金融庁 企業会計審議会 内部統制部会 第16回議事録
こんにちは、丸山満彦です。金融庁から第16回の内部統制部会の議事録が公表されていますね。。。読んでみるといろいろと面白い点があります。。。
【金融庁】
■内部統制部会
●第16回 平成19年1月31日開催
・議事録 ・資料 ・・資料1 実施基準案(公開草案)に対するコメントの概要(PDF:159K)
・・資料2 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)(案)(PDF:894K)
内部統制部会の議事録を読んでいると、有識者の委員のみなさんが、報告書の内容について政府の職員に質問をし、政府の職員がその質問に回答するというへんな感じで議事が進んでいるように感じる場面もありますね・・・。委員の皆さんに事前に説明しに行っていないのでしょうかね。。。有識者の意見が報告書に反映されていることを確認するという感じのほうが自然かもしれませんね・・・。
質問について
1)実施基準において何らかの対応が必要であると考えられるもの、
2)政令・内閣府令等において検討されるべきもの、
3)対応が困難又は対応の必要はないと考えられるもの、
4)その他質問等に属するもの
の4つに整理しています(よくやる方法ですね。。。)。
2)3)4)にどのようなものがあるかは、資料1を読めばわかりますが、それ以外のもの・・・
議事録の一部を抜き出してみました。。。全体を読んでください。。。
全体的な意見・・・ =====
○野村企業会計調整官 ・・・・・
まず、全般的なコメントですが、米国SOX法の鵜呑みを排し、我が国の特質を十分踏まえた、懇切丁寧な素案を提示した点を特に評価したい。
我が国において懸案となっていた対象範囲と絞り込み等について、具体例・数値例まで踏み込んで提示したことは経営者にとってありがたい。
中小企業は、同一の基準で対応することは酷ではないか。
監査人に保守的にならないよう要請すべきではないか。
全体としてもっと厳しい基準にすべきではないか。
等々のコメントを頂いているところです。
・・・・・
=====
アメリカの動向についての認識・・・ =====
○池田企業開示課長 ・・・・・
この審議会での過去の議論でも、いろいろ事態が流動的であったということもあったと思いますけれども、SEC登録企業あるいは米国SOX法404条の実務といってもかなり見直しがあり得るという議論があった中で審議が進んできましたので、たしか八田部会長からも、アメリカが最終的にどういうものになるのかよく見きわめなきゃいかんと、かなり当初のものと変わってくる可能性があるという議論がありましたが、これは私ども、昨年12月にアメリカの方で一連の動きがあったものを我々なりに分析しているところでは、この審議会の審議の中でアメリカの状況として分析してきたものとそれほど予想を超えるような内容のものはなかったというふうに考えておりますので、この審議会はそういうアメリカの動きはある程度先取りしてこの実施基準案を作ってきたということだと思いますので、
もちろん今後の推移は引き続き見ていく必要があるかと思いますが、それほど当初議論したものから異なる状況が12月に生じたということはないというふうに考えています。
=====
初年度の意見が限定意見、否定意見になるのではないか・・・そしたら、上場廃止?新規公開会社は? =====
●山浦委員 ・・・・・
アメリカの事例を見てみますと、やはり導入当初、平成20年4月1日からでありますけれども、限定なり否定意見なりの監査人側の事例が非常に多いようです。
恐らく企業側もなれていないことから、やはりどうしても導入当初はこういったことが起こりがちではないかと思うのですね。そういったことについて、やはり発足当初、スタート時点での混乱をある程度緩和するようなことが考えられるかどうか。
・・・・
○池田企業開示課長 この内部統制報告制度、そしてその施行時期20年4月1日からということは金融商品取引法の法律で明記をされているものでございますので、我々はその法律をその趣旨に沿って適切に施行していく、実施していく。もちろんその中で無用の混乱が起きないようにということを考えて、この実施基準案自体がそうしたことも配慮して作ったものだというふうに理解をしておりますけれども、したがいまして、山浦先生おっしゃったところの弾力的な対応というのは何を指すかかもしれませんけれども、基本的にやはりその制度の趣旨が生かされるように実施をしていきたい。
・・・・・
●柴田委員 ただ今の山浦委員のお話についてですが、行政の対応はやはり法律というものに従ってきちんと行う必要があります。それを前提としての話ですが、現実の世界を見ますと、米国においては、内部統制の有効性についての限定意見が出された場合に、それに対する資本市場の反応は極めて冷静であったという事実があります。広報等々を通じて日本でも教宣活動が必要ですが、そういったアメリカの例を広く知らしめるという努力も必要なのではないかと思います。
また、証券取引所などの場所においても、上場維持基準の運用について適切な対応が必要であろうと思われます。内部統制の有効性について限定意見がついた場合に、それが理由で直ちに上場維持が不可能になるといったような規定は今はないはずですから、そういった誤解が生じないようにするということも大事かと思います。
・・・・・
●大崎委員 実は、今、柴田委員がおっしゃったことを私も申し上げようと思っていたんですが、まさに長友委員もいらっしゃるのでぜひお願いしたいと思っておりまして、1つは、上場維持基準の部分で一定のご配慮、とりわけその制度が定着するまでの間は頂きたいということですが、もう一つは上場基準の、つまり上場審査、新規公開の上場審査におきましても、例えばここで言う無限定適正意見が得られるような内部統制が確立していないと新規公開で絶対に上場ができないというところまでは要求されないで頂きたいなということを思っておりまして、その辺はぜひご検討頂ければと思います。
・・・・・
●長友委員 ご指摘の件は十分に認識をしておりますし、この内部統制の制度そのものの目的というのが正確な財務データをつくると、作成するためのベースになるということでありまして、そのベースになるシステムがもし不備があるということで直ちに財務報告自体に不備があるということにつながっているわけではないというところです。ただ、公器であるという上場会社にとってみたら、一日も早くその正確な財務報告に係る内部体制の整備というのは当然進めていかなければならないということだと思います。
新規の上場にあっても、最低限、今でもそうなんですけれども、財務報告に係る内部統制のシステムというのがどういうものかというのは今もチェックをしております。より厳しく精緻になるということもありますので、こういった面は逆に上場審査の段階では参考としては公器になるための準備を促して、さらにその企業が拡大をしていくような、そういう一助になるというような対応を図りたいというふうに思っています。
=====
ちなみに、内部統制部会の第1回から第16回までをざーっと見たい人(私なんですが・・・)は下のブログも参考にしてください。2006.08.09のブログですが、その後の情報も上書きしています。。。
【参考】このブログ
・2006.08.09 内部統制部会議事録等
【過去の今日】
・2006.03.07 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の制度導入は2009年3月末決算から? ・2005.03.07 第1回ISO/SR(社会的責任)総会開催 ・ 自民党が個人情報漏えい社員の罰則検討
Comments