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2006.12.11

名古屋高裁金沢支部 住基ネット離脱認めない

 こんにちは、丸山満彦です。名古屋高裁金沢支部は金沢地裁の住基ネット離脱を認める判決を破棄し、住基ネット離脱認めないとの判決を示したようですね。。。

 
 大阪高裁の判決では住基ネットからの離脱を認める判決をしましたが、こっちは離脱を認めませんでしたね。。。

■新聞
●日経新聞
・2006.12.11 住基ネット訴訟、住民側が逆転敗訴・金沢支部
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「住基ネットはプライバシー権を侵害するものではなく、憲法13条に違反しない」と述べた。
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●朝日新聞
・2006.12.11 住基ネット訴訟で住民側が逆転敗訴 高裁金沢支部
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「住基ネットにプライバシー権の侵害やその具体的危険性があるとはいえず、憲法13条に違反しない」と述べ、原告の訴えを認めた一審・金沢地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却する逆転判決を言い渡した。原告側は上告する方針。
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●読売新聞
・2006.12.11 「住基ネット」個人離脱、名古屋高裁金沢支部は認めず
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「個人情報保護のための様々な対策が取られており、原告のプライバシー権を侵害する危険性はなく、合憲」として個人情報の削除を全国で初めて命じた1審・金沢地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却する逆転敗訴判決を言い渡した。原告側は上告する方針。
 同様の主な訴訟の判決は過去12件あるが、原告勝訴は、昨年5月の金沢地裁判決と、11月30日の大阪高裁のみ。高裁2例目となる今回は、大阪高裁と判断が分かれた。
 長門裁判長は「住基ネットは、住民サービスの向上や行政事務の効率化を可能にし、一部の住民の離脱はシステムに重大な支障を来す」と指摘。個人情報保護については「制度、技術、運用面で対策が講じられ、一部で起きた情報流出や目的外の閲覧は、末端のごく例外的な事例で制度の欠陥を示すものではない」とした。
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●毎日新聞
・2006.12.11 住基ネット訴訟:請求棄却で原告逆転敗訴 住民側上告へ
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「プライバシー権(自己情報のコントロール権)や、行政権力による包括的管理からの自由を侵害しない」として、住基ネットの違憲性を指摘し全国で初めて個人離脱を認めた1審・金沢地裁判決を取り消し、請求を棄却する逆転判決を言い渡した。住民側は上告する方針。
・・・
控訴審も、自己情報コントロール権と行政によるデータマッチング(個人情報の結合・集積)など目的外使用の危険性が主な争点となった。
 判決では、1審判決、大阪高裁判決で認められた自己情報コントロール権については「個人情報をみだりに収集、管理、利用されないことも憲法13条による保障を受ける」と認めた。
 しかし、住基ネットについて「住民の利便性を図ることを可能にする」などとして正当性を認めた。そのうえで、登録削除については「住民の一部でも参加しないことを許容すれば、システム本来の機能を果たし得ず、従来システムを併存的に存置せざるを得なくなる」などとして認めなかった。また、行政の目的外使用の危険性についても「具体的な危険があるとは言えない」とした。
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■産経新聞
・2006.12.11 住基ネット、2審は合憲判決 プライバシー権侵害せず
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判決の骨子は次の通り。
・1審判決中、県などの敗訴部分を取り消す。住民側の請求をいずれも棄却する
・住民基本台帳ネットワークは憲法13条に違反しない
・公権力が正当な理由に基づき、相当な方法によって、本人確認情報を収集、管理、利用することは「公共の福祉」による制限として許される
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「住民サービスの向上や行政事務の効率化を可能」としていますが、住民本人が望まないのであれば、利益はもっぱら行政事務の効率化のために必要ということになるのでしょうかね。。。行政事務が効率的にできれば、効率化された部分を別の住民サービスに振り分けることができるので、住民サービスの向上にも繋がるということでしょうか。。。

 行政事務の効率化がどの程度できているのか、金額換算できないものでしょうかね。。。案外コストもかかっているようにも思えますから。。。

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Comments

丸山 様

夏井です。

どちらの判決がよいとも悪いとも良く分かりませんが,どちらにしてもちょっと現実離れした判決ではないかというような感想めいた気持をもっています。

あくまでも一般論としてですが,個人情報保護に関する事案だけではなく普通の経済取引に関する事案を含め,本当は実際のことを何も分かっていないのに現実の裏づけの全くない空想を脳内に充満させ,それでいて事件記録をきちんと読むことはせず,当事者の主張や訴訟活動等とは全然関係なしに(場合によっては事件記録を全く読むことなく)自分の印象のようなものだけを根拠に最初から決め込んでいる結論を肯定するような屁理屈だけをこねまわして判断しているとしか思えないような砂上楼閣判決が存在することは事実だと思います。

これは,日本国民にとって悲劇としか言いようがありません。

かつて私が若い頃に尊敬し自分の手本としたキラ星のごとき高潔な裁判長達は一体どこに消え去ってしまったのでしょうか・・・?

Posted by: 夏井高人 | 2006.12.11 at 14:45

こんばんわ。せろまるでございます。

この判決は・・・

私的には非常に危険を感じますね。

名古屋高裁の言い分だと、まるで住基ネットへの参加は強制のように思えてしまうのですが。

確かに制度自体の欠陥ではないとしても、「人」が扱う以上、そこには脅威が存在し、
制度、技術、運用面で対策が講じられていても、それを根拠に具体的な危険がないと言われても納得はできません。

1.お上の不祥事の多さは国民の信頼を大きく失う結果をもたらしている
2.完璧なシステムは存在しない
3.住民への恩恵は疑問である
4.行政の業務の効率化への向上も疑問である。

1については言わずがなもだと思います。
2については、常識でしょう。
3については、私は恩恵を受けた覚えがない。
4については、見えないので判断のしようがない。

そもそも、特定個人の情報を削除するのに、コストが3500万円かかる場合があるとわ。。。
どんなシステム構築をしたのか教えてもらいたいところです。
国、都道府県、市町村、のサーバでそれぞれ削除しないといけない、これはデータの一貫性が保たれないということなんでしょうかね。
しかも、サーバが堕ちるって・・・


まぁ、今回の争点に関して言えば、
「現状、情報の流れ、使用履歴等の開示窓口が未整備」ということを考えれば、原告の主張は正しく、その責任は体制を整え切れてないお上にあると考えられるので離脱を認める必要があるように思えます。

国民主体の民主主義において、行政の利便性が優先されるというのはいかがなものかと。。。
(住民サービスの向上といっても、使用目的から見てお上のお為ごかしな気もします)

Posted by: せろまる | 2006.12.11 at 19:41

日経新聞に
米の内部統制ルール、19日に見直し案
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061212AT2M0901111122006.html
という記事がありました。

Posted by: 内部統制報告書の基礎 | 2006.12.12 at 07:45

夏井先生、コメントありがとうございます。職業監査人も判断を迫られる職業なのですが、その際には、行われた行為や判断についての事実関係を証拠に基づき、規範に照らして判断するわけですが、事実を確認するとこがおろそかになると、どれだけ頭がよくても誤った結論を導くことになりますよね。。。
 実際の裁判の状況は良くわかりませんが、ちゃんとしてくれないと・・・と思います。

Posted by: 丸山満彦 | 2006.12.12 at 09:06

せろまるさん、コメントありがとうございます。
 実際は、(行政事務の効率化+住民がうける便益)と(個人のプライバシー保護)のどちらを社会的に優先すべきかを考えた場合に、(行政事務の効率化の効果+住民がうける便益)と(個人のプライバシーを侵害するリスク)についての判定に差が出たということなのかも知れません。
 住民がうける便益というのは、そんなに無いのではないかと多くの人が感じているのは間違いないように思いますので、行政事務の効率化をもっと強調しないと住基ネットを維持することを正当化するのが難しいように思っています。。。
 で、実際はどの程度行政事務が効率化しているのでしょうか?
 (住基ネット構築コスト+運用コスト)-従来の運用コストの割引現在価値を算定すれば計算できますが。。。

 

Posted by: 丸山満彦 | 2006.12.12 at 09:17

内部統制報告書の基礎さん、コメントありがとうございます。別にたてて書きますね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2006.12.12 at 09:23

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