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2007.01.20

不二家の事件に関する新聞報道

 こんにちは、丸山満彦です。不二家の事件についての新聞報道を羅列しました。このようなコンプライアンス違反が起こる背景というのは共通点がありますね。。。

 
【報道】
■日経新聞
・2007.01.20 不二家、今期の復配見送りへ・2期連続営業赤字に

 洋菓子以外の商品を店頭から撤去する動きも広がり、需要期の1―3月に売り上げが急減するため。今期は10億円の連結営業黒字(前期は2億円の赤字)を計画していたが、2期連続の赤字は避けられない情勢だ。
 06年9月中間期は11億円の営業赤字(前年同期は14億円の赤字)。だが、10―12月期はクリスマス商戦が好調で前年同期を上回る利益を達成、06年4―12月期の営業赤字は5億円を下回る水準まで縮小したもようだ。バレンタインもある1―3月期も通常どおりの営業ができていれば営業黒字転換も射程圏に入っていた。

・2007.01.19 不二家の菓子にガの幼虫混入・昨年10月に販売
 不二家は男性に調査結果を報告、謝罪した。同社は「製造ラインで混入したとみられるが、健康への被害はなく、商品の回収や保健所への報告は必要ないと判断した」などと話している。

・2007.01.18 不二家工場に小売企業が独自検査
 不二家は17日、「スーパーやコンビニエンスストアで販売している菓子・飲料製品については安全です」とのコメントを出した。しかし、全工場の調査も終了しておらず、「安全宣言」は時期尚早との見方が多い。小売企業と公的機関がそろって「安全」と判断するまで売り控えの動きは収まりそうにない。

・2007.01.18 不二家の菓子箱に虫混入・05年、購入者に謝罪
・2007.01.17 不二家社長に改善要請、厚労・農水両省
 藤井社長はこの日午後2時半ごろ、同社の幹部2人と厚労省の藤崎清道食品安全部長らを訪問。「深くおわび申し上げます」と頭を下げた。藤崎部長は「食の信頼を揺るがす重大な事案で大変遺憾。行政に対する報告が遅れたことも見逃すことはできない」と指摘した。
 藤井社長はその後、農水省の総合食料局へ。岡島正明局長が「消費者に不信を招いたのは誠に遺憾で、積極的な情報公開や法令順守を期待する」と求めると、「厳格に受け止める。コンプライアンス(法令順守)を確立しきちんと対応したい」と答えた。

・2007.01.17 不二家、期限超過「1日」容認か
 1日超過ならマニュアル違反を容認するずさんな管理が製造現場に広がっていた可能性がある。
 これまでの同社の調査によると、15日に判明した18件の消費・賞味期限切れ材料の使用のうち、従業員の記憶があいまいで超過日数が特定できなかった八件を除く十件は、すべて消費期限を1日超えていた。

・2007.01.17 不二家、95年に9人食中毒・公表せず
 不二家の泉佐野工場(大阪)が製造していた洋菓子「ペコちゃんのほっぺ」で1995年6月、食中毒が発生し9人が嘔吐(おうと)などの症状を訴えていたことが17日、分かった。12年前の発生時も、今回の不祥事を受けた記者会見でも、同社は公表していなかった。

・2007.01.17 不二家の工場に埼玉県と佐賀県が立ち入り
・2007.01.17 不二家・埼玉工場、期限切れ原料を改善指示後も使用
 昨年11月に経営陣が埼玉工場での不正を把握し、改善を指示した以降も2回、期限切れ原料を使っていたことが16日、同社の調査でわかった。製造過程で定められた基準を守るよう改善策を導入したにもかかわらず、不正を放置した形になり、衛生や品質管理に対する危機意識の欠落ぶりが浮き彫りになった。

・2007.01.17 社説1 不二家は速やかな情報公開を
 11日の記者会見では期限切れの牛乳をシュークリームに使用するなど埼玉工場で製造した四種類の製品の不備が公表された。続く15日の会見では期限切れ原料使用が過去7年で18件あったこと、消費期限の表示違反は「頻発」していたことなどが明らかにされた。課長から工場長まで関係者全員が容認していた事例もあり、ずさんさに驚かされる。
 これら2度の会見でも情報開示は十分とはいえない。期限切れ原料で製造した商品名は一部不詳のまま。5カ所の洋生菓子工場のうち埼玉、札幌以外では問題の有無自体をまだ調査中だ。安全基準を上回る菌が発見された菓子が規則通り回収されなかった過程もはっきりしない。消費者の不安を考えれば、同社は速やかに調査結果を公開すべきだ。
 調査を困難にしているのは使用原料などの記録が不十分で社員らへの聴取に頼る部分が大きいからだ。今後調査を進めても「これ以上の不備はない」と断言できない可能性が高い。状況は極めて厳しい。

・2007.01.16 不二家本社、不祥事の対応協議続く
・2007.01.16 不二家、マニュアル軽視が常態化か・工場現場で
 不二家は、細菌の検査はマニュアル通りの手法で行っていたにもかかわらず、検査結果がマニュアル基準をオーバーしてもそのまま販売するなど、工場現場でマニュアル軽視が常態化していた疑いが強いことが、16日分かった。従業員らの聞き取り調査で、埼玉、札幌工場で少なくとも7件の違反が判明。

・2007.01.16 不二家で経産相「自力で再建してもらう」
・2007.01.16 関西のスーパー、不二家製品撤去広がる
 売り場から撤去するのはチョコレートやクッキー、キャンデーなど定番品として販売している不二家の全製品。イズミヤなど3社の店舗数は関西圏を中心に合計で300店を超す。不二家の期限切れ原料の使用例が新たに判明するなど、販売の継続に消費者の理解が得られないと判断した。

・2007.01.16 不二家、札幌工場で基準超す細菌、道内小売りも製品撤去
 札幌工場では2006年5月中旬から7月下旬に製造したケーキなど洋生菓子で、厚生労働省の食品衛生に関するガイドラインを上回る細菌を検出していた。出荷後2日目に検査結果が判明していたものの、「食品衛生法には抵触していない」(広報部)として回収していなかった。
・・・
 札幌市は不二家札幌工場への立ち入り検査を実施。原材料が一部記載されていないなど製造記録の不備を指摘済み。「一連の問題について報告書の提出を求めており、内容を確認して改善を指導したい」(生活環境課)としている。

・2007.01.15 不二家、藤井社長が辞意・埼玉工場で新たに18件判明
 埼玉工場で過去7年間に消費期限や賞味期限切れの原料の使用例が新たに18件みつかったことなどを明らかにし「基準が守られない頻度が高く、倫理観が薄い」と述べ、社内体質に問題があることを認めた。
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 社内調査の結果、埼玉工場での18件の事例のうち2件は上司の指示だったという。既にプリンで消費期限を社内基準より1日長く表示していたことが判明しているが、2004年6月から同種の違反が頻発していた事実も公表。工場長を含め関係者が容認していたことを明らかにした。

・2007.01.15 不二家製品、セブン&アイとイオンも撤去決める
 不二家が消費期限切れの牛乳でシュークリームを製造・出荷するなどしていた問題を受け、セブン&アイ・ホールディングスとイオングループは15日、キャンデーなど不二家の取り扱い全製品の販売を見合わせることを決めた。製品の安全性を確認できないため、としている。製品撤去の動きが大手スーパー・コンビニに広がってきた。

・2007.01.15 不二家、藤井林太郎社長が辞意表明
・2007.01.15 不二家、埼玉工場の消費期限切れ原料使用18件
・2007.01.15 不二家、週内に休業補償・総額8000万―9000万円
 消費期限の切れた牛乳でシュークリームを製造・出荷していた問題で不二家は14日、全国約700のフランチャイズチェーン(FC)の洋菓子販売店に対し、1週間分の休業補償を週内に実施する方針を固めた。売り上げ実績や契約内容に応じ、売上高の20―30%相当額を支払う。総額は8000万―9000万円になるとみられる。長期化すれば業績に深刻な影響を与えかねない。

・2007.01.14 不二家製品を撤去、食品スーパーで相次ぐ
・2007.01.10 不二家、期限切れ牛乳でシュークリーム
 大手菓子メーカー、不二家の埼玉工場(埼玉県新座市)で昨年11月、消費期限切れの牛乳を使ったシュークリーム約2000個を製造し、1都9県に出荷していたことが10日、分かった。同社は出荷後にこの事実を把握したが、公表していなかった。同社は「社内規定に違反する行為」としており、ほかに同様のケースがなかったか調査している。
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 同社が社内の諸問題を改善するためのプロジェクトチームを設置して昨年11月に調査したところ、埼玉工場の原料仕込み担当者が「11月7日消費期限の牛乳60リットル分を同月8日に使用した。捨てると怒られるため、においで判断して問題がないと思い、使用した」と証言した。


■朝日新聞
不二家問題
・2007.01.19 不二家、「新たな発覚」次々 自主調査、終了めど立たず

 「これが最後ではない。適宜報告を求め、立ち入りを続ける。洗いざらい、すべて調べさせていただく」
 19日、埼玉工場(新座市)への2回目の立ち入り検査の結果を発表した埼玉県の細川修生活衛生課長は強調した。
 県は同社の対応に不信感を持つ。1回目の検査で、同工場が「ない」と回答していた食品衛生のマニュアルを、2度目の検査で「勘違いだった」と提出。また、本社が99年ごろから不適切な食品製造をしていたと発表したのに、16日に同工場が県に出した報告書は、昨年6月以降の4品目16件に言及しただけだった。
 大阪府は11日から泉佐野工場(泉佐野市)に立ち入り調査を始めたが、05年にシュークリームの消費期限の表示を1日増やしていたことを不二家側が話したのは、3度目の調査の18日。工場長の指示で1日延ばしていたことや本社も黙認したことも、府の調査で判明した

・2007.01.19 シュークリームの細菌数「無限」 不二家札幌工場に記録
・2007.01.19 不二家、大阪の工場でも期限表示で不正
泉佐野工場(大阪府泉佐野市)でも、シュークリームの期限表示を社内基準より1日長く表示するなどの不正をしていたことが18日、明らかになった。大阪府が同日立ち入り調査し、判明した。同工場は埼玉工場と商品を相互供給、双方の工場長が期限表示のごまかしを指示し、本社もこれを承知していた。一連の不正が会社ぐるみだったことが、改めて明確になった形だ。
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 泉佐野工場ではまた、製造したプリンを消費期限を記載しないまま埼玉工場に出荷し、埼玉で期限表示を印字することが常態化。消費期限を実際より延ばすのが目的とみられ、本社も了承していたという。
 同社やグループ会社が運営する7工場で、不正や違反が確認されたのは3工場となった。府は泉佐野工場に社内基準や食品衛生法の順守を指示し、引き続き調査を行う方針。

・2007.01.18 不二家のスナック菓子 05年、箱に虫混入
・2007.01.18 不二家、レストラン新会社設立を延期 期限切れ問題で
 不二家は、経営不振が続いていた郊外型レストラン「不二家レストラン」(97店舗)事業を子会社から分離。みずほ証券系のファンドが主導する新会社に事業を譲渡し再建する方針を、昨年12月11日に発表。新会社は今月中旬をめどに設立する予定だった。
 不二家は「(会社設立の)時期をいつにするかについて(ファンドと)協議をしている」としている。ただ、今回の事件で不二家の事業基盤全体が大きく傷ついた。窮地に陥っている不二家全体の救済についても、主力のりそな銀行が検討を始めており、郊外型レストランの再建計画も見直される可能性が高い。

・2007.01.18 農水省、不二家に立ち入り検査 JAS法違反を調査
・2007.01.17 「ない」はずのマニュアル確認 不二家埼玉工場立ち入り
 埼玉県は17日の同工場に対する2度目の立ち入り検査で、食品衛生マニュアルと「原料消費・賞味期限チェック表」など製造工程にかかわる14種類の記録簿を確認したと発表した。県は「11日の1度目の調査時に『ない』と言っていたマニュアルがなぜ今回は出てきたのか。理由を厳しく追及する」という。

・2007.01.17 不二家、食中毒を公表せず 大阪で95年、9人が発症
 同社によると、大阪府泉佐野市の泉佐野工場で製造した洋菓子「ペコちゃんのほっぺ」を食べた9人が、同年6月23~28日にかけて、嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴えた。泉佐野保健所に食中毒の発生を報告したが、同保健所は被害者が20人以下だったため大阪府の内規に基づき公表しなかった。工場は営業停止処分とした。同社は店頭にある商品の回収をしたという。
 同社人事総務部は「保健所が発表しなかったので、公表をしなかった。今考えると認識が甘かった」と話している。

・2007.01.17 「食の信頼を揺るがした」 不二家社長に厚労省
・2007.01.17 厚労省、不二家社長に調査協力を要請へ
・2007.01.17 埼玉県、不二家埼玉工場に再立ち入り
・2007.01.17 消費・賞味期限切れ、ゼリーや杏仁豆腐も 不二家発表
 同社は16日、過去7年間にあった18件のケースの詳細を発表した。商品名が分かったのは12件、出荷個数は「製造年月日がわからず、調べられない」として発表しなかった。
 判明した製品名は次の通り。かっこ内は、製造時期、原料名、期限超過日数。
 ベトナムコーヒーゼリー(6カ月前、冷凍加糖卵黄、1日)▽シフォンケーキ(5年ほど前、生クリーム、1日)▽杏仁豆腐(あんにんどうふ)(1年ほど前、牛乳、1日)▽アップルパイ(5年以上前、生卵黄、不詳)▽シュークリーム(1年前、牛乳、不詳)▽スイートポテト(昨年11月前半、生卵黄、1日)▽なめらかチーズケーキ(昨年11月、冷凍加糖卵黄、1日)▽なめらかチーズケーキ(不詳、牛乳、不詳)▽マンハッタンショート(07年1月5日、生クリーム、1日)▽ブルーベリータルト(昨年12月下旬、ブルーベリージャム、不詳)▽アニバーサリーモンブラン(昨年12月下旬、チョコビッツ、不詳)▽アップルパイ(6~7年前、リンゴ加工品、不詳)

・2007.01.16 不二家商品、撤去の動き拡大 業界再編絡みの動きも
 不二家支援に向けた動きも出てきた。菓子大手の森永製菓首脳は「検討している。何らかのことはしないと」と述べ、支援の具体策検討に入ったことを明らかにした。森永と不二家は87年に株式持ち合いを始めて友好関係にある。
 不二家救済は業界再編につながる可能性もあり、興味を持つのは森永だけではない。ある菓子大手幹部は「優良資産は魅力」といい、不動産やアイスクリーム専門店「サーティワン」を展開するビー・アールサーティワンアイスクリームなどに関心を示す。
 カギを握る主力銀行のりそな銀行も、不二家単独での再生は困難とみて資本面の支援も含め、森永を含めた複数の企業を支援先として検討対象にしているようだ。だが、「今は資本面も含む支援は難しい。イメージがよくない」(市場関係者)との見方が食品業界にはある。再建に向けた支援態勢作りが順調に進むかどうかは不透明だ。

・2007.01.16 製造ライン、うそ容認 不二家、詳細なお「調査中」
 食の安全を軽視した不正は、やはり「組織ぐるみ」だった。15日の記者会見で、製品の消費期限改ざんを工場関係者が広く知っていたことを認めた不二家。上司の指示で消費期限が切れた原料を使ったことも明るみに出た。明治の創業以来、消費者の信頼で培われてきた「老舗(しにせ)」の看板は、ずさんな仕事で泥にまみれた。
 「国民の皆様にご迷惑をかけ、誠に申し訳ございません」。15日午後3時。東京・銀座の不二家本社で開かれた記者会見は、藤井林太郎社長や生産管理担当幹部ら3人の謝罪から始まった。会見場となった本社7階の社員食堂は、入り切れない記者が通路にまで並ぶ。藤井社長が辞意を明らかにすると、一斉にフラッシュがたかれた。
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 定年後にパート社員として再雇用した元菓子職人の判断だった。ベテランの甘さがあった――。
 だが、この日の会見で、藤井社長は手元の資料に目を落としながら、埼玉工場で新たにわかった消費期限切れ牛乳や卵を使ったケース15件のうち「2件が上司の指示によるものとの報告がありました」と説明。個人の責任を強調していたのとは一転、工場ぐるみで期限切れ原料を使ったケースがあることを認めた。
 会社側は、消費者を驚かせる事実を次々と明らかにしていく。
 04年6月から06年10月にかけてプリンの消費期限を1日延ばして表示していたケースでは、工場長をはじめ、生産管理課長、製造課長、現場担当者ら関係者全員が、うその期限表示を容認していたという。
 また、前回の会見では、埼玉工場製造の「シューロール」の細菌検出量は国の基準の10倍だったとしていたのに、実際は64倍。出荷量も当初の説明の6倍だった。
 だが、細かくは語らなかった。会見は2時間半以上に及んだが、相次ぐ質問にも藤井社長らは「調査中」と繰り返すばかり。社内の食品衛生マニュアルの内容を問われても、品質管理の担当者が「手元に資料がないから、わからない」。「期限切れ原料の使用を指示した上司とは具体的にどんな役職なのか」とただされても「調べている」と答えるだけだった。

・2007.01.15 不二家への「健康被害」の電話、36件
・2007.01.15 「製品買う気ない」 不二家に消費者も冷たい目
・2007.01.15 公表怠り、ずさん次々 不二家の原料期限切れ問題
◇社長「体質に重大な問題」
 東京・銀座の本社で開かれた不二家の記者会見。これまで明らかになっていた牛乳やリンゴ加工品の期限切れ原料の使用とは別に、新事実が出てきた。ジャム、生クリーム、卵など新たな期限切れ原料の使用、1日長い消費期限の表示の頻発……。
 「期限切れの18件の原料は何に使われたのか。何個出荷されたのか」と聞かれると、担当課長は「細かなことはわからない」と繰り返すばかり。問題の全容を詰め切れないままの発表だった。
 一連の問題の発端は、「(06年)11月7日消費期限の牛乳4ロット分を11月8日に使用した」との社内告発があったことだ。同社は11月中にこの事実を把握し、対策会議まで開いていた。
 ここで幹部は二つの判断を誤った。
 一つは公表を見送ったことだ。「公表すべきだ」と言う幹部はいなかったという。11日の1回目の記者会見での発表は、マスコミ報道に押されてのものだった。
 同社はここ数年、少子化などの影響で業績不振が続き、昨年5月に発表した2カ年計画で、再建に取り組んでいるさなかだった。食品業界は、雪印乳業食中毒事件、牛肉偽装事件などで、速やかな情報公開が企業の生命線になることを学んでいたはずだった。
 コンプライアンスの専門家は「速やかな公表は、会社の信用を維持し、損害の拡大防止とするための経営者の義務でもある。不二家は過去の教訓を生かせず、公表の重要性を認識していなかったのだろう。クリスマス商戦だったこともあったかもしれないが、判断が鈍いという印象だ」と指摘する。
 「内部告発者の保護など、隠蔽(いんぺい)体質を解消するための具体策はないのか?」。15日の会見でこう質問されると、藤井社長は「社員の倫理観に頼るしかない」と抽象的な答えにとどまった。
 もう一つは調査不足だ。昨年11月、社内で問題が発覚してから、調査を担当したのは構造改革プロジェクトチーム。しかし、2カ月かけて確認できたのは期限切れ牛乳やリンゴ加工品の使用のみだった。
 15日に明るみに出た新事実は、同社が13日から、埼玉、札幌など5工場でヒアリングや記録のチェックなどをして判明したものだった。当初から、調査対象を広げたり、徹底した調査をしたりすれば、不信の拡大は防げたかもしれない。

・2007.01.15 不二家社長が辞任を表明 期限切れ使用、新たに18件
・2007.01.15 大手スーパーやコンビニ、不二家商品の販売見合わせ
・2007.01.14 東急ストア、不二家商品を撤去
・2007.01.12 不二家の5工場に自治体が立ち入り検査 期限切れ問題
・2007.01.12 細菌基準10倍で出荷 不二家、社内連絡が不徹底
 同社によると、昨年6月8日に製造したシューロールの細菌検査で、食品衛生法が定める基準の約10倍、同社の自主基準の約100倍にあたる細菌数を検出した。本来は再検査のあと廃棄しなければならなかったが、検査結果の社内での連絡が不徹底だったため、113本が出荷されたという。同社はほかにも、アップルパイ製造の際に賞味期限が過ぎた材料を使ったことなども明らかにした。
 シュークリームについては、定年後にパート社員として再雇用された元菓子職人が原料の仕込みを担当していた。社内調査に対して「期限切れの牛乳でも自分で色やにおい、味によって品質を確認できると思っていた」と話しているという。関口宏記生産部長は会見で「ベテランの甘さがあった」と説明した。
 シュークリームの製造ラインは牛乳を大量に使用することから、別の菓子製造ラインから余った牛乳が回ってくることもあったという。同工場は環境保護を理由に牛乳を排水溝に流すことを禁じる半面、具体的な廃棄方法は定めていなかった。
 同社は昨年11月には事実を把握しており、社内の対策会議では「マスコミに発覚すれば(集団食中毒事件を起こした)雪印乳業の二の舞いとなる」という文書が配られていた。藤井林太郎社長は「ことの重大さを伝えるための表現で、隠蔽(いんぺい)するつもりはなかった」と釈明した。

・2007.01.11 「社内対応に気を取られ意識及ばなかった」と不二家社長
 「11月の時点で問題が発覚していたのに今になって公表した。隠蔽(いんぺい)する意図があったのでは」などとの質問が浴びせられると、藤井社長は「社内の対応策に気を取られて意識が及ばなかった。考えに甘さがあった」とうつむいた。

・2007.01.11 不二家、全店で洋菓子販売休止 期限切れ牛乳使用が判明
 大手菓子メーカーの「不二家」(本社・東京)が昨年10月から12月にかけて、消費期限が切れた牛乳を使ってシュークリーム約1万6000個を製造し、関東などに出荷していたことが分かった。同社は事実を把握した後も、公表や回収の呼びかけをしなかった。一部報道で表面化したことを受けて11日に記者会見し、当面、全国約800の直営店・フランチャイズ店で洋菓子販売を休止すると発表した。


■読売新聞
・2007.01.20 不二家埼玉工場 マニュアルあった

 県保健医療部によると、11日の1回目の臨時立ち入り検査で、工場側はマニュアルについて「無い」と答えていたが、17日の検査でマニュアルがあることを確認した。工場側は「(1回目の検査時に)答えた担当者の勘違い」と説明しているという。県は1回目の検査の際、焦点となっていた「シュークリームのマニュアルは無い」との意味で答えた可能性があるとみて、さらに工場側に事情を聞く考えだ。
 確認された食品衛生マニュアルには、〈1〉牛乳などの保存温度や日付管理〈2〉細菌についての検査結果の記録管理や基準値を超えた場合の措置〈3〉商品の表示に誤りが発生しないための管理体制――など43項目にわたって、細かく規定が記されていたという。
 このほか、昨年12月4日の通常の立ち入り検査の際、補修を指導していた作業室内の壁や天井の穴やひびについては、17日の検査でも補修が完了していなかったという。さらに作業工程ごとにあるべき手洗い施設の不足も改善されていなかった。

・2007.01.20 不二家埼玉工場、期限切れ材料使いアップルパイを出荷
 埼玉県は19日、不二家の埼玉工場(埼玉県新座市)で賞味期限が今月4日に切れた加工原料を使用したアップルパイを翌日作り、出荷していた可能性があると発表した。
 埼玉工場で不適切な製品の製造が確認されたのは33件目。

・2007.01.19 不二家札幌工場、細菌数確認せず出荷…昨年13件保健所調査
 札幌工場(札幌市)では、検出された細菌数をきちんと記録しないまま出荷したケースが13件あったことが19日、札幌市保健所の調査で分かった。同工場では検査で細菌数が不明の場合、「無限」と記録していた。同市では、「どういう意味か分からず、あまりにも不適切な記録方法」として改善を指導した。
 札幌市保健所が、札幌工場で昨年1年間に実施した356検体の検査結果を調べたところ、検出細菌数が「無限」とだけ記され、具体的な数値の記載がない例が3件判明。検査ミスでデータがない例も10件あり、計13件が、1グラム当たりの細菌数が10万個以下という国の基準を満たしているかどうか不明のまま、出荷されていた。

・2007.01.19 不二家・泉佐野工場、埼玉向けのみ消費期限刻印せず
 調査に対し、泉佐野工場長は「埼玉工場長の依頼を受けて相談し、無印のまま搬送することにした。埼玉工場で消費期限を刻印する際、社内基準(製造日を含め5日間)より1日か2日長く表示されることも知っていた」と証言した。

・2007.01.19 シュークリーム期限延ばし出荷「不二家本社も了解」…泉佐野工場長証言
 「洋菓子のヒロタ」(本社・神戸市)は、24時間後の段階で、細菌が増えていないか仮判断しているほか、「細菌数が1グラム当たり1万個を超えたら回収する」という社内基準を設けている。「銀座コージーコーナー」(本部・東京)も24時間後にチェック。回収の基準は「1万個超」としている。また、「シャトレーゼ」(本社・甲府市)は細菌数が1グラム当たり500個超、「モンテール」(同・東京)は300個超で、製造ラインや原料の衛生状態を見直し、原因を調べる。
 各社の品質担当者は、不二家埼玉工場のシューロールから「640万個」という突出した細菌数が検出されたことについて、「消費期限を1日過ぎた牛乳を使ったぐらいでは出ない数値」などと話す。
 宮本敬久・九州大大学院教授(食品衛生化学)は「生野菜では、古くなると1000万個という時もあるので、細菌数が多いからすぐ健康被害につながる訳ではない。ただ、洋菓子は栄養が豊富なため、管理を間違えると細菌が増殖するおそれがある」と指摘。厚生労働省は「温度管理や原料の衛生管理が悪いのでは」と語る。

・2007.01.19 不二家の泉佐野工場も期限“偽装”…「本社了解」
 同社では、製造量不足を補うため、工場間で製品をやりとりすることがあり、泉佐野工場長は府に、「製造日を含め6日間は安全と考えていた。搬送に1日程度かかるため表示を1日長くしていた。本社も了解していた」と話しているという。

・2007.01.19 不二家札幌工場、細菌数確認せず出荷…「無限」記録も
 こうした検査実態について、同保健所では「検査結果を『無限』とだけ記すような例は聞いたことがない。検査体制も不十分だった」と指摘している。
 保健所の調査と会見での発表内容が食い違っていることに対し、不二家では「会見での説明が不十分だったかもしれない。現在、調査している」と話している。

・2007.01.19 チョコ製品「B」にガの幼虫、製品回収せず…不二家
自主回収や公表しなかった点については、「当社のマニュアルにのっとって対応したが、不快な思いをかけて申し訳ない」としている。

・2007.01.19 不二家、泉佐野工場でも期限延ばし出荷…本社も承知
 泉佐野工場の工場長は府の調査に対し、「本社も了解していた」と話している。同社の製造・販売を巡る不正に、本社が関与していたことがわかったのは初めて。
・・・
 さらに、06年10月22日~24日の3日間、同様の表示をしたシュークリーム計約1万4600個を埼玉工場から納入し、関西を中心に北陸や中国、東海地方の小売店などに販売していた。これらの不正について、泉佐野工場の工場長は、「本社も了解していた」と話した

・2007.01.18 不二家が全面減産、一部は半分程度に
 商品によっては通常の半分程度まで生産を縮小したという。既に製造を停止している洋菓子に加え、他の製品も減産することは、経営に大きな影響を与えるとみられる。
 不二家は「菓子」を平塚工場(神奈川県)、秦野工場(同)、富士裾野工場(静岡県)の3工場で製造し、飲料は外部工場などに生産委託している。問題が発生した埼玉工場を含め、洋菓子を製造する5工場は操業を停止しているが、「菓子」や飲料については工場の操業自体は続ける。今後は、スーパーなどの販売中止の状況などに基づき生産量を調整するという。

・2007.01.18 農水省、不二家本社など3か所に立ち入り検査
・2007.01.17 不二家、ケーキでも期限切れ原料使用
 今回の報告書では、11日の立ち入り検査時に問題が判明していて説明を求められた〈1〉シュークリーム〈2〉アップルパイ〈3〉プリン〈4〉シューロールの4品目について回答。「生産計画の変更等でだぶついた牛乳がシュークリーム生産部署に回され、期限切れが生じた」などと説明し、「従業員に規定順守の重要性を教育し、認識させる」などの対策を記すにとどまった。
 15日の本社記者会見で明らかにされた賞味期限切れのブルーベリージャムなどについては盛り込まれていなかった。

・2007.01.17 厚労省、不二家社長に情報提供要求…農水省も遺憾の意
・2007.01.17 埼玉県、不二家埼玉工場に2度目の立ち入り検査
・2007.01.16 不二家支えたフランチャイズが悲鳴「裏切られた」
 不二家は1963年にフランチャイズ制を導入した。今では不二家の店舗894店のうち、707店がFC店で、不二家製品の販売の中心的存在だ。だが、今回の不祥事でレストランなどを除く700店が休業。全休業店舗(797店)の9割近くを占める。
 休業に追い込まれた東京都内の男性店主(50)は、「不二家は、夢を売る会社なのにこんなことになってしまったとは」と嘆息する。親の代にFC契約を結んですでに38年。常連客も多く、「『幼いころ、誕生日に不二家のケーキを食べたなぁ』というお客さんの大事な思い出まで汚してしまった」と自分の責任のように感じている。休業した11日には洋菓子1000個以上を廃棄した。
 それでも、15日の社長辞任会見後、客から励ましの声をかけられた。不祥事発覚後、約20の個人や企業から受けていた誕生日ケーキの予約をキャンセルしてもらったが、「3人のお客さんと3つの企業は『お店が悪いんじゃない。営業再開まで待つよ』と言ってくれた。本当にありがたい」と語る。
 今、気になるのは不二家の対応だ。「今だったらお客さんも許してくれるかもしれないが、別な問題が見つかったら、次はもうない」
 東京都内の別のFC店。買い物客でにぎわう商店街で、ぽつんとシャッターを下ろしたままだ。FC店となって30年近くたつという男性店主(65)は、15日の会見を聞き、「これで営業再開も全くの白紙になってしまった。FC店に休業補償をするというが、不二家自体がどうなるか」と危機感を募らせる。

・2007.01.16 不二家、消費期限切れ問題で埼玉・川口保健所に報告書
 同保健所を訪れ、報告書を提出した埼玉工場の広門昭男工場長は取材陣に、「今週中に品質管理マニュアルを整備し、来週中にも再稼働できる体制整備を目指したい」と語った。

・2007.01.16 不二家の消費期限切れ原料使用、ケーキなど8品目も
同工場で、2004年6月から06年10月までの間、プリンやシュークリームの消費期限を社内基準より1日長く表示していた問題では、この間の3代にわたる工場長が、いずれもこの事実を認識していたことが判明した。

・2007.01.16 不二家の全商品撤去、中堅スーパーやコンビニでも
・2007.01.16 不正拡大 不信増大…不二家
工場長「私も容認」
 またも組織ぐるみの背信行為だった。菓子メーカー「不二家」が15日、新たに公表した社内調査結果では、工場全体で不正が受け継がれていたことが判明。問題発覚の端緒となった埼玉工場(埼玉県新座市)の工場長は取材に対し、社内の基準超過を容認したと認め、「品質的に問題ないと判断した」と弁明した。
・・・
 ■工場、販売店
 埼玉工場の広門昭男工場長は15日、プリンなどで消費期限が社内基準より1日長く表示されたことについて、読売新聞の取材に「(昨年10月に)私が工場長に就任してからも、社内基準の超過を容認していた」と話した。その上で、「本社の指示ではない。味の確認や細菌検査の結果、自ら品質的に問題はないと判断してしまった」と説明した。
 操業がストップしている同工場では、15日夕、従業員らが硬い表情で退社し、会社の今後を心配する声が漏れた。
 アルバイトの20代男性は、「操業を中止してからは掃除ばかり。アルバイトの身分なので雇用が継続されるのか心配だ」とうつむいた。契約社員として10年間働いているという30代男性は、「期限切れの原材料を使っていたなど、今回初めて知った。雪印の二の舞いにならなければいいが……」と足早に工場を後にした。
 全国約800店に上る直営・フランチャイズ(FC)店も休業が続く。父の代から約30年営業しているという東京西部のFC店の店長(24)は15日、社内調査結果をファクスで受け取った。「幼いころから不二家に育ててもらったようなものだが、今回の不祥事は許せない。工場長まで不正を黙認していたなんて」と憤る。

・2007.01.16 不二家社長が辞意表明、期限切れ新たに18件
 同社は、不正は「組織ぐるみと言われかねない、そう認識される件があった」(藤井社長)として、12日付で「生産対策委員会」を設け、安全管理体制を総点検している。埼玉工場を含むすべての洋菓子工場で原料期限管理帳票の記入方法を見直し、二重チェックから三重チェックに変更したほか、チョコレートなどの菓子工場でも調査を進める。

・2007.01.16 不二家、苦境に拍車 休業店補償週1億
森永「要請あれば支援」
 大手菓子メーカー、不二家の第2位株主で約4%を保有する森永製菓の首脳は15日夜、記者団に対し、不二家の生産管理やコンプライアンス(法令順守)体制構築について、「当社から能動的に働きかけることはないが、(不二家から)要請があれば考える」と述べ、支援の用意があることを明らかにした。
 不二家は顧客離れが深刻化しているが、森永首脳は「菓子業界の人間として、できれば再生して欲しい」とも述べた。ただ、不二家株の追加取得には慎重で、事業の部分的取得にも「(両社には)部門の重複が多い」と、否定的な見解を示した。

・2007.01.15 不二家のISO認証「非常に問題」と経産次官
 経済産業省の北畑隆生次官は15日の記者会見で、不二家が、品質・環境管理の国際規格「ISO」の認証を受けていたことについて、「非常に問題がある」と述べた。
 さらに、企業などにISOを付与する民間の認証機関を認定する団体である「日本適合性認定協会(JAB)」に対し、どこに問題があるのか調べるよう要請したことを正式に明らかにした。

・2007.01.15 1月15日付・よみうり寸評
 「ツケの大きさはだいたい、予兆や事実を無視したり、隠したりして、得をしたつもりになっている金額の300倍くらいになる」◆「失敗を隠そうというときは、発覚したら、多大なツケを払わなければならないことを覚悟しておかなければならない」ということ。〈失敗学の法則〉(畑村洋太郎)でも基本的なことの一つだ

・2007.01.14 1月14日付・読売社説(2)
 少子化に伴う消費の伸び悩みや、輸入菓子の攻勢などで、洋菓子業界は業績が低迷している。不二家の洋菓子部門も2003年3月期から営業赤字が続く。
 コスト削減が重圧となり、生産現場で安全性への対応が後回しにされていたのではないか。コンプライアンス(法令順守)体制の不備も指摘されよう。
 さらに問題なのが、報道で発覚するまで、不二家が一連の不祥事を公表しなかったことだ。
 「マスコミに漏れた時点で経営危機、経営破綻(はたん)は免れない」「発覚すれば雪印乳業の二の舞いとなる」。社内調査グループによって、そんな内部資料が作成され、社長らに報告されていた。
 これは“隠蔽の勧め”ではないのか。藤井林太郎社長は「そういうことは一切ない。事実の把握と改善を優先した」と釈明するが、説得力はない。

・2007.01.13 経産省、不二家のISO臨時審査を要請
 また、不二家は11日の会見で、「埼玉工場はISO認証を受けており、廃棄物が一定量を超えると、是正報告書を書かなくてはいけないため、(消費期限切れの牛乳を)捨てづらかった面もあったようだ」と釈明した。この点についても、協会は「ISOは、品質管理や環境への配慮を目的としているのに、体裁を整えることを優先しては本末転倒」と事態を重く見ている。

・2007.01.12 不二家 社内調査の警告放置
 昨年11月、発覚すれば7年前に集団食中毒事件で業績が大きく落ち込んだ雪印乳業と同様の事態に陥ると、社内調査の報告で警告されていたことが分かった。同社はずさんな管理体制を認識しながら、公表の検討すらしていなかった。
 社内調査の結果は、昨年11月、藤井林太郎社長ら同社幹部に報告された。配布資料には、「消費期限切れ原料の使用がマスコミに発覚すれば、雪印乳業の二の舞いとなることは避けられない」と記述されていた。しかし、同社では、この時点で問題の商品はすべて販売・消費されていることから、公表を検討しなかった。
 藤井社長は11日の会見で、調査結果を公表しなかったことについて「事実確認や工場の改善を優先した。反省している」と釈明。問題の発覚時期はクリスマス商戦の直前だったが、同社は「隠ぺいの意図は全くなかった」と強調した。健康被害に関する苦情などは寄せられていないという。
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一連の問題は、2010年の創業100周年を前に事業の見直しを進めるため、同社が昨年9月から実施している社員と社外のコンサルタント会社の合同調査で発覚。シュークリームの材料となる牛乳の消費期限チェックは本来、複数の従業員で行っているが、期限切れの牛乳が使われた日は、現場に1人でいたベテラン従業員が「もったいない」と判断して使ったという。同社は「同じようなことが以前も行われていた可能性がある」としている。また、国の基準の約10倍に上る細菌数が検出された洋菓子「シューロール」については、現場の担当者が検査の数値を見落とし、上司も気づかないまま出荷されてしまったとみられる。
 社内調査の対象となった埼玉工場(埼玉県新座市)は、洋菓子5工場のうち最も規模が大きく、モデル的な工場。調査では、03年から昨年にかけ大量のネズミが発生し、1か月に50匹捕獲されることもあるなど衛生上、大きな問題となっていたことも分かった。
 合同調査チームはこれらの点について、「マスコミに漏れた時点で、経営危機あるいは経営破綻(はたん)は免れない。至急対策すべき重大事項」「消費期限切れ原料の使用がマスコミに発覚すれば、雪印乳業の二の舞となることは避けられない」と指摘していた。一連の問題を受け、同社は11日以降、5工場をすべて操業休止して品質管理体制の確認などを進める。同社は「操業再開には少なくとも1週間はかかる」としている。

・2007.01.11 期限切れ牛乳使いシュークリーム…不二家
2000個出荷
 大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京都)が昨年11月、消費期限が1日過ぎた牛乳を使ったシュークリーム約2000個を出荷していたことがわかった。
 同社は製造5日後に社内調査で事実を把握していたが、「出荷時の抜き取り検査で細菌が検出されておらず、消費者からの苦情もなかった」などとして、公表も回収もしなかった。
 同社によると、昨年11月8日、埼玉県新座市の工場で、担当者が「もったいない」と期限切れの牛乳を使用しシュークリームを製造。1都9県の小売店などへ出荷された可能性がある。


■毎日新聞
・2007.01.20 不二家:ビスケットに金属片--大阪

 不二家が調べたところ、金属片はブリキ缶の破片で、長さ約5ミリ、幅0・06ミリの針金状。同社は「作業時に原料の卵を入れていた一斗缶をぶつけるなどして発生した金属片が混入したとみられる」としている。

・2007.01.20 不二家:札幌工場、細菌数を確認せず出荷 神奈川・平塚工場製のチョコにガの幼虫
・2007.01.20 不二家:静岡・富士裾野工場で虫死がい混入
・2007.01.20 不二家:期限切れ原料使用 森永、菓子部門の支援を本格的に検討 山崎製パンも意欲
 一方、山崎製パンは、すでに品質管理の助言に応じる用意があることを不二家側に伝えており、要請があれば出資も検討する見通しだ。山崎は子会社のヤマザキナビスコなどを通じ菓子製造も手がけており、05年12月期の連結売上高は約7400億円。06年に東ハトを買収するなど経営規模の拡大に意欲的で、連結売上高を1兆円にする計画がある。
 関係者によると、山崎は12日に不二家側と接触し、自社工場で採用している安全基準を紹介し、15日に説明に赴く予定だった。しかし、15日は不二家の藤井林太郎社長が辞意を表明するなど社内が混乱していたためか、不二家側が辞退し、面会はまだ実現していない。
 山崎製パン首脳は毎日新聞などの取材に、不二家の品質管理体制が改善されたうえで不二家側から出資要請がある場合には、「ノーと言うわけでもない」と述べた。

・2007.01.19 不二家:期限切れ原料使用 経営再建策を策定へ--森永が関心
・2007.01.19 不二家:期限切れ原料使用 「外食」再建も不透明に 新会社設立を当面延期
・2007.01.19 不二家:期限切れ原料使用 国・自治体、隠ぺい体質を批判 厳しい処分も
 国や自治体が問題視するのは、不二家の隠ぺい体質だ。埼玉工場では、県の最初の検査で提出されなかったマニュアルや記録簿が2度目の検査では見つかり「記録がない」と繰り返した15日の会見との矛盾が露呈した。
 工場の営業停止や営業許可取り消しなどの処分権限を持つのは都道府県知事。上田清司・埼玉県知事は「食の安心が(社会全体の)テーマになっている。このことを隠したのが致命傷だった」と指摘、検査結果次第で厳しい処分も辞さない構えだ。

・2007.01.19 不二家:東京都が常務取締役ら事情聴取
・2007.01.19 不二家:大阪の工場でも不正 プリン、期限表示せず埼玉へ--本社了承
・2007.01.18 不二家:行列「ペコちゃん焼」販売休止 「社長会見で不信」--飯田橋神楽坂店
 ペコちゃん焼は67年から販売が始まり、最近は同店だけが扱っていた。「原材料は店で直接調達し、この場で焼いている」と販売を続け、行列ができるほどの人気となっていた。
 しかし、16日になって同店を紹介するホームページ上に、ペコちゃん焼の「販売休止」が掲載された。店主は「ペコちゃんキャラクターが、皆様に安心して迎えられる日が早からんことを祈りつつ、ふたたびお目見えする日まで閉店する」と結んでいる。

・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 農水省、本社など3カ所の立ち入り JAS法抵触の恐れ
・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 ミルキーなど一般菓子も減産--3工場で検討
・2007.01.18 不二家:「一般の菓子は問題ない」 ホームページ上で呼びかけ
 不二家製品の撤去の動きが小売り各社に広がる中、洋菓子だけでなく「ミルキー」や「ネクター」など一般の菓子・飲料にまで広がる不信感を沈静化したい狙いだが、既に多くの小売店が不二家製品の取り扱いをやめており、効果は不透明だ。
 ホームページでは、菓子や飲料の「安全性の根拠」として、国際標準化機構が定める品質保証の国際規格「ISO9001」の認証を取得している工場で生産したことを挙げている。
 ただ、ISO認証については「万全を期すための措置として早急に第三者の外部審査を臨時に受ける」としている。実際に審査が始まる時期などは未定という。

・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 問題受け、加盟全社に点検要請--菓子協会
・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 行動規範は「逃げず、隠さず、偽らず」
「逃げず、隠さず、偽らず」の理念はどこへ?
 消費・賞味期限切れ原料の使用などが明らかになった不二家が、情報公開や法令順守を強調した「行動規範」を02年11月に作成していたことが17日分かった。藤井林太郎社長から同日事情を聴いた農林水産省は、公表遅れなど不二家の行為を「行動規範から逸脱」と批判した。
 行動規範は、雪印食品の牛肉偽装事件(02年)を受けて農水省が全食品企業に自主的な作成を求めた。不二家の規範は前文で「『逃げず、隠さず、偽らず』をモットーに行動するようお願いします」と社員に呼びかけ。「お客様に安心と満足をお届けできるよう努めます」など6項目を宣言している。
 藤井社長は17日、農水省に“おわび行脚”で訪れた際、記者団の質問に一言も答えず、振り切ってエレベーターに乗り込んだ

・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 神奈川の製造部、知事表彰を辞退
・2007.01.18 不二家:食中毒公表せず 95年、大阪・泉佐野の工場で製造
・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 正確な情報提供、藤井社長に要請--厚労省
・2007.01.18 不二家:期限切れ原料使用 埼玉工場で県、新たな記録簿確認
 埼玉県は17日、不二家埼玉工場(新座市)に2度目の立ち入り検査を行い、11日の検査で提出されなかった「食品衛生マニュアル」や各種記録簿を確認した。

・2007.01.17 不二家:期限切れ原料使用 埼玉工場、県が再び立ち入り
・2007.01.17 不二家:期限切れ原料使用 サッポロ飲料、不二家の飲料撤去 販売契約解消も
不二家製飲料を委託されて販売しているサッポロ飲料は16日、同社の自動販売機を設置している個人商店などで不二家製品を撤去する動きが全国的に広がっていることを明らかにした。サッポロ飲料自身も、不二家が不祥事を小出しにする不誠実な対応を続けた場合、販売契約の解消に踏み切る方針だ。

・2007.01.17 不二家:期限切れ原料使用 窮地、スーパー・コンビニ撤去ドミノ拡大
・2007.01.17 不二家:期限切れ原料使用 使用継続、11月に問題把握後も3件
 同社が同工場の従業員138人に行った聞き取り調査によると、最近では今月5日、消費期限を1日過ぎた生クリームを「マンハッタンショート」に使用。昨年12月下旬には、いずれも賞味期限切れ(超過日数は不詳)のブルーベリージャムを「ブルーベリータルト」、チョコビッツを「アニバーサリーモンブラン」に使ったという。
 全体では、期限切れ原料は▽牛乳4件▽生クリーム5件▽冷凍加糖卵黄2件▽生卵黄2件▽卵▽生卵白▽ブルーベリージャム▽チョコビッツ▽アップルフィリング各1件。期限切れの日数は「1日」が10件、「不詳」が8件。
 18件はいずれも別々の従業員によるものだった。また、15日の記者会見では、2件で上司の指示があったとしていたが、16日の発表では、うち1件は「上司」ではなく年長の従業員が指示したと改めた。

・2007.01.17 不二家:期限切れ原料使用 「細菌は社内検査クリア」 埼玉工場長が説明
 不二家埼玉工場(埼玉県新座市)が消費期限切れの原料を使ったシュークリームなどを製造していた問題で、広門昭男同工場長(53)は16日、消費期限切れ牛乳使用の事実を把握後も回収などの措置を取らなかった具体的な経緯について「(社内検査の結果)細菌的に安定的な状態と確認して容認した」と明らかにした。報告書提出のため訪れた川口保健所(同県川口市)で記者団に語った。埼玉県は報告書を精査し、17日午前に同工場を再び立ち入り検査する方針。
 広門工場長によると、問題のシュークリームは昨年11月8日に同工場から出荷。社内検査の結果について9日と10日の2回にわたって報告を受けたが、細菌の量などが社内の基準をクリアしていたため問題ないと判断したという。プリンなどの消費期限を社内基準より1日長く表示したことについては「一部でそうしたことがあったとは聞いていた」と述べた。また「コストと安心安全のバランスが崩れた。コストを優先することがあったかもしれない」と話した。
 操業停止中の工場については「なぜこういうことが起きたのか全員で話し合っている」と説明。新たな品質保証体制について、今週中をめどに文書にまとめる考えも示した。

・2007.01.16 不二家:期限切れ原料使用 農水省、JAS法違反の有無調査
・2007.01.16 不二家:札幌工場・細菌検出 国のマニュアル無視、生イチゴ除かず検査
 生のイチゴを除去しないで検査した場合、細菌数が多く出やすく、札幌市保健所は「この方法では多い数値が出て当然で、検査の意味がない」と指摘。15日、浅野敏工場長らを呼んで、国の基準に沿って検査するマニュアルを整備するよう指導した。

・2007.01.16 不二家:期限切れ原料使用 ファミマ、商品撤去--サークルKサンクスも
・2007.01.16 不二家:期限切れ原料使用 埼玉工場で18件、新たに判明 社長が辞任表明
11日の記者会見では「ベテランの男性パート社員がにおいなどで判断して使っていた」と答えていたが、今回は複数の従業員から同様の証言があり、同工場内で常態化していた疑いが強まった。
 また、プリンとシュークリームの消費期限を社内基準より1日長く表示する行為は04年6月以降「頻発していた」と言い、工場長や生産管理課長など工場幹部も容認して組織的に行われていた。
 札幌工場では、社内規定に「細菌検査の結果は工場長が最終確認して(回収などを)指示する」と明記されているにもかかわらず、出荷停止や回収の処置を取っていなかった。埼玉以外の工場でもずさんな管理が明らかになったことから、同社は、聞き取り調査の対象を埼玉、札幌、栃木、大阪、九州の5工場に加えてグループ会社が運営する山梨、山形の2工場でも実施する。

・2007.01.16 クローズアップ2007:不二家社長辞任表明 不正、工場ぐるみ
 ◇衛生規定、現場で無視 経営監視弱く、出荷重視のツケ
 埼玉工場で、新たに判明した18件の消費・賞味期限切れ原料使用のうち、2件は上司の指示で使用したものだった。また、プリンとシュークリームの消費期限を1日長く表示した事例は、04年6月以降「頻発」しており、現場担当者から製造課長、生産管理課長、工場長と関係者全員が表示を容認していたという。いずれのケースも工場ぐるみのずさん管理の疑いが強まった。
 「倫理観が薄かった。組織ぐるみと言われかねないケースがいくつもあった」。藤井社長は15日の会見で、こう謝罪した。企業の体質そのものが問われることになったが、会見でも、その原因についての詳しい説明はなく、不祥事の背景は明らかにされなかった。
 札幌工場で判明した基準を上回る細菌を検出した洋生菓子の出荷は、同様の事例が埼玉工場でも判明している。06年6月に出荷した「シューロール」678個で、食品衛生法の基準の60倍以上の細菌を検出。両工場とも工場長による回収指示はなく、社内規定は工場ごとの判断で無視された形になっていた。
 両工場に共通するのは、製造作業を担当する現場の従業員にとって重要なはずの「食品衛生マニュアル」が「運用の段階できちんと生かされていなかった」(同社幹部)こと。多量の細菌検出など大きな問題が生じても、現場の判断で処理され本社の経営陣の耳には届いていなかったようだ。

・2007.01.16 不二家:期限切れ原料使用 社長辞任表明、「同族」弊害指摘も
 「長年築き上げた伝統、ブランドを失って残念」。藤井社長は辞任表明の会見で、1910年の創業以来、藤井一族で守ってきた不二家ブランドを失墜させた責任に触れ、深々と頭を下げた。
 近年、牛肉偽装事件を起こした日本ハムやガス給湯器の不具合で死亡事故を起こしたパロマ工業など、経営トップを創業家が務める企業の不祥事が続いている。
 不祥事以外でも、経営陣による自主買収(MBO)を実施して上場廃止となったすかいらーくのように「同族企業は時代の変化に対応しきれていない」(証券大手)という厳しい声が上がっている。
 食品業界では、同族企業の弊害について「トップの経営判断について意見が言いにくい」(ビール大手)、「社内の風通しが悪くなる」(食品卸)などの指摘がある。ただ、同族企業で非上場のサントリーは、社内の全部署に法令順守担当者を設置。「日常から品質管理や法令順守の重要性を意識できる風土」(同社幹部)を作っており、一概に同族企業の持つ弊害を指摘することは難しい。
 藤井社長も会見で「同族会社ということが法令順守の欠如につながるとは考えていない」と説明。後任社長の人選についても「同族であるかどうかは、現時点ではお答えできない」と述べ、取締役の2人に名を連ねる従兄弟(いとこ)を起用する可能性に含みを持たせた。

・2007.01.16 不二家:期限切れ原料使用 社長辞任表明(その2止) 背信7年に怒り
 ◇消費者「もう食べない」
 「信じられない。もう食べない」。7年にも及ぶ裏切り行為に、消費者から一斉に怒りの声が上がった。対応に追われるフランチャイズ店関係者は「組織ぐるみ」にショックを隠さず「早く販売を再開したいのだが……」と頭を抱えた。
 札幌市中央区の不二家レストラン札幌店で、洋菓子販売自粛の張り紙を見ていた同市東区の主婦(59)は「細菌だのネズミだのなんて冗談じゃない。もう食べない。隠ぺいまでして雪印(乳業の事件)と同じ」と憤った。
 閉店中の数寄屋橋店(東京都中央区)前では、買い物客らが立ち止まりシャッターにはられた「おわび」に見入った。千葉県船橋市の学生、萬年聡未(さとみ)さん(19)は「辞任は当然だが説明は不十分。販売が再開されても買わない」と手厳しかった。
 「ケーキが高価だった子供時代から、あこがれのお店だった」という愛知県江南市の自営業、堀田とよ子さん(61)は「どうして7年間も不正に気が付かなかったのか信じられない」と嘆いた。
 ◇「再開したいが」--不安募るFC店
 フランチャイズ店からも怒りの声が上がった。
 名古屋市の女性経営者は「『買ったシュークリームを返品できるのか』という電話がかかってきた。賞味期限切れの商品を長い間卸していたのはショック。今は早く再開したいとしか言えない状態」と不安げな表情。大阪府内の女性店主は「不二家には愛着がある。信頼回復は時間がかかるだろうが、こつこつとやっていくしかない」と話した。

・2007.01.16 不二家:期限切れ原料使用 社長辞任表明(その1) ずさん、苦い代償
 ◇「倫理観、薄かった」--社長、言葉詰まらせ
 「倫理観が薄かった。事態は深刻だ」。大手菓子メーカー「不二家」が消費期限切れの牛乳を使用していた問題は15日、発覚からわずか5日で、藤井林太郎社長の辞任表明へと発展した。細菌に汚染され、回収しなければならない洋生菓子を繰り返し出荷していたことも明らかに。商品を撤去する大手スーパーやコンビニエンスストアも大幅に増え、「ペコちゃん」で親しまれてきた老舗は窮地に立った。【渡辺暖】
 「組織ぐるみと言われても仕方がない。上司の指示もあった。違反は頻発していた」。午後3時、東京・銀座の不二家本社で藤井社長らが会見に臨んだ。有名菓子メーカーの不祥事に対する関心の高さから、100人以上の記者が詰めかけた。会見は2時間40分の異例の長さに及んだ。
 藤井社長は冒頭から、顔を紅潮させ、埼玉工場(埼玉県新座市)で新たな消費期限切れの牛乳使用が分かったことや、札幌工場でも基準を上回る細菌を検出していたことを明かす。続けて「私は責任を取り、辞任したい」と、幹部社員と一緒に頭を下げた。
 「必死の覚悟」「ご理解を」「伝統のペコ人形のように、皆様に笑顔を送りたい」。メモを手に、言葉を詰まらせながら続ける藤井社長に、会見場は静まり返った。
 ところが、消費期限切れの材料を使った経緯や関与した社員の人数など、事実関係を確認する質問には「調査中なのであいまいなことは言えない」「従業員からのヒアリングの内容が手元にない」と繰り返した。記者からは「そんなあいまいな情報で発表しているのか」と厳しい声も。
 会見開始から1時間以上が経過したころ、札幌工場で洋生菓子から基準以上の細菌が検出されていたことに関して質問されると「回収や出荷停止にしなかったのは問題だった」と初めて深刻な事態だったことを明かした。「モラルの低下で出来なかった」と謝罪するものの、会見は「重要事実」が小出しになるためズルズルと長引くだけで、実態解明とはほど遠い内容となった。

・2007.01.15 不二家:洋菓子販売休止の中、ペコちゃん焼は人気健在
・2007.01.15 不二家:期限切れ牛乳、パートに押し付け 他部署の余り、廃棄許されず
関係者によると、同社は季節や連休などによる変動要因を元に各商品の需要を予測し、それに見合った量の材料を仕入れている。ところが、昨年10~11月ごろには商品の需要が予測を大幅に下回り、埼玉工場の牛乳が大量に余ってしまった。このため、牛乳を最も多く使用するシュークリームの製造ラインに、他の部署から余った牛乳が集中した。牛乳を受け取ったのは、正社員や契約社員に比べて社内での立場が弱いパート従業員だったという。
 埼玉工場は野木工場(栃木県)などとともに、環境マネジメントシステムの国際規格である「ISO14001」を取得し、廃棄物削減に取り組んでいる。廃棄物が増えると是正方法を報告することが義務付けられており、この報告義務が従業員へのプレッシャーになっていた面もあった。
 さらに、牛乳が余っても廃水処理場に流してはいけないという社内ルールがあったにもかかわらず、牛乳の廃棄方法を明確に決めていなかった。同社は「牛乳が余ることを、そもそも想定していなかった」といい、今回の問題を受けて牛乳の廃棄場所を新たに定めた。

・2007.01.15 不二家:期限切れ原料使用 ISO認証、不適合も 経産省が調査依頼

・2007.01.14 不二家:ミルキー撤去も 製品販売停止、洋菓子以外に拡大
・2007.01.14 不二家:期限切れ原料使用 数年前も期限切れ卵使用、従業員証言 常態化の疑い

これまで判明した管理不備の事例は、いずれも昨年の出荷分だったが、新たに明らかになった消費期限切れの卵使用は数年前で、少なくとも数年間はずさんな管理が行われていた疑いが濃くなった。

・2007.01.14 不二家:期限切れ原料使用 問題発覚後、腹痛や嘔吐など被害の苦情数件

・2007.01.13 不二家:洋菓子販売休止 フランチャイズ707店に休業補償
・2007.01.13 不二家:期限切れ原料使用 自治体が工場検査、不備相次ぎ見つかる

 不二家の期限切れ原料使用問題で11、12の両日、同社の全国5工場に対して食品衛生法に基づく各自治体の立ち入り検査が行われた。現場となった埼玉工場(新座市)だけでなく、複数の工場で記録の不備などが指摘された。
 埼玉工場では、埼玉県の検査で、製品別の使用原料の消費期限の記録や、安全点検マニュアルがないことが分かった。
 札幌市豊平区の札幌工場でも同市生活環境課の調査で、自主管理規定で記載することになっている原材料の使用記録の一部に不備が見つかった。
 また、栃木県野木町の野木工場についても、同県生活衛生課が12日、社内マニュアルに分かりにくい記述があったことと、病害虫駆除で継続的な対策を取ることの2点を指摘した。

・2007.01.13 不二家:期限切れ原料使用 株価続落、終値200円割れ
・2007.01.13 クローズアップ2007:期限切れ牛乳使用問題 不二家、雪印に学べず
◇「隠ぺい」へ批判集中
 菓子メーカー大手の不二家がシュークリームに消費期限切れの牛乳を使用していた問題は、問題発覚から2カ月もの間公表を遅らせていた同社の隠ぺい体質に批判が集まっている。健康被害の報告は今のところないものの、「発覚すれば雪印の二の舞い」などと記した内部文書からは、食の安全・安心を軽視した内向きの姿勢がにじみ出る。食品産業のあり方が厳しく問われた雪印事件(00年)の教訓は全く生かされていないことが、むしろ浮き彫りになった。
 「わざと隠したのか」--。不二家お客様サービス室には12日も苦情が殺到し、電話が鳴りやまない状態が続いた。その矛先は、消費期限が過ぎた食材の使用もさることながら、公表を大幅に遅らせた同社の姿勢に向けられた。隠ぺい体質が多くの食中毒患者を生んだのが、00年6月の雪印乳業の食中毒事件だ。
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雪印乳業は事件を教訓に行動基準を策定。両事件の発覚日を「風化させない日」と定め、毎年、外部の講師を招いて法令順守に関する講演会を開いている。幹部の一人は「信頼を失うのは一瞬だが、築くには長い年月を要す」と話す。不二家の信頼回復も対外的な説明の誠実さがカギになりそうだ。

・2007.01.12 不二家:期限切れ牛乳使用 3工場に保健所立ち入り
・2007.01.12 不二家:期限切れ牛乳使用、再建険しく 洋菓子、赤字続き 顧客離れ拡大のおそれも
 11日会見した藤井林太郎社長は「安心と安全を保障するため」として、全国の不二家チェーン約900店舗で洋菓子販売を休止すると発表したが、安全のための品質管理体制はあまりにお粗末だった。
 最初に発覚した11月8日に、期限切れの牛乳を使っていたのは埼玉工場で数十年勤めたベテランの60代の男性パート職員で、「においなどで判断し、問題ないと思った」と話しているという。工場には原料使用の基準を定めた管理マニュアルはあったが、作業に当たる職員1人がチェックするだけで済む仕組みだった。
 複数でチェックする体制に切り替えたのは問題発覚後。そもそも、「牛乳が余ることは想定していなかった」(同社)といい、牛乳の廃棄方法の規定さえ存在しなかった。
 今回の問題が、経営に深刻な影響を及ぼす可能性もある。菓子業界は、消費の伸び悩みで厳しい環境に直面している。不二家の洋菓子事業も03年3月期から4年連続で営業赤字。同事業の立て直しを急ぐ同社は、誕生日用ケーキの販売強化などで、今年度黒字化を目指していた。同社の洋菓子の売り上げは年間約270億円で、休日なら1日に約1億円。今回の洋菓子販売休止は、「最短でも1週間」(藤井社長)に及ぶ。この間の減収に加え、安全性への不信から消費者の不二家離れが広がれば、経営への打撃は深刻さを増す。

・2007.01.12 不二家:「雪印の二の舞い」 期限切れ原料使用、公表先延ばし
 ◇細菌、ネズミも
 記者会見した藤井社長らによると、昨年6月8日に埼玉工場(埼玉県新座市)で製造したシューロールで、基準を超える細菌を検出した113本をそのまま出荷した。同工場では04年に1カ月で50匹のネズミを捕獲、06年夏以降も2匹捕獲するなど衛生上の問題があった。昨年9月、洋菓子事業の再建に向けて設立した構造改革チーム「2010推進プロジェクト」の調査で分かった。
 一連の問題の発端となった「期限切れ」も、同チームによる職員のヒアリングで分かった。同11月8日、前日に期限切れになった牛乳を使用していたケースが判明。同13日にこの事実をまとめた報告書を管理職など約30人に配布したが、報告書には「期限切れの原料使用がマスコミに発覚すれば、雪印(乳業)の二の舞いとなることは避けられない」と記した文書が添付されていた。この時点での公表見送りは、雪印乳業の事例におびえ、隠し続けようとしたとも受け取れる。

・2007.01.11 不二家:洋菓子販売、全面休止
 菓子メーカー大手の不二家がシュークリームに消費期限切れの牛乳を使用していた問題で、同社の藤井林太郎社長は11日会見し、会社として事実を把握していながら、回収措置や公表を怠っていたことについて、「対策が不十分だった」と陳謝。そのうえで当面の間、全国での洋菓子販売を全面的に休止すると発表した。

・2007.01.11 不二家:期限切れ牛乳を使って製品出荷--昨年
 菓子メーカー「不二家」(東京都中央区)の埼玉工場(埼玉県新座市)で昨年11月、消費期限切れの牛乳を原料としたシュークリーム約2000個を製造、出荷していたことが分かった。同社によると、原料を仕込む担当者が昨年11月に「7日が消費期限の牛乳60リットル分を8日に使用した」と社内改革プロジェクトチームに申告したが、回収しなかった。担当者は「もったいない。2年前にもあったかもしれない」と話したという。



【過去の今日】
・2006.01.20 環境変化への対応
・2005.01.20 IEが表示する「信頼する会社」とは・・・
・       ITメディアでの連載

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