質問:そもそも持分法適用会社の内部統制って、親会社ではないけど大株主である企業から見た場合の内部統制ですか?
こんにちは、丸山満彦です。仕事が忙しいので、Q&Aもろくに読めていません。。。でもQ21【関連会社における評価】というのを読むにつけ、持分法適用会社を内部統制の評価に加えたというのは論理矛盾を引き起こしていないかなぁ・・・と思うわけです。。。
支配権がなくコントロールができないから持分会社にしているわけですから、そもそも内部ではないですよね。。。
と思いませんか?
であれば、内部統制ではないですよね。。。
であれば、評価範囲にするのはおかしくないですか???
山口先生?っとおもむろに振ってみる。。。
Comments
振られて登場しました(笑)
ごぶさたしております。
今回のQ&A(追加版)を概観しまして、評価範囲の決定が重要であることが改めて強調されている印象を受けました。
私のブログの「関連論点表」からしますと、21番は会計制度の理解と、関連諸制度との整合的理解が必要な質問である、と認識しています。
支配権がなくコントロールできない・・・というところで意見が分かれるのでしょうね。関連会社であっても、子会社同様に実質的支配が可能なものは多いでしょうし、まさに経営者自身が、その持分法適用会社との関係をどうみるか?という点も内部統制監査人と一緒に検討してください・・・ということではないかと。むしろ、他の支配株主がいる、という事情から「内部統制の評価なんてできない」のであれば、それこそ経営者関与による虚偽表示リスクは少ないことでしょうし、その報告で十分ではないかと思います。
Posted by: toshi | 2008.06.27 13:00
Toshiさん、コメントありがとうございます。
お久しぶりです。。。
「関連会社であっても、子会社同様に実質的支配が可能なものは多い」というのはちょっと。。。と思いますよ。。。
株主割合を考慮して、実質的支配権があるかどうかで子会社になるか、持分法適用会社になるかどうかですから、実質的に支配権があればそれは子会社ですよね。。。
①実質的支配権がある=>企業グループの一員と考える=>子会社
②実質的支配権がない=>企業グループの一員ではない=>関連会社
③企業グループの一員である=>内部
④企業グループの一員ではない=>内部ではない
と考えると
持分法適用会社である関連会社は内部にならず、そもそも企業グループからみると内部統制ではないことになりませんか?(もちろん、その関連会社自体に内部統制はあるでしょうが。。。)
「用語としての内部統制」と、「その企業グループとしての内部統制」がごっちゃになって混乱しているように思いますが、、、
山口先生いかがでしょうか???
Posted by: 丸山満彦 | 2008.06.27 14:06
横レスで失礼いたします。
持分法適用会社も連結対象会社である以上は、企業内部という捉え方は可能だと思います。
それはそれとして、どうもイメージが湧かないのは、持分法適用会社における重要性の大きい業務です。支配権のない会社における重要性の大きい業務プロセスというのであれば、本質的には重要な業務を外部委託していることと変わらないように思えます。
そう捉えるのならば、持分法適用会社における重要な業務については、全社統制中心になどということは考えずに重要な業務の外部委託と同様に考えなさい、と言い切ってしまうのは問題があるのでしょうか?
そうすると、SAS 70や18号報告をどうする、という別の問題にはなりそうですが。
Posted by: FN | 2008.06.27 20:52
>関連会社であっても、子会社同様に実質的支配が可能なものは多い
何を根拠に、そのような主張をされるのでしょうか?統計データなり実例なりを挙げてご教示ください。
>「用語としての内部統制」と、「その企業グループとしての内部統制」がごっちゃになって混乱しているように思います
まったく同感です。支配権の及ぶ(=内部統制の対象となる)関連会社というのは論理矛盾であるだけでなく、実務上も無理があります。
少なくとも、米国SOX法では関連会社は評価対象外となっているのであり、J-SOXでは米国よりも企業の負担軽減に配慮した(ルーズSOX?)ことを金融庁が標榜している以上、関連会社を評価対象にしたことは政策としても失敗であったと思います。
Posted by: 漉餡大福 | 2008.06.27 23:50
FNさん、コメントありがとうございます。。。
> 持分法適用会社も連結対象会社である以上は、企業内部という捉え方は可能だと思います。
これはどうですかね。。。
(1)持分法適用会社は連結対象会社に含まれる。
(2)連結対象会社は企業グループの内部
だから
(3)持分適用会社は企業グループ内部
ということですよね。。。
(2)連結対象会社だから企業グループの内部
は原因と結果の方向が違うような気がします。。。
「支配権が及ばない関連会社は企業グループの内部ではない」というほうがすっきりしていませんかね。。。
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漉餡大福さん、コメントありがとうございます。
>関連会社であっても、子会社同様に実質的支配が可能なものは多い
というのは、ないんでしょうね。。。
>支配権の及ぶ(=内部統制の対象となる)関連会社というのは論理矛盾であるだけでなく、実務上も無理があります。
論理矛盾があれば、少なからず実務上も無理がでるでしょうね。。。なので、実務上の混乱を少なくするためにも論理的に誤っているものは直していくことが肝心なのだと思いますね。。。
Posted by: 丸山満彦 | 2008.06.28 07:24
今回の制度は、当初幅広に実施しようとした政策担当者の意図と、「そんなこと、やってられん!」と反旗を翻した企業側の圧力とが、政策当局の苦し紛れの妥協によって均衡に向かいつつある過程の段階で中途半端に実行されるというところに特色があります。
もともと経営権の及ばない関連会社まで範囲に含めたことが、「経営者」を主語とする内部統制という考え方と矛盾しているのをいくら糊塗してもしきれるものではありません。
むしろ政策当局が本当にやるべきであったのは、関連会社ではなく関連当事者等の開示の適正性(もともと含まれてはいますが)であり、そこを強調することがより立法趣旨に叶っていたのではないでしょうか。
Posted by: 閑人 | 2008.06.28 10:00
>(2)連結対象会社だから企業グループの内部
は原因と結果の方向が違うような気がします
仰る通りだと思います。ただ、形式的に実施基準を読んでいくと、持分法適用会社を評価範囲に加えることは、必ずしもおかしくないと解釈できるというだけのことです。持分損益が連結財務諸表に取り込まれるのだから、持分損益の取り込み作業(連結決算プロセス)だけでなく、その出所も確かめないといけませんよ、というのが実施基準の言わんとしていることでしょう。
そうはいっても、支配権がないので持分法適用会社となっているのですから、その点を考慮の上で評価のレベルを変えないといけないのに、実施基準の要求する評価レベルは厳しすぎると思います。
経営者の視点に立てば、「支配権が及ばない関連会社は企業グループの内部ではない」とする方がしっくりきます。実務上は、支配権をもっていたとしても、100%の支配権でない限りは、やりづらい部分が出てくることがあるのも事実です。
閑人様ご指摘の通り、「関連当事者等の開示の適正性」の強調にとどめておくのが混乱も少なかったと思います。
Posted by: FN | 2008.06.28 13:06
閑人さん、コメントありがとうございます。。。
> 関連当事者等の開示の適正性(もともと含まれてはいますが)であり、そこを強調することがより立法趣旨に叶っていたのではないでしょうか
FNさんも賛同されていますとおりで、かつ、私の周りの会計士も同じことを言っていますね。。。
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FNさん、コメントありがとうございます。
> 形式的に実施基準を読んでいくと、持分法適用会社を評価範囲に加えることは、必ずしもおかしくないと解釈できるというだけのことです。
そう読めますよね。。。でも、それって論理的に間違っていませんか?というのが、今回のトピックの趣旨です。
支配権が及ばないんだから提出会社の内部ではなく、内部統制にはならないだろうと・・・
そういうことです。
例えば、理論も実務も不十分な学者のアドバイスを聞いて間違った制度設計をしてしまったのであれば、速やかに訂正をしていかないと、金融庁という組織全体の信頼性を損ねることになりませんかね。。。と老婆心ながら思っているわけでございます。。。
Posted by: 丸山満彦 | 2008.06.28 20:12
>速やかに訂正をしていかないと、金融庁という組織全体の信頼性を損ねることになりませんかね。。。
国民の意見が反映されない(統制が機能していない)となると、民主主義の根幹を揺るがす「重要な欠陥」に該当しますね。
福田社長は速やかな是正措置を採らないと、選挙日現在の国民の意見は・・・。
Posted by: 閑人 | 2008.06.29 10:29
閑人さん、コメントありがとうございます。
> 民主主義の根幹を揺るがす「重要な欠陥」に該当しますね。
そのとおりですね。。。まさにそのとおり。。。
Posted by: 丸山満彦 | 2008.06.29 20:39