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2007.01.30

質問。。。「不二家、取締役会を事実上停止」ということはOKでしょうか?

 こんにちは、丸山満彦です。2007.01.29の産経新聞(ネット)に、「不二家、取締役会を事実上停止」という記事がありましたが、記事の内容が不正確なのかもしれませんが、そんなことは「できるのでしょうか」というか「やってもよいのでしょうか」?

 
■産経新聞
・2007.01.29 不二家、取締役会を事実上停止
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経営再建に向けて社内組織を大幅に刷新した。取締役会を事実上停止し、新たに組織する執行役員会が中心になって経営に当たる。
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執行役員会は執行役員8人前後で組織。桜井康文社長が議長を務め、経営の重要事項決定する。取締役会は執行役員会の決定事項を承認する。桜井社長は今回の問題で現経営陣を大幅に刷新する考えだが、株主総会による承認などに時間がかかることから、執行役員会を新たに組織することを決めた。
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■毎日新聞
・2007.01.29 中堅幹部からなる執行役員会が意思決定機関に
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藤井林太郎前社長以外の全員が留任していた同社取締役会を事実上休止状態とし、若手の中堅幹部からなる執行役員会が中枢機能を担うと発表した。
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会社としての意思決定は執行役員会で行い、取締役会は「それを承認するだけ」になる。取締役を入れ替える形は取らないが、桜井社長は「この形で十分改革できる」と述べた。
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 文面からだけだと、
・今回の事件の責任を取って(あるいは調査のためにも?)取締役を交代させたいと社長?が思っている。
・株主総会を開催して新しい取締役を選任するのは時間がかかる
・したがって、執行役員会を組成し、執行役員会が事実上の業務執行を行い、取締役会は形だけの承認にする。
 とも読めるわけです。

 法律には詳しくないのでなんともいえないのですが、直感的には法律の趣旨に反しているような気がするんですよね。。。
 こういうのはありなんですかね。執行役員会で決議した内容について取締役会が反対せずに問題が生じた場合には、取締役が一義的には責任を負わされることになるわけですよね。
 もちろん、執行役員会で決めたことでも取締役会で否決すれば効力は生じないことがありえるので、それはそれでそうすればよいのでしょうけど。。。
 執行役員会で決めるので取締役会は黙っていろということを意図しているのであれば、取締役会による取締役の監督という機能はどうなるのでしょうね。。。
 こういう形で内部統制って機能するのですかね。執行役員会はだれが監督するんですかね。株主はどのように関与できるのでしょうか。。。

 うーん、なんとも気持ちの悪い感じがしますね。。。

 もちろん、新聞記事が言葉足らずなのかもしれませんが・・・


【過去の今日】

・2006.01.30 内部統制 いきなり文書化をしてはまずいと思う
・2005.01.30 NHK COSOを導入

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Comments

丸山 様

夏井です。

何というべきか,とても分かり難い報道ですね。

この判断について説明するほうが不十分だったのかもしれないし報道する側が不十分だったかもしれないし両方とも不十分だったかもしれません。

ただ,ひとつだけはっきりしていることは,仮に今回の措置に何らかの問題があるとすれば,代表取締役だけではなく,今回の措置によって何もしないようにされてしまうらしい他の取締役もまた何らかの責任を負う可能性があることを(机上の議論としては)否定しきれないだろうということですね。

立派な顧問弁護士や監査役等もおられるのでしょうし,そのようなことをご承知の上で何も問題はないという判断にたった上での決断だろうとは推測しますが,それにしても分かり難いです。

Posted by: 夏井高人 | 2007.02.02 00:28

夏井先生、コメントありがとうございます。
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代表取締役だけではなく,今回の措置によって何もしないようにされてしまうらしい他の取締役もまた何らかの責任を負う可能性があることを(机上の議論としては)否定しきれないだろうということですね。
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そうなんですよね。。。
執行役員会が取締役会を機能不全にすることができるのだろうか・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2007.02.02 01:02

丸山 様

夏井です。

会社などの法人内において,その法人内の特定の機関が法に定める機能を果たさないように誰かが指示・命令をしたという架空の事例を想定してみましょう。例えば,ワンマン社長である代表取締役がその会社の監査役に対し「監査するな」または「監査役としては一切口出しするな」と指示・命令したという架空の事例を考えてみます。

この場合,その代表取締役の指示・命令それ自体が違法であることはもちろんなのですが,その指示・命令に従った者(この例では監査役)もまたその不作為それ自体が違法行為であることになるだろうと考えられます。この架空の事例のような場合,監査役がそのような指示・命令を不満として辞任したというだけでは損害賠償責任を免れることができず,違法状態を是正するために積極的に行動しなければならないと解するのがこれまでの通説のようです。

仮にそのような会社としての組織の機能を意図的に停止させている状態にある企業が存在すると仮定した場合,その企業は違法状態を恒常的に行っている企業であることになるので,企業としての交換価値(株価を含む。)も本当は低くなければならないですよね(少なくとも,株主からの損害賠償請求の可能性がある分だけ安く見積もらなければならない。)。そのように低い交換価値しかないことを秘したまま(正常な交換価値を結果的に損なわせている状態で)代表取締役が独断で他の企業の企業買収などに応じた場合,これまた別の意味で大きな違法状態をもたらすことになる可能性があるだろうと思います。もしそのような状態が買収を予定している企業の要請によってなされているような場合それは,それはそれでまた別の違法の問題が発生する可能性があるだろうと思います。

これらの問題はすべて内部統制以前の企業経営上の基本における適法性の確保の問題に属するのだろうと思います。

ところで,私の友人・知人の中には,有名企業の顧問弁護士や監査役を引き受けている弁護士がたくさんいます。その顧問先企業の中にはいろいろと社会的に問題になった企業もあります。私の知人・友人たちはそれぞれ悩んだり考えたりしながら顧問弁護士や監査役としての職務を誠実に遂行しているようです。

しかし,巷で耳にするところによれば,世の中には全く仕事をしないで報酬をもらうだけの人も全くいないわけではないようです。いわば名誉職のような状態で監査役などを引き受けているタイプの人ですね。

もしその企業の取締役(取締役会)が何ら職務を遂行しないで違法状態を放置していたと仮定すると,そのような違法状態を解消しようとしなかった監査役や顧問弁護士についても監査役または顧問弁護士としての責任(弁護士過誤の一種)が生ずる可能性が(机上の議論としては)ないとはいえないだろうということを私は危惧しています。

監査役の責任については,よくご存知のとおり,会社法(商法)にその責任原因が定められているほか関連する判例が多数ありますね。

他方,顧問弁護士の責任については,当該企業との間の契約に基づいて顧問弁護士になっているので,当該企業との間の債務不履行責任しか問題にならないから,会社経営上で損失が発生したような場合でも,直ちに顧問弁護士として損害賠償責任が発生することはないだろうと考えられがちです(ただし,当該弁護士が当該違法行為に積極的に関与したような場合には別です。)。

しかし,その企業のオーナーは「社長」ではなく多数株主ですよね。ですから,多数株主(または,少数株主権を行使できる場合にはその少数株主)が「顧問弁護士として重大な職務怠慢があったために会社に損失が生じた」と考える場合には,当該会社から顧問弁護士に対して債務不履行を原因とする損害賠償責任を求めるということが(机上の議論としては)あり得ることになりますし,他国においては現実にそのような例があると聞いています。

ところで,上記の架空の事例のような場合において,監査役ではない顧問弁護士は企業経営に口出しをする権限は全くないので,当該企業に違法行為が存在することを認識しつつそれについて一切口出しをしなかったことが弁護士としての義務違反になるかどうかが理論上検討すべき部分になるだろうと思います。契約上の義務でないことがらについてもいわば不作為犯における保護義務者のような立場にたたされている状況にある場合には条理上の作為義務があるかどうか,あるいは,少なくとも違法行為についての告発義務があるかどうかなどに関し,弁護士としての守秘義務の問題もからむので,積極・消極両方の見解がありそうです。

とにかく,大変な時代になってきてしまったものだということを痛感しています。

Posted by: 夏井高人 | 2007.02.02 08:40

夏井先生、コメントありがとうございます。架空の会社の事例の話、よくわかりました。。。

企業風土の根っこからの問題というのは、早急に解決しようとしてもできないのですが、そういう会社に限って、手っ取り早く問題を解決しようとします。
でも、そういう会社は同じことを繰り返すように思いますね。

じっくり時間をかけないと企業風土を変えていくことはできないので、ちょっと腰を据えて改革をしていかないといけないように思いますね。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2007.02.03 02:06

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