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2006.12.01

大阪高裁 住基ネット離脱認める

 こんにちは、丸山満彦です。大阪高裁が「住民の離脱を認めないのはプライバシー権を侵害し違憲」として、反対住民の離脱を認める判決を出したようですね。。。

 
 大阪地裁では離脱は認められていませんでした。判決も分かれているようですね。高裁では初めてですね。 「住基ネットの制度自体に欠陥があると断定した」ようです。
なお、11月1日から住民基本台帳の閲覧が原則非公開になりましたよね。。。


■新聞
●日経新聞
・2006.11.30 住基ネット、拒否住民の離脱認める・大阪高裁
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大阪高裁の竹中省吾裁判長は30日、「住民の離脱を認めないのはプライバシー権を侵害し違憲」との判断を示し、原告住民の請求を全面的に退けた1審・大阪地裁判決を変更、被告の居住地の自治体に個人情報を削除するよう命じた。
 1人当たり5万円の慰謝料請求については「国家賠償法上の違法があるとまでは言えない」として請求を退けた。
 住基ネット訴訟は全国13地裁に起こされているが、高裁レベルでの違憲・差し止めの判断は初めて。昨年5月の金沢地裁判決に続き2件目の住民側勝訴の司法判断で、国や自治体の運用のあり方に影響を与えそうだ。
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●朝日新聞
・2006.11.30 住基ネット「同意なければ違憲」 大阪高裁が削除命令
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住基ネットが扱う氏名、生年月日、性別、住所の4情報について「私生活上の平穏が侵害される具体的危険がある場合は、自らが情報をコントロールする権利が侵害されたことになり、本人確認情報の利用の差し止めはできる」との判断を示した。
 情報漏洩(ろうえい)の危険性については、自治体でセキュリティー対策が施されるなど具体的な漏洩の危険は認められないとしたが、個人情報を利用する国の事務が270種を超えて拡大し続けている現状などを指摘。行政機関が住民票コードをマスターキーのように使い、個人情報が際限なく集積・結合されて利用されていく危険性があるなど、住基ネットの制度自体に欠陥があると断定した。
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●読売新聞
・2006.11.30 大阪高裁、住基ネット離脱を容認「情報保護に欠陥」
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「住基ネットは厳重なセキュリティー対策が講じられ、情報漏えいの危険性はない」と評価。一方で、行政機関が保有する本人確認情報を利用できる国の事務が拡大され、行政機関自ら法律や条例で将来、無制限に拡大できる点を指摘した。
 さらに、防衛庁が自衛官の適齢者情報を収集した自治体のうち、3分の1以上が住民基本台帳法で閲覧が認められていない情報を提供していた実例も挙げ、「個人情報が際限なく、目的外利用される危険性が具体的に存在することをうかがわせる」と認定した。
 これらの点から、竹中裁判長は「集積された個人情報が、住民票コードによる検索でデータ照合や名寄せが行われ、本人の予期しない時に予期しない範囲で行政機関に保存・利用される危険がある」とした。
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●毎日新聞
・2006.11.30 住基ネット:「プライバシー侵害」と離脱認める 大阪高裁
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住基ネットの制度に関しては、(1)自治体が独自に他の機関に情報提供することができ、本人がその目的を知ることが困難(2)第三者の利用や行政機関の目的外利用を禁じる制度的担保が十分ではない(3)少数の行政機関が個別に保有する個人情報の範囲が広がり、情報が結合・集積されて利用される可能性がある--などと問題点を指摘した。
 その上で「行政機関で集積された情報が(住民票コードを使って)データマッチングや名寄せされ、住民の多くのプライバシー情報が本人の予期しない時に、予期しない範囲で行政機関に保有され、利用される具体的な危険がある」と判断。そして「同意しない原告に対する住基ネットの運用はプライバシー権を著しく侵害し、憲法13条に違反する」と結論付けた。
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■裁判所のウェブに記載されている判例@2006.11.30

行政事件裁判例集

平成17(行コ)39 支出差止等
平成180419日 名古屋高等裁判所 住民訴訟

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行政事件裁判例集

平成16(行ウ)372 住基ネット受信義務確認等請求事件
平成180324日 東京地方裁判所 地方自治

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下級裁判所判例集

平成14()2427 住民基本台帳ネットワーク差止等請求事件
平成180320日 千葉地方裁判所 棄却

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下級裁判所判例集

平成15()3127 住民基本台帳ネットワークシステム差止等請求
平成180209日 大阪地方裁判所

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下級裁判所判例集

平成15()491 住民基本台帳ネットワーク差止等請求事件
平成170531日 名古屋地方裁判所

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下級裁判所判例集

平成14()836 住民基本台帳ネットワーク差止等請求事件
平成170530日 金沢地方裁判所

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下級裁判所判例集
行政事件裁判例集

平成15(行ウ)43 支出差止等請求事件
平成170428日 名古屋地方裁判所

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行政事件裁判例集

平成16(行コ)4 住民票コード附番処分取消請求控訴事件(原審:富山地方裁判所平成15(行ウ)6)
平成170223日 名古屋高等裁判所 金沢支部 その他

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下級裁判所判例集
行政事件裁判例集

平成15(行ウ)6 住民票コード附番処分取消請求事件
平成160630日 富山地方裁判所

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下級裁判所判例集

平成14()11400 損害賠償請求事件
平成160227日 大阪地方裁判所

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■法律
住民基本台帳法
住民基本台帳法施行令
住民基本台帳法施行規則

【参考】このブログ
・2006.10.25 足立区 住基ネット窓口の民間委託、来年度実施を断念
・2006.04.19 住民基本台帳ネット 名古屋高裁の判決
・2006.01.24 総務省 住民基本台帳ネットワークシステム及びそれに接続している既設ネットワークに関する調査票による点検状況
・2005.10.21 総務省 「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書」の公表
・2005.09.24 総務省 パブコメ 住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書
・2005.09.22 住民基本台帳は原則非公開に
・2005.09.17 住民基本台帳 閲覧を公益調査に限定
・2005.08.31 総務省 住民基本台帳の閲覧、目的など明確化して閲覧
・2005.08.14 総務省 第11回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会
・2005.08.08 住基ネット NHK BSディベート
・2005.08.02 総務省 「住民基本台帳カードの利活用手法等に関する検討会」の発足
・2005.06.17 住民基本台帳カードの普及率0.43%と住民票自動交付機の設置
・2005.06.09 民主党 住民基本台帳閲覧制限法案を国会に提出
・2005.06.06 住民基本台帳ネット 金沢地裁、名古屋地裁の判決文
・2005.05.31 名古屋地裁:住基ネットからの離脱を認めない?
・2005.05.30 金沢地裁:住基ネットからの離脱を認める
・2005.05.13 総務省 住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会
・2005.04.21 住民基本台帳の大量閲覧に自治体はどう向き合うべきか

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Comments

住基ネットですか。。。

私、個人的にはお上を信用しきれないので、削除して欲しい派の1人ですね。

確かに、知らず知らずのうちに政府によって使われているとしたら、十分にプライバシー権の侵害は起こりうることですね。

先日も、漏洩事故がおきたばかりですしね。
上司の確認に対して平気で虚偽の報告をする。
どんな教育をしていたのか気になるところです。

やはり、情報セキュリティにおいてもっとも大事なことは「各人がモラルをもって行動する」ということなのでしょうか・・・

住基ネットも恩恵を感じない気もします。。。
もっと明確に使用用途を定め、周知徹底をする必要があると思います。

IT化・デジタル化の不要な部分もありそうですし。


夏井先生のHP、運営終了してました。
ウキウキしながら飛んでみたのですが、残念です;-)

Posted by: せろまる | 2006.12.02 at 01:45

せろまるさん、コメントありがとうございます。
お上が信用できないというよりも、お上にも信用できない人がいるし、お上で無い人にも信用できない人がいるということなんだろうと思います。

しかし、自治体の長の官製談合や収賄事件がつづきますね・・・

住基ネットは住民に直接メリットがあるというよりも、行政機関側にメリットがあるのかもしれませんね・・・。それでも、業務が効率化して税金が節約できるのであれば、住民のメリットになるのでよいのですけどね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2006.12.02 at 23:02

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