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2006.08.06

監査人が「内部統制は有効であると監査意見を述べる場合」と「内部統制は有効であるという報告書の内容が適正であるという監査意見を述べる場合」の監査対象(保証又は証明対象)の違い

 こんにちは、私が前からこだわっている話です。最近、大学の先生もし、実務もしている有名な公認会計士の人と話をしたときに、私と同じ意見だったので、ちょっと安心。感覚では、実務界では、両者は同じという意見が多いと思うんですけどね。。。 
 監査対象(保証又は証明対象)が同じであれば、そのために必要となる監査手続も同じになりますよね・・・。違いが生じるのは、ダイレクトレポーティング方式を採用するか、言明方式(アサーション方式)を採用するかではないように思うんですよね。。。

 監査対象(保証又は証明対象)が同じであれば、そのために必要となる監査手続も同じになります。ただし、必要となる監査手続の選択には幅がありえます。
 経営者評価の過程に監査人が多く依拠して監査ができれば、監査人が独自にすべき監査手続は少なくなります。しかし、その判断は、経営者評価がダイレクトレポーティング方式を採用しているか言明方式(アサーション方式)を採用しているかの違いからくるのではなく、経営者評価の信頼性に対する監査人の心証からくるように思うんですね。

 

 ということで、経営者評価の信頼性が高くなれば、監査人は独自に実施する監査手続が少なくて済み、監査人に支払う監査報酬も少なくて済むことになるように思うんですよ。。。

 

【参考】このブログ
・2006.06.13 内部統制監査 日本は独自の監査基準が必要なのでは => これは、内部統制は有効であることについて、監査人が意見表明しない前提で書いています。

 

・2006.05.18 日本の基準でも公認会計士は内部統制を直接評価する必要があるの?

・2006.04.27 内部統制についての監査実施過程

・2006.04.22 内部統制監査の監査意見 日米比較

・2006.04.21 ダイレクトレポーティング方式と言明方式で監査コストが異なるのか

・2006.04.19 米国が内部統制監査報告書においてダイレクトレポーティング方式を採用した理由

・2006.02.18 少なくとも重要な不備とみなさなければならない場合 PCAOB 監査基準書第2号第140項

・2006.02.14 監査人による「経営者による評価プロセスに係る評定」 PCAOB 監査基準書第2号第40項

・2006.02.09 外部監査人は自己評価の結果を利用できない PCAOB 監査基準書第2号第126項

・2006.02.09 外部監査人は内部監査人の結果を利用できる PCAOB 監査基準書第2号第121項

 

私の考え方もゆれていますが、
「内部統制が有効である」と内部統制報告書に書いていて、それが適正であると評価するためには、監査人も内部統制は有効であるという心証を得る必要があると思うんですよね。

 

 



このブログの中の意見は私見であり、所属・関係する組織の意見ではないことをご了承ください。

 

 

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Comments

経営者が報告書で「うちの内部統制は100点だ!」と評価した場合、監査人は確かに100点である、もしくは、減点が見当たらないということを確認しなくてはいけない。
「うちの内部統制は85点だ!」と評価した場合、監査人は減点が15点くらいで、他にはなさそうということを確認しなくてはいけない。

というあたりでしょうか?
結局答案に書いてある回答を、サンプリングであれ、確認しないと、○の数を数えるだけではダメなんでしょうね。

でも、100点満点の内部統制評価報告書なんて、信じられるんでしょうか?

Posted by: なかじま | 2006.08.08 14:31

なかじまさま、コメントありがとうございます。
内容を確認しないとだめだと思いますね。。。。

Posted by: 丸山満彦 | 2006.08.11 04:24

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