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2007.01.06

住基ネット高裁判決後の総務省「住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会会議要旨」

 こんにちは、丸山満彦です。2006.12.22に開催された第14回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会の会議要旨が公開されております。住基ネットの高裁判決後に開催されたものですね。。。興味深い・・・

 
総務省
・2007.01.04 住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会(第14回)議事要旨

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(2)その後、意見交換が行われた。
各委員からの主な発言は、以下のとおり。
○ 住基ネット関連判決において指摘されている問題点については、それが住基ネットがあるから問題なのか、住基ネットがなくても問題なのかという部分の整理が必ずしも明確でない。

○ 住基ネットの番号を使ってデータマッチングや名寄せをするのではないかという論点があったが、住基ネットは何ら名寄せをするものではなく、その点が十分理解されていないのが懸念される。

○ 行政機関が違法行為をすることを前提としたような議論をしているが、根拠のない行政不信に対しては、十分な説明を行うことで、国民の理解を求めていく必要がある。

○ 「第三者機関」についての議論も、誤解なり問題なりいろいろあると思う。国民に知ってもらいたいことや、誤解されていると思われているところについて、わかりやすく整理して出してはどうか。

○ 標準化から離れた作業にかかるコストはすごく高くなるものであり、訴訟でいわれているように1人住基ネットから外し、その1人のために手作業を残すという例外を認めると、行政コストが高くなってしまうということを認識しないといけない。住基ネットが目指しているのは、利便性の増進とセキュリティの両立である。

○ 厚生年金の受給権者の現況確認事務など、住基ネットの利用が拡大するのは、利便性の向上や効率性が上がるという観点から望ましいが、一方で、提供先のシステムのセキュリティについても、住基ネットと同様にレベルアップする必要がある。

○ 住基ネットは、電子政府の基盤システムという位置づけも有しており、チェックリストによる自己点検、外部監査など、セキュリティやコンプライアンスの確保に向けてこれまで進めてきた先進的な取組の成果を、住基ネット以外のシステムについても広げていくことができないか。

○ チェックリストによる自己点検は、かなりレベルアップしてきている。ある程度達成されたら、更に要求水準を引き上げることを検討してもよいのではないか。

○ チェックリストによる自己点検は、平均点は上がってきているが、まだ満点になっていないところもあるので、きめ細かくフォローする必要がある。

○ セキュリティ対策は、住基ネットに限らず、政府全般についていえることだが、形式に流れないようにしなければならない。

○ 住基カードの普及を図るためには、住基カードの必要性を住民個人がもっと実感できるようにする必要がある。

○ 公的個人認証サービスが、インターネット上のオンラインバンキングや株取引、オンラインオークションの認証に使えるとよい。

○ 情報化の推進に当たっては、縦割りの弊害を除去し、ワンストップサービスを実現するなど、業務改善も同時に考えるべき。そのためには、民間企業の取組をもっと積極的に学び、迅速に対応すべき。

○ 住民票の写しの交付制度などの見直しについては、早急に対応してほしい。
<文責:事務局>
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 個人的に思ったことは、、、
・住基ネットに流れている情報が基本4情報であることはわかっているのですが、番号がつけられていることにより他のデータベースとのマッチングされて、名寄せされてしまうのではないか・・・ということだと思うんですよね。つまり住基ネットの番号がハブになることですかね。。。

・行政職員が違法行為をするという前提ではなくて、行政職員も違法行為をすることもあるという前提だと思うんですよね。行政職員が違法行為をしないという前提でもなく、違法行為をするという前提でもなく、違法行為をすることもあるという前提・・・。なので、違法行為をした場合の対策は必要なわけです。で、100%保証はできないわけですから、どこで折り合いをつけますか・・・ということになります。そこに行政の無謬性を持ち込もうとすると矛盾して議論が胡散臭くなっちゃうんですよね。。。重要なことはアカウンタビリティなんですよ。。。これが議論されていないかもしれませんね。。。

・私も住基カードを利用していませんが、住民がメリットを感じていないんですよ。なので使わない。当たり前のことです。メリットを感じていないのは、
(1)行政側が説明するメリットを認識・理解していない、
(2)行政側が説明するメリットを認識・理解しているが、それをメリットとおもっていない、
の2つがあるのでしょうが、私の場合は(1)かもしれません。といか、(2)のような気がするので積極的に(1)をしようとしていない。

・公的個人認証サービスが、オンラインバンキングや株取引、オークションで利用できるとよいという話がありますが、たぶん誰かが軽~く言ったんでしょうね。。。ここで2つの違いを認識しなくてはだめで、例えばオンラインバンキングを例にとると、
(1)オンラインバンキングをする場合には必ず公的個人認証サービスを利用しなければならない、
(2)オンラインバンキングをする場合には公的個人認証サービスでも利用できる。
(1)の意味であれば、確実に住基ネットの利用は伸びるでしょうね。。。しかし。。。ですよね。。。(2)の意味であれば、対した意味はないでしょう。オンラインバンキングをするために公的個人認証サービスが利用できるからといって、それを利用するかどうかはわかりませんから。。。
ちなみに、公的個人認証サービスの利用については総務省の「公的個人認証サービスの利活用のあり方に関する検討会」で検討されていますが、委員の何名かは同じ人なので、こういう話もでてくるのかもしれませんね。。。

・住基ネットの情報を提供しているサービス側にもセキュリティ対策を住基ネット並み(又はそれ以上)のセキュリティを求めるのはリスクを考えると多くの場合そうなると思うんですね。で、行政機関の職員のレベルを上げていく必要があるという議論になるのですが、これは縦割りの問題と同じく組織論の問題なんですよ。なので、ITの面から考えても答えはでないと思っています。行政機関というのは、官僚組織の典型というか原点?です。官僚組織というのは、基本的には多くの組織の原点で基本です。そういう意味で行政機関の官僚組織というものを民間の人はバカにしたりしますが、そんなことはありません。原理原則はきっちりできています。しかし、行政機関の官僚組織の問題点は変化への対応が十分にできていないということです。これはITに限ったことではありません。従来の延長線上で粛々としていかなければならないこと、想定内のことについては十分に対応できますが、新しいことや想定外のことに臨機応変に対応する能力に欠けているわけですね。それは組織構造に依存しているわけですが、もっと言えば組織にいる人の意識に基づいているわけです。これをかえるのは組織文化を変えることですから難しいわけです。場合によっては、変更することによるデメリットもでてきますよね(例えば、粛々としていたことにミスが増加しだすとか・・・)。行政機関はITとか、縦割りとかそういう局所的な観点から病気を治そうとするのではなく、もっと根本的なところから治癒していくことが必要で、組織改造の基本方針を定め、戦略を練って変えていく必要があると思うんですよね。。。で、誰が音頭をとるかと。。。

と、いいすぎましたかね。。。

住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会
・第14回(平成18年(2006年)12月22日)
・・議事次第
=====
会議次第
 1  住基ネット関連訴訟について
 2  住基ネットの情報セキュリティ対策について
 3  住基ネットの利用状況
 4  住基カードの利用状況
 5  住民票の写しの交付制度等の見直しについて

資料1 住民基本台帳ネットワークシステムに係る訴訟の状況(PDF)

資料2-1 住民基本台帳ネットワークシステムにおける個人情報保護の取組(PDF)
資料2-2 住民基本台帳ネットワークシステム及びそれに接続している既設ネットワークに関する調査票による点検状況(PDF)
資料2-3 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの見直しについて(PDF)
資料2-4 自治体ISAC創設について(PDF)
資料2-5 地方公共団体職員を対象とする情報セキュリティ研修(PDF)

資料3 住民基本台帳ネットワークシステムの利用状況(PDF)

資料4-1 住民基本台帳カード普及のための取組状況(PDF)
資料4-2 公的個人認証サービスについて(PDF)

資料5 住民票の写しの交付制度等の見直しについて(PDF)
=====

【参考】
■総務省 公的個人認証サービスの利活用のあり方に関する検討会

■法律
住民基本台帳法
住民基本台帳法施行令
住民基本台帳法施行規則

■このブログ
・2006.12.13 住基ネット 高裁判決文
・2006.12.13 住基カードを不正取得し他人の口座から現金を引き落とす
・2006.12.13 住基カードを不正取得し他人になりすましていたのは元警官
・2006.12.12 住基ネット判決 新聞社の論調
・2006.12.11 名古屋高裁金沢支部 住基ネット離脱認めない
・2006.12.10 住基ネット 削除コストは最大3500万円?
・2006.12.08 大阪高裁 住基ネット離脱認める その後
・2006.12.03 住基ネット訴訟で違憲判決の大阪高裁判事、自殺?
・2006.12.01 大阪高裁 住基ネット離脱認める
・2006.10.25 足立区 住基ネット窓口の民間委託、来年度実施を断念
・2006.04.19 住民基本台帳ネット 名古屋高裁の判決
・2006.01.24 総務省 住民基本台帳ネットワークシステム及びそれに接続している既設ネットワークに関する調査票による点検状況
・2005.10.21 総務省 「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書」の公表
・2005.09.24 総務省 パブコメ 住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書
・2005.09.22 住民基本台帳は原則非公開に
・2005.09.17 住民基本台帳 閲覧を公益調査に限定
・2005.08.31 総務省 住民基本台帳の閲覧、目的など明確化して閲覧
・2005.08.14 総務省 第11回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会
・2005.08.08 住基ネット NHK BSディベート
・2005.08.02 総務省 「住民基本台帳カードの利活用手法等に関する検討会」の発足
・2005.06.17 住民基本台帳カードの普及率0.43%と住民票自動交付機の設置
・2005.06.09 民主党 住民基本台帳閲覧制限法案を国会に提出
・2005.06.06 住民基本台帳ネット 金沢地裁、名古屋地裁の判決文
・2005.05.31 名古屋地裁:住基ネットからの離脱を認めない?
・2005.05.30 金沢地裁:住基ネットからの離脱を認める
・2005.05.13 総務省 住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会
・2005.04.21 住民基本台帳の大量閲覧に自治体はどう向き合うべきか



【過去の今日】
・2006.01.06 日本医師会 患者紹介を電子化
・2005.01.06 個人情報保護法 開示手数料の相場感

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