ネットID売買 警察庁がおとり捜査?
こんにちは、丸山満彦です。警察庁は、ネットID売買を行っている者を取り締まるためにおとり捜査をするようですね。。。
■朝日新聞
・2006.10.26 ネットID違法売買が横行 警察庁「おとり捜査」方針
お・・・薬物並だ・・・。
おとり捜査が認められる状況というのはよくわからないのですが、上記の朝日新聞の記事によると
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「通常の捜査方法だけでは摘発が困難な場合、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象に許される」との最高裁判例がある。
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らしい。。。で、
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おとり捜査の対象をID・パスワードのほか、児童ポルノや海賊版ソフトなど、ネット上に販売の宣伝がある場合に限定し、判例の要件を満たしている
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ということのようです。
実際は、
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(1)捜査員が身分を隠してIDなどを購入し、販売の事実を確認する
(2)販売者を特定する捜査とともに、オークション運営会社などの協力を求め、IDが他人名義であることを確認する
(3)販売者宅を捜索するなどして、容疑を固める
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という手順を踏むようです。
購入したIDで他人になりすまし、例えばオークションサイトで架空の商品を出品し、応札者から金をだまし取るなどの詐欺行為が可能となりますね。
2000年に米国から戻ってきた時すでに米国ではID Thiftというのは非常に話題になっていました。IDって記号の羅列ではなく、ネット上の自分自身ですからね・・・。私も大丈夫かなぁ・・・
Comments
買いに行くくらいのことはやってまっせ。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20061026/1161833124
Posted by: 奥村(大阪弁護士会) | 2006.10.26 22:21
奥村先生、コメントありがとうございます。奥村先生ならきっと判例とか持っているだろうとひそかに期待していました(笑)。ありがとうございます。
しかし、よくこれだけ判例を集積し、整理しているものだといつも感心しております。ブログは毎日見ております。これからもよろしくお願いします・・・
Posted by: 丸山満彦 | 2006.10.27 08:43
丸山 様
夏井です。
ネット詐欺に限らず,現実世界でも詐欺や窃盗が日常化していますね・・・と言うと,必ず「犯罪統計上では減少している」という批判が舞い込んでくるんですけど,このような批判は無視しています。軽微と思われるような詐欺,窃盗事犯についてまできめ細かく捜査を実施できるほど警察は暇ではなさそうですしね。また,告訴,告発,現行犯逮捕までいかずに店頭での説諭などで終わってしまっている万引き事件はかなり多数存在するようです。詐欺事犯では,被害者側にも色んな事情があって告訴できないような場合が少なくないようです。
というわけで,現実世界での弛緩した法意識がネットの世界にもそのまま反映されているという見解は一応成立可能かもしれませんね。
このような状況を打開するには,厳罰化しかないと思います。
財産犯については基本的に懲役10年が上限なわけですけど,刑法の併合罪加重規定を改正して単純加算主義にすれば懲役1000年くらいの判決(←この場合,仮出獄があるとしても,およそ500年後になる。)も容易に出せるわけですから,そのように改正すべきでしょう。
悪い奴ほど大きな声で笑えるような刑法では存在意義がありません。
Posted by: 夏井高人 | 2006.10.31 10:11
夏井先生、コメントありがとうございます。
併合罪加重規定を修正するか、上限自体を引き上げるかは別として、基本的に財産犯についての厳罰化は必要でしょうね。例えば、有価証券報告書の偽造やインサイダー取引による不当利得の取得などは、社会全体をだましているような財産犯といえるかもしれません。ユビキタス社会は、いつでもどこでも誰でも犯罪ができる社会であるわけで、そういう社会を目指しているのであれば、そういう社会を前提とした法体系が必要なのでしょうね。
Posted by: 丸山満彦 | 2006.11.01 06:04