NHK 土曜ドラマ 監査法人
こんにちは、丸山満彦です。NHKの土曜ドラマ「監査法人」が始まりましたね。。。私は、予告どおり京都に蛍を見に行ったので見れませんでした。
まぁ、監査の実務をしたことのない学者と大手監査法人で監査実務をしたことのない人たちによる監修でもあり、まぁ、ドラマにするのも無理があるよなぁ・・・ということもあり、あまり気にしていなかったのですが、視聴者の評価によっては採用にも関係するし、入社後の期待ギャップにも影響するので、内容を理解しておくことは重要だなぁ・・・と思い出しました。。。
ということで、ブログなどでの評価をチェック・・・
ちなみに、ドラマをみたほかの会計士数名に話をきいたのですが(結構、みてました。。。)、全体としての意見は、「ドラマですからね。。。」ってことのようです。現金実査?やたな卸しのシーンは妙に描写が細かかったという話もありました。。。
■放送前
●日本公認会計士協会
・2008.05.13 NHKドラマ「監査法人」6月14日から放映
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・・・ ドラマでは、監査法人を舞台に、厳格な監査を行うことが社会的な正義に繋がると信じる公認会計士の一途な仕事ぶりや、その結果として多くの人々が不幸になっていく過程での心の葛藤等、様々な場面が繰り広げられます。・・・公認会計士を舞台としたドラマは、今までほとんどなかったものと思われますので、こうしたNHKという全国的な放送媒体での放映により、公認会計士の業務を一般に理解していただくよい機会であると思います。・・・
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● ■財務アナリストの雑感■ シーズン2
・2008.05.16 NHKドラマ「監査法人」に思う
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・・・「公認会計士の一途な仕事(厳格な監査)の結果として多くの人々が不幸になっていく・・・・・・」ってコレじゃぁまるで、公認会計士が何か悪の手先のような感じがしてなりません。
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どうせなら、山田慎哉、勝間和代といった今が旬の著名公認会計士を主人公に据えたほうが、話題性もあり、ビジネスマンの食いつきが格段に違ってきたんじゃないかなぁ、って思いますけど。
どこかの民放で裏番組作ってくれないですかね?
題名は「行列のできる会計事務所」とか・・・・でね。
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「行列のできる会計事務所」=>エー感じですね。。。
■放送後
●ビジネス法務の部屋
・2008.06.16 NHKドラマ「監査法人」への重大なる疑問
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「もし適正意見を出していただけないのであれば、これまで粉飾を先生方が見逃してくれたことを世間はどう思うでしょうかね?もちろん我々だけでなく、ジャパン監査法人さんも同罪ですよ。死ねと言われれば仕方ありませんが、そのかわり、おたくらも道連れに死んでもらいますよ」
と言われた場合、ジャパン監査法人としてはどう対応したらいいのでしょうか。売上の20%もの巨額の粉飾決算が発見された・・・というのは、その不正を暴く会計士の姿はかっこいいものでありますが、ひとつ裏を返せば、「じゃあ、そこまで巨額になった粉飾決算を見抜けなかったことは、監査法人も投資家に対する共同責任があるんじゃないの?」といった素朴な疑問にぶつかることとなります。そこのところの監査法人側の葛藤が、根本的に昨夜のドラマには欠落していたのではないかな・・・と、(外野からのツッコミはしませんと宣言しておきながら)どうも腑に落ちないところがございました。
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山口先生の疑問、なるほどなるほど・・・って感じです。監査人が粉飾を見つけた場合、昨年やその前はどうだったんだ・・・ということをすぐに調べますよ。。。そりゃ・・・。。。私の場合だと、まずは何が正しい数字なんだ・・・ということをはっきりさせたいと思いますよね。。。ひとつの不正を見つけたら同様の不正はないか・・・とか。。。責任とかいろいろとあるでしょうが、それは後からでしょうね。。。
・2008.06.15 2002年ころの監査法人って・・・(ドラマ「監査法人」)
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・・・地方の被監査会社に着いてすぐに社長とゴルフって・・・・・、ホントに6年前くらいはそんな感じだったんですかね?それに監査スタッフ(会計士補さん)がまったく同行していませんでしたけど、そんなことは普通ないですよね?それと、匿名の告発電話(告発ファックスもあったけど)だけで売上と売掛金に疑問を抱いて、監査計画も立てずにいきなり実査?(マジで?)やっぱりこのドラマをご覧になった一般の方々は、「期待ギャップ」(不正を暴く正義の味方)をますます増幅させてしまうのではないか・・・と少しヒヤヒヤしてしまいました。(そういえば、弁護士モノのドラマの法廷シーンなんかで、「こんなこと、絶対にありえへん」とツッコミを入れたくなるのを想い出しました。ドラマなんで、ウケるところも必要なんでしょうね)
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脚色ですよね。。。盛り上がらないから・・・。法廷シーンと同じことですよね。。。でも、それで多くの人がそれが真実だと思ってしまう。。。やばいですよ。。。このドラマ。。。
●isologue- by 磯崎哲也事務所
・2008.06.16 NHK土曜ドラマ「監査法人」のツッコミどころ
つっこみどころのポイントは次のとおりです・・・
・「承認」と「意見の表明」
・現場での監査が終わった瞬間に監査意見が出る
・小野寺会計士(豊原功補)はホントに「厳格監査」してるのか?
・会社への入ってきかたが「東京地検特捜部」みたい
・社長が出迎えるかな?
・従業員死亡の責任
・「財政監督庁」
で、
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総合的に、まあ「OK」では?
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ただし留意点です。。。
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いろいろ申し上げて参りましたが、私、松下奈緒さんのファンということもあり、基本的にこのドラマの満足度に関しては点数が甘めなのであります。(がはははは。)
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● ■財務アナリストの雑感■ シーズン2
・2008.06.14 NHKドラマ「監査法人」で9千円浮かせられるか、会計士は?
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・・・おかげでクライアントのサプライズマートはあっけなく倒産。
経営者を自殺に追い込んだ。これこそサプライズなツカミである。
監査法人とは何と冷酷な団体なのでしょうか。
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・・・・・・で、この感想文ですが、自主研究ということで公認会計士の継続教育研修(CPE)の単位として認めてくれませんかねぇ?
・・・1時間で1単位。全6話ですから6単位。
会計士協会主催の有料研修ですと、だいたい2時間弱で2単位、3,000円取られますから、この感想文が研修として認められれば3,000円/2単位×6単位=9,000円。
9千円が浮いて6単位も取れるとなれば、これは馬鹿になりません。
会計士協会もドラマ視聴を推奨していたことですし、是非ともCPE単位として認定して欲しいものです。
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なかなかいいアイデアですね。。。
●監査法人ではたらく会計士(補)のblog
・2008.06.15 監査法人
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・・・内容は、なかなか面白かったです。
細かなところで、現実的じゃない設定はいろいろとありましたが、監査でドラマを作るとしたら、多少はオーバーな演出が必要だったということでしょうね。このドラマに出てくる監査法人、そこで働いている人たちの描写を見てると、なんだか随分と格好良く見えてしまいました(主人公だけはちょっと怖かったですけど)。
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会計士の仕事で、さらに辛いところは、企業が行っている「不正会計」が、本当に不正なのかどうか、ということです。その辺まで、このドラマで踏み込んで行くとは思えませんけど、せっかくなので、個人的な考えを書きたいと思います。
会計のルールがあって、それに照らしてイエスなのかノーなのか、すぐに判別がつけばよいのでしょうが、会計士とクライアントがもめるケースで最も多いのは、「イエスともノーともいえない会計処理」です。これは、それぞれの事情に照らして一個一個詳細に、慎重に検討しないといけないのですが、ルールと言う後ろ盾が存在しない中での判断なので、クライアントを説得するのは難しい。時には、「保守的な判断ばかりを強要するのは会計士の責任逃れなのではないですか?」という批判を浴びることもあります。
どうしてもクライアントが納得しない場合には、「これでは監査意見を出せない」ということを後ろ盾にして、強引にねじ伏せることはできますが、それはそれで後味の悪い結果となり、現場の会計士も精神的に参ってしまいます。最近の会計士が抱えこみやすい悩み、というのはこの辺の話なのではないか、と思います。
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●『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』100万部?日記
・2008.06.15 ドラマ監査法人の感想の感想
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あと、いくつか補足をしておきます。
まず今回の舞台は「2002年」です。よって、いまの監査法人の常識とは異なる点が多々あります。
2000年以降は監査法人の常識が急激に変わった時期でもあるので「2002年」当時はまだ古い感覚も残っていたとお考えください。
「6年ひと昔」ですね、ほんと。
ですから、会計基準も「2002年」当時のものです。「工事完成基準」とかね。
そして、上場企業であっても、期末監査であっても「2人で監査現場に行くこと」
はよくあります。
特に、人に余裕がない時はね。上場企業といっても、売上1兆円の会社もあれば、
100億円未満の会社もあるので、人数もピンキリなのです。
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●Mind Games
・2008.06.16 NHKドラマ 監査法人
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・・・
物語のテーマはこの厳格監査の功罪を問うものだ。
無論、規程上では、監査は厳格であるべきだ。
しかし、監査法人は、企業の監査をすることで収入を得ている。
監査すべき企業が倒産してしまえば、本末転倒となる。
しかも、厳格監査が徹底すれば、
大半の企業はその監査法人に監査の依頼を行うことは無くなっていく。
拡大解釈すれば、
日本経済に大きな影響を及ぼすことにもなる。
この対企業監査における、監査法人のスタンスが
この物語のポイントの1点目。
弟2点目は、企業に関わる銀行の存在。
銀行としては、融資先企業の倒産は、原則良いコトではない。
官庁からの勧告・指示、顧客・株主からの信頼低下、
経営体力の消耗など種々の問題が発生するからである。
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ドラマはこの監査法人・企業・銀行の3者の関わりを軸に
経済活動における必要悪の存在、
必要悪を認めることの弊害、
銀行の冷酷さ、
企業の汚さ、
金を借りるものの弱さ、
企業経理のウラ側、
監査法人の存在意義、
などを伝えていくのだろうと思う。
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●転職者のキャリアアップブログ in 湘南
・2008.06.16 NHKドラマ監査法人見ました。
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・・・問題は、厳格監査の結果、会社がつぶれた場合、損害をこうむるのが経営者だけではなく、従業員であったり取引先であったりするのが難しいところだ。だから悩みながら進んでいく、ということは責任ある立場の人間としては重要なことだと思う。
悩み・畏れなくして正しいことが出来るのか、と感じることもある。
ただ、そもそも始めから厳格に監査して、不正の芽をあらかじめ摘んでいけばそんなに大きな問題にならなくてすむ。小さいことを見逃すから最後には引き返せなくなるのだ。そういった点では、厳格監査をするなら、細かなことも見逃さず、筋の通った意見を常に述べることが大切だ、などとドラマ見ながら感じました。
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Comments
監査ってイケメンが正義感を振りかざすような格好のいい仕事ではないですよね。
自分はなんでこんなことしているんだろうと思うことがあります。
でも監査現場に松下奈緒がいてくれれば嬉しいですね。現場に行くのが楽しくなりますね。
そういう期待で業界に入る人がいると困りますけど。
Posted by: 閑人 | 2008.06.21 14:52
閑人さん、コメントありがとうございます。
個人的には、
・たんたんと事実を積み上げ、
・たんたんとルールに従って処理をする
のがよいのだろうと思っています。
ドラマにしようとすると多少過剰な演出もないと見所がないことになってしまうので仕方がないのかなぁ・・・と思いますが。。。
現場にイケメンや松下奈緒さんのような美しい人がいるとやる気になるのはわかりますね。人間も動物ですから。。。
ただ、社会における機能としての会計士としては、本能的なことに動かされないようにすることが必要となりますね。。。
Posted by: 丸山満彦 | 2008.06.23 00:54