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2006.12.18

財務諸表監査における不正について

 こんにちは、丸山満彦です。また、粉飾決算についての新聞報道がありましたね。。。粉飾決算をするというのも不正です。財務諸表監査における不正と言う言葉については、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告書第35号「財務諸表の監査における不正への対応」で定義されていますね。この定義はあくまでも財務諸表監査を行うと言う視点での言葉の定義です。

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《Ⅱ 不正の定義及び特徴》
4.財務諸表の虚偽の表示は、不正又は誤謬から生ずる。不正と誤謬は、財務諸表の虚偽の表示の原因となる行為が、意図的であるか意図的でないかで区別する。
5.誤謬とは、財務諸表の意図的でない虚偽の表示であって、金額又は開示の脱漏を含み、次のようなものをいう。
・ 財務諸表の基礎となるデータの収集又は処理上の誤り
・ 事実の見落としや誤解から生ずる会計上の見積りの誤り
・ 認識、測定、分類、表示又は開示に関する会計基準の適用の誤り
6.不正とは、財務諸表の意図的な虚偽の表示であって、不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を含み、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為をいう。
 不正は、様々な意味を含む広範囲な概念であるが、本報告書では、監査人が財務諸表の監査において対象とする重要な虚偽の表示の原因となる不正について記載している。なお、監査人は、不正が実際に発生したかどうかについての法的判断は行わない。
 また、経営者や取締役等が関与する不正を経営者不正、企業の従業員だけが関与する不正を従業員不正という。いずれの場合でも、企業内部又は第三者との共謀の可能性がある。
7.不正には、不正な財務報告(いわゆる粉飾)と資産の流用がある。
8.不正な財務報告とは、計上すべき金額を計上しないこと又は必要な開示を行わないことを含む、財務諸表の利用者を欺くために財務諸表に意図的な虚偽の表示を行うことである。不正な財務報告は、次の方法により行われる場合がある。
・ 財務諸表の基礎となる会計記録や証憑書類の改ざん、偽造又は変造
・ 取引、会計事象又は重要な情報の財務諸表における不実表示や意図的な除外
・ 金額、分類、表示又は開示に関する意図的な会計基準の不適切な適用
9.不正な財務報告は、経営者による内部統制の無視を伴うことが多い。次のような方法を用いた経営者による内部統制の無視によって、不正が行われる場合がある。
・ 経営成績の改ざん等の目的のために架空の仕訳記帳(特に期末日直前)を行うこと
・ 会計上の見積りに使用される仮定や判断を不適切に変更すること
・ 会計期間に発生した取引や会計事象を認識しないこと、又は認識を不適切に早めたり遅らせたりすること
・ 財務諸表に記録される金額に影響を与える可能性のある事実を隠蔽すること又は開示しないこと
・ 企業の財政状態又は経営成績における不実表示を行うために仕組まれた複雑な取引を行うこと
・ 重要かつ通例でない取引についての記録や条件を変造すること
10.不正な財務報告は、企業の業績や収益力について財務諸表の利用者を欺くために、経営者が利益調整を図ることを目的として行われる可能性があり、このような利益調整は、経営者の些細な行為又は仮定や判断の不適切な変更から始まることが多い。
 経営者は、動機やプレッシャーにより、利益調整を行うことがある。例えば、業績報酬を最大にしたいという欲求のために、又は市場の期待に応えるというプレッシャーのために、不正な財務報告を行おうとする場合がある。また、税金を最小限にするために利益を圧縮するよう、又は銀行からの資金調達を確保するために利益を水増しするよう動機付けられる場合がある。
11.資産の流用は、従業員により行われ比較的少額であることが多い。しかし、資産の流用を偽装し隠蔽することを比較的容易に実施できる立場にある経営者が関与することもある。
 資産の流用は、次のような方法により行われる場合がある。
・ 受取金の着服(例えば、掛金集金を流用すること、又は償却済債権の回収金を個人の銀行口座へ入金させること)
・ 物的資産の窃盗又は知的財産の窃用(例えば、たな卸資産を私用又は販売用に盗むこと、スクラップを再販売用に盗むこと、企業の競争相手と共謀して報酬と引換えに技術的情報を漏らすこと)
・ 企業が提供を受けていない財貨・サービスに対する支払(例えば、架空の売主に対する支払、水増しされた価格と引換えに売主から企業の購買担当者に対して支払われるキックバック、架空の従業員に対する給与支払)
・ 企業の資産を私的に利用すること(例えば、企業の資産を個人又はその関係者の借入金の担保に供すること)
 資産の流用においては、資産の紛失や正当な承認のない担保提供といった事実を隠蔽するために記録又は証憑書類の偽造を伴うことが多い。
12.不正は、不正に関与しようとする「動機・プレッシャー」、不正を実行する「機会」、不正行為に対する「姿勢・正当化」に関係している。
 例えば、収入を超えた生活をしている者は、資産を流用する動機をもつ場合がある。経営者が、達成困難な利益目標について企業内外の関係者からのプレッシャーのもとに置かれている場合、とりわけ財務的な目標を達成できないことが許されない場合には、不正な財務報告が行われる可能性がある。
 また、部門の責任者や特定の内部統制の不備を知っている者など、内部統制を無視できる立場にいる者は、不正な財務報告や資産の流用を実行する機会を有している。
 さらに、不正行為を働くことを正当化したり、不正であると認識しながら不誠実な行動をとることを許容してしまうような姿勢、人格又は価値観を有している場合がある。普段は誠実であっても、非常に強いプレッシャーを受けた場合には不正を働く可能性がある。
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 内部統制の観点からも、不正と誤謬は分ける必要がありますね。ある意味、故意と過失のような関係だと思っています。
 不正については、粉飾決算と資産流用という2つに区分しています。
 不正が起こる状況については、犯罪学的な観点から「動機・プレッシャー」、「機会」、「姿勢・正当化」という3つの視点から整理していますね。。。

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Comments

下記のような記事がありました。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/12/15/AR2006121501710.html
(SEC、小規模企業へのSOX法の適用期限を延長)
http://www.computerworld.jp/news/trd/54969.html

Posted by: 内部統制報告書の基礎 | 2006.12.19 06:28

内部統制報告書の基礎さん、コメントありがとうございます。日本は一気にしますからね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2006.12.19 22:40

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