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2007.09.18

「監査人の立場からすると、ダイレクト・レポーティングのほうが財務諸表監査との結び付きの面で非常に有効じゃないか」 by 日本公認会計士内部統制検討専門委員会をメンバーとする座談会

 こんにちは、丸山満彦です。会計・監査ジャーナルの10月号では、「シリーズ内部統制/座談会 公開草案の主要ポイントを総括 公開草案「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」をめぐって」という記事が載っていますが、これは面白いです。
 座談会のメンバーは、日本公認会計士協会の前監査担当常務理事、監査・保証実務委員会内部統制検討専門委員会委員長、内部統制検討専門委員会監査実務小委員会委員長及び委員という面々でございます。その中で、ダイレクト・レポーティングに触れた部分があるわけですが、そこがなかなか面白いです。

 
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【司会】 ・・・「3.内部統制監査の意義」(2頁)につきまして、特にダイレクト・レポーティングを採用していないと意見書にあるわけですが、監査人にとってもう少し分かりやすくポイントをお話ししていただきたいと思います。廣瀬さんいかがでしょうか。
【廣瀬】 確かに意見書ではダイレクト・レポーティングを採用しないということになっています。会計士の意見表明の形式は確かにダイレクト・レポーティングではないのですが、監査の実施面で言うと、ダイレクト・レポーティングをやる場合の手続きと実質的には大きな相違はないのではないかと思います。J-SOXの建付けは、経営者が自ら財務報告に関わる内部統制を評価して結果を出す。それから、会計士は会計士として企業とは別個数に評価をして、経営者の評価結果と照合するというイメージだと思っています。ただし、監査人はできるだけ経営者の評価証拠といいますか、経営者の評価も利用していくことになると思います。そういう意味で非常にユニークな制度だと思います。
【司会】 ユニークな、というところで、何か補足がございますか。
【廣瀬】 非常に話しにくいですね。ダイレクト・レポーティングを採用しない一番大きな理由として、企業側の負担の軽減があったと思いますが、監査人の立場からすると、ダイレクト・レポーティングのほうが財務諸表監査との結び付きの面で非常に有効じゃないかと個人的には思います。
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実務をしている人は、普通に↑のように考えると思いますよね。。。ちなみに下線は私がつけました。。。

で、別のところでも、、、
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【廣瀬】 ・・・AS#2とAS#5との違いはいろいろありますが、一番大きなものは、AS#5では、いわゆるダイレクト・レポーティングのみ、つまり内部統制そのもののみが監査対象となり、経営者の評価の妥当性に関する意見表明はなくなるという点でしょう。・・・これは、個人的にはよい方向だと思います。実際、過去の実務を見直してみたところ、会計士は経営者の評価の妥当性を確認するためにかなり時間を使っています。しかも、経営者が間違った評価をしたということを世に知らしめても全然意味のないことです。投資家にとっては、投資対象である企業の内部統制が有効に機能していればいいはずです。また、監査対象が内部統制の有効性そのものであるということは、財務諸表監査と内部統制監査の関係においても、監査理論的に整合します。内部統制そのものの有効性のみについて監査意見を述べるのは、効率性の観点からも監査理論の観点からも正しい方向ではないかと思います
 我が国の内部統制監査制度は、ダイレクト・レポーティングを採用しないで、アメリカでは切り捨ててしまった経営者の評価の妥当性のみを監査対象にしたという点が、非常にユニークではないかと思います。
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「経営者が間違った評価をしたということを世に知らしめても全然意味のないことです」って言い切ってしまいましたね。。。(笑)

 まぁ、今回取り上げた部分は、本題からすれば些細な部分でして、これ以外の重要な部分がございますので、上記座談会の記事は一読されることをお勧めいたします。。。

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Comments

監査人が直接内部統制の有効性を監査する場合
財務諸表監査の視点だけしか監査しないと思います

でも、企業にとっての内部統制は
財務諸表を作成するために構築するものではなく
企業価値を高めるために構築するもので
企業価値の一部が適正な財務諸表になるのではないでしょうか

将来の黒字のために、あえて今期赤字を選択することがあるように、企業価値向上のために財務報告の内部統制を後回しにすることもあります

監査人は、そこまで理解して内部統制の有効性を直接監査することが出来るのでしょうか?
財務報告に関する内部統制だけの有効性を監査人として保証したところで、そのほかの内部統制に不備があったとしたら、投資家にとってどんな意味があるのでしょうか?

Posted by: saikawa | 2007.09.19 06:42

コンピュータ屋です。
おはようございます。

監査人さんの立場からして、ダイレクトレポートが妥当でしょうね。ただし、JSOX対応の部分(財務報告の信頼性の確保)のみでしょう。

企業側から見て、内部統制の仕組みをJSOX対応分のみ切り出して、うまく監査やってくれるのか、お手伝いの負担も結構かかるでしょう。

そんなこんなで、経営者の評価をレビューする程度でよいのではと思いますが、いかがでしょうか。
いい加減すぎますか?

Posted by: コンピュータ屋 | 2007.09.19 10:58

「会計・監査ジャーナル」の当該号が手許に回ってきていないの読んでおらず、また全体を見ず上記引用中の片言隻句を捉えていうのも如何なものかとは思うのですが、それにしても、「見たくないものを見ちゃったなぁ・・・。」って感じです。

インダイレクト・レポーティングって言ったって、実務上ダイレクト・レポーティングとあんまり変わらないよ、っていう話は公認会計士の先生方からよく聞くんですが、それって、「実務上」(場合によっては「理論上」も?)なんて綺麗事ではなく、本当のところ、心の奥底では、インダイレクト・レポーティングなんてダメ(おかしい)と思っていらっしゃるんですね。馬脚を現した、というと言い過ぎでしょうが、衣の下の鎧を見た思いです。

「企業側の負担の軽減」が制度趣旨(「一番大きな理由」)だと認識しているのなら、なぜこれに全面的に従おうとしないのか・・・。「私どもは、企業の皆様方の負担軽減を旨として、内部統制監査を実施します。」と宣言する監査法人、公認会計士がなぜ現れないのか(私が知らないだけで、実はそういう先生はいらっしゃるということでしたら、スイマセン)・・・。何となく、カラクリが見えてきたような・・・。

これ、決して批判ではありません。単なる一つの認識に過ぎませんので。

Posted by: 監査役サポーター | 2007.09.21 22:35

saikawaさん、コメントありがとうございます。

> 財務諸表監査の視点だけしか監査しないと思います
そうです。

> 企業にとっての内部統制は財務諸表を作成するために構築するものではなく企業価値を高めるために構築するもの
企業価値を高めるためになのか、結果として企業価値が高まるのかは議論があるところかもしれませんが、そのとおりだと思います。

> 将来の黒字のために、あえて今期赤字を選択することがあるように、企業価値向上のために財務報告の内部統制を後回しにすることもあります
> 監査人は、そこまで理解して内部統制の有効性を直接監査することが出来るのでしょうか?
監査人は企業価値うんぬんのことは気にせずに、財務報告に係る内部統制が有効かどうかについて意見を述べた内部統制報告書の適正性についてのみ意見をいいますので、企業価値を高めるために財務報告の信頼性を確保するための内部統制を犠牲にしたかどうかは関係なく評価すると思いますし、制度でそう決まっている以上そうすべきだと思います。。。

なので、制度がどうよって話になると思います。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2007.09.22 01:43

監査役サポーターさん、コメントありがとうございます。
インダイレクトレポーティング方式(言明方式っていうのが正しいのだと思いますが。。。)がダメと思っているのではなくて、言明の中に内部統制の有効性についての経営者評価結果が含まれているので、結局、ダイレクトレポーティング方式でも言明方式でもその部分の監査意見形成過程は同じになるということです。。。
したがって、ダイレクトレポーティング方式を採用しなかったと言うことが負担軽減策と言われると、「わかっていないよね。。。」ということになるのだろうと思います。

Posted by: 丸山満彦 | 2007.09.22 01:49

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