« IPA IC・ID カードの相互運用可能性の向上に係る基礎調査 | Main | トーマツ 企業のリスクマネジメント調査(2006年版)結果を公表 »

2007.01.12

テレコムサービス協会 パブコメ プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)

 こんにちは、丸山満彦です。テレコムサービス協会が「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」に対するパブコメを募集していますね。2月9日までです。。。

 
「P2P型ファイル交換ソフト」については、
=====
いわゆるP2P型ファイル交換ソフトについては、請求者において、著作権等の権利を侵害するファイルを送信可能状態に置いていたユーザのIPアドレス、タイムスタンプ等をプロバイダ等に示すこととする。加えて、請求者において、これらを特定した方法が信頼できるものであることに関する技術的資料等を提出することとし、プロバイダ等は当該資料に基づき当該特定方法の信頼性の有無を判断することとする。
=====
と書いていますね。。。

権利侵害の明白性の判断基準等については、
2 名誉毀損、プライバシー侵害
(1) 名誉毀損
=====
名誉毀損について権利侵害の明白性が認められるためには、
当該侵害情報により被害者の社会的評価が低下した等の権利侵害に係る客観的事実のほか、
①公共の利害に関する事実に係ること、
②目的が専ら公益を図ることにあること、
③-1事実を摘示しての名誉毀損においては、摘示された事実の重要な部分について真実であること又は真実であると信じたことについて相当な理由が存すること、
③-2意見ないし論評の表明による名誉毀損においては、意見ないし論評の基礎となった事実の重要な部分について真実であること又は真実であると信じたことについて相当な理由が存することの各事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないこと
が必要と解されている。
=====
が、権利侵害の明白性が認められる場合についての一般的な基準を設けることは難しいので、裁判例等を参考にして、権利侵害の明白性の判断を行ってくださいとなっていますね。。。

(2) プライバシー侵害
=====
プライバシーの権利について、その内容を明確に定義した最高裁判例はまだないが、プライバシー侵害について不法行為の成立を認めた裁判例の一つでは、個人に関する情報がプライバシーとして保護されるためには「
①私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある情報であること、
②一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合に、他者に開示されることを欲しないであろうと認められる情報であること、
③一般の人に未だ知られていない情報であることが必要である」
旨判示している(「宴のあと」事件。東京地判昭和39年9月28日)。また、明確な定義とはいえないが、近時の最高裁判決は、
「学籍番号、氏名、住所および電話番号(中略)のような個人情報についても、本人が、自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは自然なことであり、そのことへの期待は保護されるべきものである」
旨判示している(早稲田大学江沢民講演会事件。最判平成15年9月12日)。
=====
ので、
=====
一般私人の個人情報のうち、住所や電話番号等の連絡先や、病歴、前科前歴等、一般的に本人がみだりに開示されたくないと考えるような情報については、これが氏名等本人を特定できる事項とともに不特定多数の者に対して公表された場合には、通常はプライバシーの侵害となると考えられる。
=====
としていますね。。。

3 著作権等侵害
(1) 請求者が著作権者等であること
(2) 著作権等侵害
① 情報の発信者が著作権等侵害であることを自認している
② 情報が著作物等の全部又は一部を丸写ししている
③ 著作物等の全部又は一部を丸写ししたファイルを現在の標準的な圧縮方式(可逆的なもの)により圧縮している

4 商標権侵害
(1) 請求者が商標権者であること
商標権が侵害されていると解される場合
① 業として商品を譲渡等する者が、
② 商標権者の商標登録に係る指定商品又はこれに類似する商品について、
③ 商品を譲渡するために商標が付された商品の写真や映像等をウェブページ上に掲載する行為、又は登録商標と同一又は類似の商標を(広告等を内容とする情報に付して)ウェブページ上で表示する行為、
であると解されている
ので、次のa, bのいずれも満たすことが必要があるようですね
=====
a 次のいずれかに該当し、ウェブページ上に表示された商品に関する情報が真正品に係るものでないと判断できること
① 情報の発信者が真正品でないことを自認している商品
② 商標権者により製造されていない類の商品
③ 商標権者が真正品でないことを証する資料17を示している商品(②に該当するものを除く)

b 次のすべての事項が確認でき、商標権侵害であることが判断できること
① 広告等の情報の発信者が業として商品を譲渡等する者であること
② その商品が登録商標の指定商品と同一又は類似の商品であること
③ 商品の広告等を内容とする情報に当該商標権者の登録商標と同一又は類似の商標が付されていること
=====
 
 よく読んでおこう。。。

【社団法人 テレコムサービス協会】
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会
・2007.01.10 「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」に係る意見募集について
・・プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)
・・報道資料

プロバイダ責任制限法関連情報ウェブサイト
・2004.10.06 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン(PDF)
・2003.11.11 著作権関係ガイドライン(PDF)
・2005.07.21 商標権関係ガイドライン(PDF)


【過去の今日】
・2006.01.12 統制上の要点、経営者の主張
・2005.01.12 個人情報保護法 頭の体操6
・        緊急が2、重要が1 MS05-001,002,003

|

« IPA IC・ID カードの相互運用可能性の向上に係る基礎調査 | Main | トーマツ 企業のリスクマネジメント調査(2006年版)結果を公表 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference テレコムサービス協会 パブコメ プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案):

» やはり、反対!プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン(案) [愛する祖国 日本]
 プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン(案)が発表された。そして、ザッと読んでみた。問題点と指摘されていた部分に考慮されている部分もあるが、重要なところが抜けている。発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の判断について、こう述べられている。 発信... [Read More]

Tracked on 2007.01.13 18:55

« IPA IC・ID カードの相互運用可能性の向上に係る基礎調査 | Main | トーマツ 企業のリスクマネジメント調査(2006年版)結果を公表 »