みなさんに質問。。。持分法適用会社の粉飾決算についての報告会社の責任
こんにちは、丸山満彦です。みなさんに質問です。。。持分法適用会社が粉飾決算を行った結果、報告会社の決算書の当期純利益が異なることになる場合に、当該粉飾決算が行われていることを知らなかった報告会社の経営者は、報告会社の財務諸表に記載誤りがあるとして責任を取らなければならないのでしょうか?
もちろん、報告会社の役員や従業員等が持分法適用会社の役員になっていてその粉飾決算が行われていることを容易に知ることができたという場合など、いろいろと想定できると思いますが。。。
一般的には、報告会社は持分法適用会社の実情を詳細に知らないのが通例なので、そこまで責任を負わせるのは酷だと思うのですが、いかがでしょうか?
みなさんのご意見をお待ちしておりまする。。。よろしくお願いします。。。
この質問のつづいて別の質問もありますが、それはまた後ほど・・・
Comments
提出会社の有価証券報告書の訂正は当然必要なのでしょうから、第一義の責任といえばまず訂正をすることですね。つまり責任はあります。ただし訂正すれば、財務報告の適正性という意味の第一義的責任はとりあえず解除されますね。
次に、虚偽の報告をした責任を第一次とすれば、知っていたかどうかが第二次の問題になるでしょうね。この場合、「知り得たか」「知るべき立場であったか」そして知っていたとしても改善させるべきであったかが議論になるのでしょうが、ご質問の趣旨はここにあるのでしょう。
そして、虚偽報告の根拠となった取引をした(首謀、教唆、共謀、指示、傍観)三次的責任がありますね。事実認定による「影響力の行使」がどの程度あったかという判断によるでしょうね。
おそらく、世間的には後の責任のほうが重要な責任なのでしょうけど、この責任が認定されれば、第一次の虚偽記載責任も遡って解除されないでしょう。
開示責任のレベル=報告の虚偽レベル×(1+事象に対する無作為のレベル×取引に対する影響力のレベル)
という考え方はいかがでしょうか。持分法会社かどうかは、判断要素とはなっても決め手にはならないと考えますが。
責任という言葉は情緒的(道義的を含めて)かつ曖昧(不法行為だけでなく錯誤など)に使われているので、この手の議論はまず概念整理から入らないと、結局は「監査が悪い」の話で終わってしまいますから困りますね。
Posted by: 閑人 | 2007.09.09 11:38
証券取引法(金融商品取引法)上の「責任」のことかと思いますが、「故意」または「過失」が認められるか次第ではないでしょうか。
故意がある場合は論外として、これまでですと、通常は過失もなかなか認めがたいと思うのですが、今後「内部統制評価報告制度」が施行されるとどうなんでしょうか。持分法適用会社とは言え、知らなかった、かつ知らないことに過失はなかったとは言い難いケースも出てくるんじゃないでしょうか。
因みに、そう考えると、よく判らなくなるのは、US-SOX適用会社(SEC登録会社)の場合です。先に公布された内閣府令により、US-SOX適用会社はそれに従って対応すればOKとされていますが、US-SOX404条は持分法適用会社をそのカバレッジに入れておりません。こういう会社について、設問のような事態が発生した場合は、どうなるんでしょうねぇ?
Posted by: 監査役サポーター | 2007.09.09 22:06
閑人さん、監査役サポーター さん、コメントありがとうございます。
支配権のある子会社なら知らなかったは通用しないのですが、持分法会社の場合は、知らなかったのは仕方がない・・・というケースもあるように思うんですよね。。。
どうでしょうか・・・
> US-SOX適用会社(SEC登録会社)の場合です。先に公布された内閣府令により、US-SOX適用会社はそれに従って対応すればOKとされていますが、US-SOX404条は持分法適用会社をそのカバレッジに入れておりません。こういう会社について、設問のような事態が発生した場合は、どうなるんでしょうねぇ?
まさにこれが気になるんですよ。。。
みなさん、どうなんでしょうか???
Posted by: 丸山満彦 | 2007.09.10 01:12
もちろん、事実として「しらなかった」のであればそういう主張はできると考えられます。
それと「責任」とは意味が異なると考えられるので、小生は、「開示の修正をする責任はある」が「(持分による影響力が立証されない限り)投資先の粉飾行為に関して責任がないと反論できる」と考えます。ただ、SOXにしても日本の評価制度にしても、内部統制の責任は直接的には問えないと考えますが、不法行為に関する責任を持分法を理由にはじめからないと推定することにも無理があると考えます。
とはいえ影響力を行使していないことを主張させるにしても、影響力があったことを立証させるにしても、責任を負わせるのであれば、結局は、影響力のあった行為を取り上げられなければならないでしょうね。
不法行為責任が立証されれば当然に開示責任の意味も変わってきますね。
Posted by: 閑人 | 2007.09.10 13:36
閑人さん、コメントありがとうございます。。。
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「開示の修正をする責任はある」が「(持分による影響力が立証されない限り)投資先の粉飾行為に関して責任がないと反論できる」と考えます。
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賛成です。。。
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不法行為に関する責任を持分法を理由にはじめからないと推定することにも無理があると考えます。
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賛成です。。。
持分法適用会社の場合は、投資先の粉飾行為に関して責任がないと反論できる場合があるが、子会社の場合は、報告主体の一部なので、子会社の粉飾行為に関して責任がないと反論はできないわけですよね。。。
持分法適用会社の決算書の内容にまで責任をもてないわけですから、持分法適用会社が粉飾決算をしていたからといって、直ちに報告会社が粉飾決算をしたと言われることはないと思うんですよね(もちろん、知っていた場合や、容易に知ることができた場合はことなってきますが・・・)。
Posted by: 丸山満彦 | 2007.09.11 00:07