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2008.05.06

監査の品質

 こんにちは、丸山満彦です。閑人さんから「監査の品質」についてコメントをいただいたので普段考えていたことの備忘録で・・・
 そもそも品質管理っていうけど、監査の品質管理って言う場合に、
・「グレードを向上させる」ことなのか
・「ばらつきを減らす」ことなのか
また、
・「Quality Management」なのか
・「Quality Control」なのか
を混乱して利用されている場合がありそうです。

情報の整理を・・・

■JISQ9000:2006における品質に関する定義

3.1

品質に関する用語

 

3.1.1

品質

本来備わっている特性(3.5.1)の集まりが,要求事項(3.1.2)を満たす程度。
 注記1 用語”品質”は悪い,良い,優れたなどの形容詞とともに使われることがある。
 注記2 ”本来備わっている”とは,”付与された”とは異なり,そのものが存在している限り,持っている特性を意味する。

3.1.2

要求事項

明示されている,通常,暗黙のうちに了解されている若しくは義務として要求されている,ニーズ又は期待。
 注記1 ”通常,暗黙のうちに了解されている”とは,対象となる期待が暗黙のうちに了解されていることが,組織(3.3.1),その顧客(3.3.5)及びその他の利害関係者(3.3.7)にとって慣習又は慣行であることを意味する。
 注記2 特定の種類の要求事項であることを示すために,修飾語を用いることがある。
  例 製品要求事項,品質マネジメント要求事項,顧客要求事項
 注記3 規定要求事項とは,たとえば文書(3.7.2)で,明示されている要求事項である。
 注記4 要求事項は,異なる利害官営者(3.3.7)から出されることがある。
 注記5 この定義は,ISO/IEC専門業務用指針第2(2004年)の3.12.1に規定されている定義とは異なる。

3.1.3

等級

 同一の用途をもつ製品(3.4.2),プロセス(3.4.1)又はシステム(3.2.1)の,異なる品質要求事項に対して付与される区分若しくはランク
  例 航空券のクラス及びホテルガイドに示されるホテルの区分
 注記 品質要求事項を設定する場合,通常,その等級を規定する。

3.2

マネジメントに関する用語

 

3.2.1

システム

 相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり。

3.2.2

マネジメントシステム

 方針及び目標を定め,その目標を達成するためのシステム(3.2.1)
 注記 組織(3.3.1)のマネジメントシステムには,複数の異なるマネジメントシステムを含むことがある。例えば,品質マネジメントシステム(3.2.3),財務マネジメントシステム又は環境マネジメントシステム。

3.2.3

品質マネジメントシステム

 品質(3.1.1)に関して組織(3.3.1)を指揮し,管理するためのマネジメントシステム(3.2.2)

3.2.4

品質方針

トップマネジメントによって正式に表明された,品質に関する組織の全体的な意図及び方向付け。
注記1 一般に品質方針は,組織の総合的な方針と整合しており,品質目標を設定するための枠組みを提供する。
注記2 この規格に示された品質マネジメントの原則は,品質方針を設定するための基礎となり得る(0.2 参照)。

3.2.5

品質目標

品質に関して,追求し,目指すもの
 注記1:品質目標は,通常,組織の品質方針に基づいている。
 注記2:品質目標は,通常,組織内の関係する部門及び階層で規定される。

3.2.6

マネジメント,運営管理,運用管理

組織(3.3.1)を指揮し,管理するための調整された活動
 注記 用語”マネジメント”が人を指すことがある。すなわち,組織の指揮及び管理を行うための権限及び責任をもつ個人又はグループを意味することがある。”マネジメント”がこの意味で用いられる場合には,この項で定義された概念”マネジメント”との混乱を避けるために,常に何らかの修飾語を付けて用いるのがよい。例えば,”マネジメントは・・・・・すること。”は使ってはならないが,”トップマネジメント(3.2.7)は・・・・・すること。”を使うことは許される。

3.2.8

品質マネジメント

品質(3.1.1)に関して組織(3.3.1)を指揮し,管理するための調整された活動。
 注記 品質に関する指揮及び管理には,通常,品質方針(3.2.4)及び品質目標(3.2.5)の設定,品質計画(3.2.9),品質管理(3.2.10),品質保証(3.2.11)及び品質改善(3.2.12)が含まれる。

3.2.9

品質計画

品質目標(3.2.5)を設定すること,ならびにその品質目標を達成するために必要な運用プロセス(3.4.1)及び関連する資源を規定することに商店をあわせた品質マネジメント(3.2.8)の一部。
 注記 品質計画書(3.7.5)の作成が,品質計画の一部となる場合がある。

3.2.10

品質管理

品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部

3.2.11

品質保証

品質要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメントの一部。

3.2.12

品質改善

品質要求事項を満たす能力を高めることに焦点を合わせた品質マネジメント(3.2.8)の一部。
 注記 要求事項は,有効性(3.2.14),効率(3.2.159,トレーサビリティ(3.5.4)などの側面に関連し得る。

3.2.14

有効性

計画した活動が実行され,計画した結果が達成された程度。

3.2.15

効率性

達成された結果と使用された資源との関係。

3.3

組織に関する用語

 

3.3.1

組織

責任,権限及び相互関係が取り決められている人々及び施設の集まり。
 例 会社,法人,事業所,企業,団体,慈善団体,個人業者,協会,若しくはこれらの一部又は組合わせ
 注記1 この取り決めは,一般に秩序だっている。
 注記2 組織は,公的又は私的のいずれでもありえる。
 注記3 この定義は,品質マネジメントシステム(3.2.3)規格の目的に対して有効なものである。ISO/IEC Guide2での用語”組織”の定義はこれと異なる。

3.3.2

組織構造

人々の責任,権限及び相互関係の配置。
 注記1 この配置は,一般に秩序だっている。
 注記2 組織構造の正式な記述は,品質マニュアル(3.7.4)又はプロジェクト(3.4.3)に対する品質計画書(3.7.5)の中で示されることが多い。
 注記3 組織構造の範囲には,関連する外部組織(3.3.1)とのインターフェースを含めることがある。
 注記1 この配置は,一般に秩序だっている。
 注記2 組織構造の正式な記述は,品質マニュアル(3.7.4)又はプロジェクト(3.4.3)に対する品質計画書(3.7.5)の中で示されることが多い。
 注記3 組織構造の範囲には,関連する外部組織(3.3.1)とのインターフェースを含めることがある。

3.4

プロセス及び製品に関する用語

 

3.4.1

プロセス

インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動
 注記1 プロセスのインプットは,通常,他のプロセスからのアウトプットである。
 注記2 組織(3.3.1)内のプロセスは,価値を付加するために,通常,管理された条件のもとで計画され,実行される。
 注記3 結果としてられる製品(3.4.2)の低号(3.6.1)が,容易に又は経済的に検証できないプロセスは,”特殊工程”と呼ばれることが多い。

3.4.2

製品

プロセス(3.4.1)の結果。
 注記1 次に示す四つの一般的な製品分類がある。
 - サービス(例 輸送)
 - ソフトウェア(例 コンピュータプログラム,辞書)
 - ハードウェア(例 エンジン機械部品)
 - 素材製品 (例 潤滑剤)

3.4.5

手順

活動又はプロセス(3.4.1)を実行するために規定された方法。
 注記1 手順は文書にすることもあり,しないこともある。
 注記2 手順が文書にされた場合は,”書かれた手順”又は”文書化された手順”という用語がよく用いられる。手順を含んだ文書(3.7.2)を,手順書と呼ぶことがある。

3.5

特性に関する用語

 

3.5.1

特性

そのものを識別するための性質。
 注記1 特性は,本来備わったもの又は付与されたもののいずれでもありえる。
 注記2 特性は,定性的又は定量的のいずれでもありえる。
 注記3 特性には,次に示すように様々な種類がある。
 - 物質的 例:機械的,電気的,化学的,生物学的
 - 感覚的 例:きゅう(嗅)覚。触覚,味覚,視覚,聴覚
 - 行動的 例:礼儀正しさ,正直,誠実
 - 時間的 例:時間の正確さ,信頼性,アベイラビリティ
 - 人間工学的 例:生理学上の特性,又は人の安全にかんするもの
 - 機能的 例:飛行機の最高速度

3.5.2

品質特性

要求事項(3.1.2)に関連する,製品(3.4.2),プロセス(3.4.1)又はシステム(3.2.1)に本来備わっている特性(3.5.1)
 注記1 ”本来そなわっている”とは,そのものが存在している限り,持っている特性を意味する。
 注記2 製品,プロセス又はシステムに付与された特性(例 製品の価格,製品の所有者)は,その製品,プロセス又はシステムの品質特性ではない。 


■日本公認会計士協会
・2008.01.21 品質管理委員会 委員会報告 「平成19年度上半期における品質管理レビューの概要」の公表について 本文
・2007.10.25 品質管理基準委員会 委員会報告1 号 「品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」の一部改正」の公表について 本文


■利害関係者の期待という意味も含めて、行政による規制も関係しますよね。。。
【参考】このブログ
・2008.05.02 金融庁 パブコメ 「公認会計士・監査法人に対する懲戒処分等の考え方」の改訂(案)
 

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Comments

何となくですが、現時点では「ばらつきを減らす」ことに主眼が置かれている気がします。

valuableかどうかは、一定の品質レベルをクリアしてからのお話でしょうし。

Posted by: namineko | 2008.05.07 at 01:33

naminekoさん、コメントありがとうございます。
品質管理はばらつきを減らす話ですよね。。。
そのためには手順を定めて標準化をしていくことが重要となりますよね。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2008.05.07 at 07:47

そうですね。標準化、というのは一つの手法と考えます。標準化が弊害を生む場合もあります。

教科書に書いてある通り、監査は一方的なものではなく、被監査企業と協力し合ってするものでし、監査の品質を一定レベル以上にすることは、監査人側の努力だけでは何ともならないのではないと思います。そこが監査の品質管理という命題の核心であり、困難さを生み出す部分なのでしょうね…。

Posted by: namineko | 2008.05.07 at 21:34

「品質を維持するためには一定の監査時間が必要である」というのは、ある事象に対する手続や判断にばらつきがないようにするという意味での理解は、監査サービスの提供者の論理として非常に分かりやすいのですが、どうも受ける側はそのように受け止めていないような感じです。

無料配布物の内容とか、往査者がいろいろなことを知っていて何でもよく聞けるとか、そういう受け止め方をしている向きがいらっしゃいませんか。

Posted by: 閑人 | 2008.05.07 at 21:39

naminekoさん、閑人さん、コメントありがとうございます。

標準化という場合には、何をどこまで標準化するかということを意識する必要があるかもしれませんね。

方針レベル、目標レベル、プロセスレベル、もっと具体的な手順レベル。。。いろいろとあるのでしょうね。。。

 クライアントの期待と監査報告書利用者の期待というのが必ずしも一緒ではないと思うので、監査の品質って難しいのかもしれませんね。

 社会的に監査の品質レベルって合意されているのでしょうけど。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2008.05.12 at 11:20

>社会的に監査の品質レベルって合意されているのでしょうけど。。。

そういう「前提」で社会は動いていますね。

本来は、開示情報の「品質」が先に議論されるべきですが、「適正」「不適正」だけでばっさり割り切る割にはその境目がハッキリしていないところに問題ないのでしょうか。

Posted by: 閑人 | 2008.05.14 at 05:43

閑人さん、コメントありがとうございます。

> 開示情報の「品質」が先に議論されるべきですが、「適正」「不適正」だけでばっさり割り切る割にはその境目がハッキリしていないところに問題ないのでしょうか。

いわれてみればそのとおりですね。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2008.05.14 at 14:35

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