少しずつ改良(強化?)をしていくことになるのだと思います

統制環境の強化にあたっては、こういう側面も必要ですね。内部監査部門は、いわゆる業務レベルの統制活動については指摘を出しやすいのですが、統制環境はどうしても難しい部分は出てきますので。外部監査人の後押しも現実には必要でしょう。

>初年度が済んだから、構築に要した人員を剥がしに係る

多くの企業はそう思っているのでしょうね。ただ、評価作業の大変さを実感したら、そう簡単に減らせないことに気付くでしょう。

>経営者にやる気があるかどうか

やる気のない企業の方が、たくさんありそうですね。内部監査部門ほど、経営者のやる気が大事であることを実感できてしまうので、かえってある種の空しさを感じてしまうところでもあります。

ショック療法として、外部監査人が重要な欠陥を出しまくるというのも手ですかね。もっとも、そうなると重要な欠陥のインフレとなって、重要な欠陥の価値が下がってしまいそうですが。

Posted by: FN | 2008.08.09 23:41

FNさん、コメントありがとうございます。

「監査提言集」の例でもそうですが、財務諸表監査をする際には、監査リスクの評価の一環として、固有のリスクや内部統制のリスクを実施しますよね。それって、全社統制と関連するので、やはり本番が始まると、全社統制について当初より厳しい目に評価されていると感じることになるように思いますね。。。

そもそも、投資家から資金を調達して会社を運営しているという意識が希薄な経営者も覆いのではと思っています。そういう経営者であれば、開示制度が資本市場のため、投資家のためという認識が不十分なので、財務諸表の適正性の確保が重要とか、内部統制報告制度が重要という認識が不十分でコスト意識ばかりもつようになるのでしょうね。。。

経営者に対する教育というのも重要かもしれませんね。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2008.08.10 14:04

>全社統制について当初より厳しい目に評価されていると感じることになる

内部統制監査が始まって、実際に監査法人の方もきっちり見ていますよね。もともと、より深度のある財務諸表監査のための内部統制監査という考え方なわけですから、全社統制をしっかり見るのは当然のことなのでしょう。ちょっとこの辺は、自分としても考えが甘かったなと思っております。

>コスト意識ばかりもつようになる

少ないコストで適正な財務報告を、という建設的な形でコスト意識を持つのは良いことだと思います。経理や内部監査も、立派な「現場」なので、もうちょっと注目されても良いだろうという気がします。

>経営者に対する教育というのも重要かもしれませんね

一回、落とし穴に落ちてみないと分からない方も多いのでしょう。でも、落とし穴に落ちて這い上がれなかったら洒落になりませんが。

愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶという格言がありましたね。

Posted by: FN | 2008.08.12 00:45

少々くどくなりますが・・・
FNさんの経理や内部監査も、立派な「現場」と言う弁には大賛成です。
しかし現実的には、経営者に、これを「現場」と認識させるのは、どこの業界・会社でも非常に難しい事だと思います
やはり公認会計士の方々に監査を通じて、方向を導いてもらう必要があると思います。
それに、未だに管理部門はコストセンターと言う意識は、日本の一般的な企業には根強い様な気がします。
それには極論かもしれませんが、やはり厳格な監査に加えて、リスクマネジメントの実施、BCPの実施あるいは情報セキュリティの強化と言った「大きな潮流」を強めていく事だと思います。
その流れに揉まれることで、経営者に対して、企業を防衛する意識を植え付けて行くことができ、ひいてはそれらの現場の必要性を増すことが出来るだと思います。
少し位の刺激では、(特に社内的な要因では)日本企業の体質や考え方と言うのは、なかなか変化しないものですから・・・。

Posted by: 本音 | 2008.08.16 23:17

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