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2008.05.14

金融庁 三菱東京UFJ銀行のシステム障害に対する佐藤金融庁長官記者会見の要旨

 こんにちは、丸山満彦です。三菱東京UFJ銀行のシステム障害についての佐藤金融庁長官の記者会見の要旨が公開されておりますね。。。

 
【金融庁】
・2008.05.12 佐藤金融庁長官記者会見の概要

口頭ベースでの質問ですので、意味を変えずにわかりやすく再構成してみました。。。

問) ・・・金融庁はこれまで同行のシステム統合作業について、ターゲット検査を行うなど監視を強めてきたわけですけれども、
①稼動初日のシステム障害についてどのように受け止めていらっしゃるのかということ
②今後どのような対応を行っていくのかという点
これから統合作業が段階的に続いていくわけですけれども、
③統合作業について金融庁としてどう対応していくのかということ
をお聞きしたいと思います。

答) ・・・当局としても、今回の障害の原因等について確認をするなど、同行の取組みの状況を引き続き注視してまいりたいというふうに思っております。


問) ・・・(金融庁)はシステムに絞った検査をこれまでしてきています。・・・システムに絞った検査をしながら、やはり(障害が)起きてしまったことについて、長官はどのようにお考えでしょうか。

答) 金融庁としてもシステムにターゲットを当てた検査も行い、また、監督サイドでも準備の進捗状況等についてヒアリング等を行って、準備をしっかり行っていくということについて、できる限りのサポートをしてきたつもりでございますが、結果として初日にこういうトラブルが生じたということは、残念な結果であると思います。
とにかく膨大なシステムでございますので、
①速やかに原因の特定をし、
②問題点の洗出しの結果に対応したきちんとした再発防止、
③その教訓を踏まえた今後の取組み
ということに早急に進んでいっていただきたいというふうに思っています。
 一点付け加えますと、ご案内のとおり、コンピュータシステム障害についての報告徴求というのは、銀行法第24条に基づく包括的な報告命令というのを出してありまして、一般論でございますけれども、銀行法第24条に基づく報告の提出がなされることになるということが一般的でございます。


問) セブン銀行の方に報告徴求を求めるお考えはありますでしょうか。

答) そこは、まずはヒアリング等で事実関係についてよく確認をした上で、その必要性の有無について判断をしていくということになろうかと思います。今回のこのトラブルは、セブン銀行のATMにおいて、他の銀行のカード、他の銀行の取引等でトラブルが発生しているというふうには承知をしていないところであります。
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【グーグルニュース検索】
・「三菱東京UFJ銀行 障害

【ロイター】
・2008.05.13 三菱東京UFJ銀のシステム障害、原因追及が必要=渡辺担当相

・・・渡辺喜美金融担当相は13日午後の閣議後の記者会見で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T: 株価, ニュース, レポート)の三菱東京UFJ銀行で発生したシステム障害について「点検と試験を重ねてきたはずなのに残念だ」と述べた。
 そのうえで、金融庁がシステム検査を実施した上での障害発生であることについて「プログラムの不備と言われているが、どういう原因でこうした不備が起きたのか、きちんと追及していく必要がある」との考えを示した。・・・

【J-CAST】
・2008.05.13 大システム統合の困難さ 三菱東京も初日に障害発生

・・・同行では、100万回以上もテストを繰り返し、システムの開発状況を説明するための異例の記者会見を開くなど、万全の体制で臨んできたが、それでも障害を防ぐことはできなかった。大規模システムの統合の困難さが、改めて浮き彫りになった形だ・・・
・・・渡辺喜美金融担当相は5月13日の記者会見で
「点検と試験を重ねてきたはずなのに残念。今回の不具合を踏まえて、二度と起きないようにして欲しい」
と注文を付けてもいる。・・・
 今回のシステム統合作業は、2つの段階を踏んで進められている。「Day1」と呼ばれる第1弾では、旧2行の「勘定系」と呼ばれる基幹システムを「接続」し(05年2月~06年1月)、第2弾の「Day2」で基幹システムを「統合」する(06年1月~08年12月)という段取りだ。今回のトラブルは「Day2」の作業中に発生したということになる。
Day2の完了は08年末を見込んでいるが、当初は07年12月だったものを1年間延期した、という経緯がある。Day1の最終段階で金融庁からテスト不足を指摘され、銀行の合併を3か月延期せざるを得なくなり、Day2についても慎重を期した結果だ。テストを行った回数も100万件を超えている。
 さらに、処理能力自体は日立製作所製の旧UFJのシステムが高いとされた一方、旧東京三菱が事実上旧UFJを救済する形で存続行となった関係で、統合後のシステムもIBM製の旧東京三菱のシステムに「片寄せ」する形となった。一方で、ATMの365日24時間連続稼働など、旧UFJにしかなかったサービスも維持することになったため、その分の機能を追加開発することになった。
こういったことから、「Day2」の作業規模は当初見通しよりも大きく膨らんだ。「日経コンピュータ」によると、「Day1」の作業規模と投資額は3万人月(1人月=1人のエンジニアが1か月働く作業量)、800億円だったのに対し、「Day2」は11万人月、2500億円という規模だ。ピーク時には6000人がプロジェクトに携わり、世界最大級の開発規模だとも言われている・・・
 08年2月下旬には、一部報道機関に対して、プロジェクトの進捗状況を記者会見して説明。システムの開発状況について会見を開くだけでも異例だが、同行では
「社会に与える影響が大きいため、説明責任がある」
「順調かどうか、皆様にご判断いただきたい」
などと、自信を見せてもいた。 ・・・

 いろいろ考えさせられる内容ですね。。。

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5月15日追加

・2008.05.13 渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

問) 三菱東京UFJ銀行の方で昨日システムトラブルがありました。これについての受止めはいかがでしょうか。

答) 十分念入りに点検し試験を重ねてきたはずなのに、なぜこのようなところで不具合が起きたのか、非常に残念です。メガバンクがシステム統合をして「メカパンク」をしてしまった失敗例というのはあるわけですから、十分な配慮と点検をもってこのようなことが二度と起きないようにしてほしいと思います。同行においてシステム統合は、まだまだこれから先も続くわけでありますから、今回の不具合が起きたことを踏まえて二度と起きないようにしてほしいと思います。

問) 三菱東京UFJ銀行の件ですが、金融庁が直前までシステム検査に入って、ある程度監視態勢を強めていたと思うのですが、その中で(システム障害が)起きてしまったことについてはいかがでしょうか。

答) プログラムの不備ということが言われていますけれども、どのような原因でこうした不備が起きたのか、きちんと追及していく必要があると思います。

問) 昨日の三菱東京UFJ銀行側の広報態勢ですけれども、セブン銀行以外のゆうちょ銀行などでもトラブルがあったのですが、それに対する報道発表が、昼までに金融庁に報告していたにも関わらず、夜の7時ころとかなり遅かったのですけれども、このような情報開示態勢のあり方についてはいかがお考えでしょうか。

答) どのような具合でタイムラグが起きたのか報告は受けておりませんが、このような不具合から生じる問題というのは、お客様に大変迷惑をかけるわけですから、「不具合がありました」という報告をきちんと出してもらうことが大事です。その上でお客様に迷惑をかけない取組みが必要だと思います。

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